インドネシアへ魚を輸入するためのライセンスやプロセスの要点
- 公開
- 2026/03/08
- 更新
- 2026/04/13
- この記事は約17分42秒で読めます。
インドネシアへ魚介類を輸入するには、まず結論として「HSコードの確定」と「用途区分に応じた許認可(PI・検疫・必要に応じて海洋水産省推薦やBPOMなど)」を押さえることが近道です。
魚介類は品目・形態(生鮮 / 冷凍 / 加工)で要件が分岐し、商品バランス(NK)など需給運用の影響も受け得るため、輸入量やタイミングが制度面で左右されることがあります。
さらに、禁輸対象となる魚種や、ハラール・BPOM・SNIなどの横断規制も絡むため、輸入前に「この品目をこの用途で入れる」という詳細な設計を固め、必要書類を船積み前から整合させることが重要です。
インドネシアの魚輸入に関するポイント

インドネシアにおいて魚の輸入は管理・監督が厳しい事業の一つです。注意点や背景を整理してから、具体的な法令や許認可を確認していきましょう。
商品バランス / 種別・禁輸魚種
魚介類は、品目(HSコード)や用途によって、商品バランス(NK)など需給管理・配分運用の影響を受けることがあり、輸入承認(PI)の取得や輸入量・タイミングが左右される場合があります。
また、毒性のある魚や観賞魚・外来種などは、持込み禁止の対象となる種があるため、海洋水産省の禁止リストなどで個別確認が必要です。
自給率・保護政策
インドネシア政府は漁業振興のために輸入を厳しく管理しており、制度上、需要・国内供給・漁期などを考慮して輸入枠が設定されます。
魚は現地漁業者との競合を避けるため、規制枠が比較的タイトになっています。
輸入統計連携
最近では、輸入手続に関わる当局(税関・検疫当局・所管省庁)間でデータ連携が進み、輸入魚介類の申告内容や必要書類の整合性が以前より重視される傾向があります。
法令上の要件だけでなく、運用面でも手続が細かく確認されるため、HSコードや書類の整合を早い段階で揃えておくことが重要です。
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インドネシアの魚輸入に関する規制・制度改正
近年相次いでいるインドネシアの輸入に関する規制や制度改正について簡単にまとめます。
なお、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生を受けた「日本産農産物について放射性物質の検査報告書」の提出義務は、2022年7月に解除されています。
輸入規制再編
2025年商業大臣規則第19号および改正規則の同第38号では、輸入規制が再編されています。
ここで重要なのは、輸入のルールが「品名」ではなく、HSコード単位で必要な許可を割り当てる仕組みが強まった点です(HSコードについては後述)。実務的には、輸入品をどう分類するかが、PI(輸入承認)の要否や手続きの枝分かれに直結しやすくなります。
同規則の別表で、HSコードごとにPIの要否など要件がまとめられています。
商品バランスと輸入枠
2022年に運用が始まった「商品バランス」などと訳されるNeraca Komoditas(NK)は、政府が品目ごとに「生産・需要・在庫・輸入必要量」などを整理する需給管理の枠組みです。
クオータ制度と呼ばれることもありますが、NK=「枠」ではなく、NKを根拠に、用途別・期間別の数量が実質的な「枠」としてPIに反映されるシステムになっています。
魚介類もNK制度の対象です。輸入業者はオンラインシステムINSW(Indonesia National Single Window)を通じ、翌年の供給、流通、販売計画やこれらに関する誓約書、海洋水産省からのRPHPを添え、翌年の輸入予定の魚介類の申請を行います。
- 参考:
DATABASE PERATURAN
「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 19 Tahun 2025」「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 38 Tahun 2025」
JETRO「水産物の輸入規制、輸入手続き|インドネシアでの輸入手続き1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」
輸入水産物のカテゴリー
インドネシアに輸入できる(PIが発給され得る)水産物は以下のように区分されます。
- 産業向け原料(缶詰工場向け原料等)・再輸出向け加工原料
- 産業原料以外 ※2021年海洋水産大臣規則第1号で規定
:伝統加工、餌、ホテル・外食向け消費、近代的小売、栄養強化用原料、すり身系加工原料 など
実務上は「輸入目的がどの区分にあたるか」をまず整理し、その上で該当HSコードに紐づく PI・検疫・(必要に応じ)BPOMなどの要件を確認します。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Menteri Kelautan dan Perikanan Nomor 1 Tahun 2021」
検疫リスト改正
2025年検疫庁規則第5号により、検疫検査の義務対象リストの改正が行われました。魚介類も対象で、HSコード単位で検疫対象・必要書類が整理されています。書類不備があると港で止まるリスクがあり、特に冷凍品・生鮮品は滞留コスト(保管・電力・品質劣化)が跳ねやすいため注意が必要です。
ただし財務省決定により、税関が輸出入の監視・適用で改正後リストを用いる運用は、検疫庁が準備完了を表明するまで一時停止されています。停止期間中の税関の監視には旧リストが適用されます。
なお、魚介類は品目の幅が広く、魚種・形態(生鮮 / 冷凍 / 加工など)によって該当するHSコードが分岐するため、HSコード特定の精度が実務上のポイントになります。
ハラール義務化
インドネシアでは2024年政令第42号により、ハラール認証の義務化※が定められました。この政令では、製品区分(食品・飲料、屠畜関連、医薬品など)や事業者の規模ごとに、義務化の期限が段階的に定められています。
生鮮の魚介類は一般的にハラール(認証免除品目)と理解され、ハラール認証・表示の対象外になる場合が多いものの、製品形態・表示・流通形態により対象となる可能性があります。
輸入食料品については、義務化への完全移行の期限は「最遅で2026年10月17日」とされています。
※ハラール義務化:国内で流通させる特定カテゴリーの製品(食料品など)は原則ハラール認証が必要で、非ハラール製品(禁忌成分に由来する製品)には非ハラールである旨の表示をする必要があります。
輸入業者は必要に応じ、輸出側と連携してハラール認証の申請を行います。また、実際の輸入プロセスでは、以下のような実務が必要になる可能性があります。
- 生産・輸出側がハラール要件を満たしていることの確認
- それを証明する書類をインドネシアの制度で通る形に整える
- ハラール証明書類を他の書類と矛盾なく整合させる
新しい規則や制度が導入されてからしばらくは、現場の対応に差が出るなど混乱が生じる可能性があり、特に注意が必要です。
「インドネシアのハラール認証は日本で取れるのか」、「審査をどこに依頼するのか」、「どのような要件をクリアすればよいのか」など疑問があれば、ぜひこちらからお尋ねください。
- 参考:DATABASE PERATURAN
「Peraturan Menteri Agama Nomor 26 Tahun 2019」「Peraturan Pemerintah (PP) Nomor 42 Tahun 2024」
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魚介類はハラールとされやすいのに、輸入でもハラール対応が必要になるのはどんな場合ですか?
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魚介類そのものは一般にハラールと理解されることが多い一方、加工(味付き・揚げ物・練り物など)や添加物の使用、小売用包装での表示(ラベル)、ハラールとして販売・表示する運用などにより、認証・表示の扱いが変わる場合があります。実務では「生鮮 / 冷凍の未加工か」「加工・調理・添加物・表示があるか」を基準に、対象可否を個別確認するのが安全です。
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インドネシアでの飲食店開業手順についてまとめた資料はありますか?
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インドネシアの魚輸入ライセンスと許認可
法人設立・事業許可
KBLI(事業コード)
KBLIは、事業分野ごとに割り振られている番号で、その会社が行える事業の範囲を定めています。KBLIは後工程の許認可の整合に影響するため、最初にしっかりと設計する必要があります。
魚の輸入事業には、以下のようなKBLIが必要になる可能性があります。
- 46206(水産物の卸売)
- 46324(加工水産物の卸売)
- 52102(コールドストレージ)
- 10213(魚の冷凍加工)
KBLIは、後述する事業基本番号(NIB)をオンラインシステム「OSS」で取得する際に登録します。
「生鮮魚介類を輸入して卸すだけ」の場合は、基本的に46206のみで足りますが、加工品も扱う場合、加工や小売をする場合、倉庫業を兼ねる場合などは、追加で該当するKBLIを取得する必要があります。
KBLIは事業内容に応じて複数取得できますが、外資企業の場合はその分、必要な投資額が増えます。
なお、KBLIは事業範囲の登録であり、輸入者として登録するには、OSS上で輸入者区分(API-U / API-P)を有効化する必要があります。
インドネシアの事業ライセンス(KBLIコード)とその調べ方や注意点
インドネシアでの会社設立に必要なKBLI(事業ライセンス)の調べ方や外資法人の参入が禁止・規制されている事業などを説明します。
卸売と小売は両立できない
魚輸入業者としてもっとも一般的なKBLIの一つが46206(水産物の卸売)です。ここで注意したいのが、インドネシアでは2021年政府規則第29号により、卸売業と小売業を一つの会社が並行して営むことが禁止されているということです。また、小売業にはカテゴリー・規模に応じて外資規制があります。
事業基本番号(NIB)
NIBは、事業者としての基礎IDです。輸入に関わる許認可などの登録も、基本的にはNIBを土台に整理されます。インドネシアでの法人設立後(定款を作成し、法務人権省から法人設立許可を取得したあと)、OSSシステムで手続きします。
輸入業者認証番号(API:API-U / API-P)
APIは、いわゆる輸入ライセンスで、輸入の目的別に、以下の2類型があります。
- API-U:販売・譲渡するための輸入
- API-P:自社生産の投入(原料など)に使うための輸入
この2つのAPIは目的が異なるため、1つの法人が取得できるのはどちらか一方です。
現在ではNIBがAPIとして機能するようになっており、一般的に、手続きはOSSでのNIB取得で完了(代替)できます。
例えば、OSS上で「46206(水産物の卸売)」を選択し、さらに「API-U」を選択して申請すると、発行されたNIBが「水産物の卸売業者ライセンス」かつ「水産物のAPI-U(販売・譲渡向け輸入ライセンス)」として機能するという仕組みです。
ただし、取得したNIBがAPIとして有効化されているかどうか、OSSで確認する必要があります。KBLIの選び間違いや登録したデータの不整合などがあると、NIBとAPIが連携できない可能性があります。
KBLI設計・OSS(NIB / API)は法人設立の初めの一歩であり、一度間違えると追加の手続きや費用が必要になります。少しでも疑問がある方は、まずはこちらから、お気軽にお問い合わせください。
実際に製品を輸入するための許認可

海洋水産省からの推薦状
OSSでNIBを含むすべての手続きが完了すると、KBLIに基づく事業を開始できるようになります。ただし、実際に魚の輸入事業を行うためには、輸入承認(PI)が必要です。海洋水産省からの推薦状(水産物と活魚の持ち込みに関する推薦)は、PI取得のための一般的な必要書類の一つです。
申請はオンラインで、書類審査・技術審査が行われ、推薦状が発行されます。申請にはNIB、1年間の事業計画、加工適合証明(SKP)※など複数書類の提出が求められます。また、推薦取得後には、在庫や輸入実績などの月次報告(オンライン)が必要になります。
どの書類・報告が必要かは、用途区分・ケースにより異なります。
加工適合証明(SKP):輸入品を加工・保管・包装する施設が、インドネシアの衛生基準を満たしていることを証明する書面 。
商品バランスシステムに基づく輸入承認の取得が必要な魚介類については、2025年商業大臣規則第19号の別紙1においてHSコード別に一覧化されています。
また、推薦状の手続き・申請要件については、「2021年海洋水産大臣規則第1号」でまとめられています。
- 参考:
JETRO「水産物の輸入規制、輸入手続き|インドネシアでの輸入手続き1. 輸入許可、輸入ライセンス等、商品登録等(輸入者側で必要な手続き)」
DATABASE PERATURAN
「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 25 Tahun 2022|P.183 XXIV. HASIL PERIKANAN」「Peraturan Menteri Kelautan dan Perikanan Nomor 1 Tahun 2021」
輸入承認(PI)
海洋水産省からの推薦状が発行されたら、PIを申請します。PIの期限は、推薦状および前述の商品バランス(NK)に紐づくとされています。
申請には輸出入に必要な申請・審査・許可の統一窓口であるINSWを使い、商業省のオンラインポータル(INATRADE)で発給を受けます。
【補足】
推薦状とPIは「毎回の輸入ごと」ではなく、HSコード・数量・原産国 / 施設・用途などの条件をセットにした「期間内の輸入枠」として取得し、枠内で複数回輸入する運用が基本です。一方で、サプライヤーやHSコード、用途・数量など前提が変わる場合は、再取得または条件変更が必要になります。
- 参考:
DATABASE PERATURAN
「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 18 Tahun 2025」「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 31 Tahun 2025」
Regulasip「PERATURAN BADAN KARANTINA INDONESIA NOMOR 9 TAHUN 2025」
輸入品に関する許認可

ハラール認証
ハラール認証は、輸出側の管理と書類整備に加え、インドネシア側の制度に通る形での整合・提出・表示までが輸入者側の実務です。
ハラール認証・表示が義務付けられる魚介類の具体的な品目は、2021年宗教大臣決定第748号および改正規則である2024年宗教大臣決定第944号に整理されています。
一般的に、生鮮、冷却、または冷凍された魚介類で、添加物が加えられていないものは認証免除品目ですが、個々の製品について念のため確認する必要があります。
ハラール認証表示が必要な製品カテゴリーの例
【加工を施した水産製品】
- 冷凍した魚、魚フィレおよび水産製品
- 衣付け(粉をまぶした)冷凍の魚、魚フィレおよび水産製品
- クリーム入りの魚肉すり身製品
- 調理済みおよび/または揚げた魚および水産製品 など
【半保存性の魚および水産製品】
- ピクルス加工および/または食塩水に漬けた魚および水産製品
- サーモン卵・キャビア等およびその他魚卵製品の代替品
- 保存された魚および水産製品(缶詰・発酵食品) など
ほかに、「その他の加工および食品添加物の添加を伴う魚および水産製品」が加わります。
- 参考:Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal「KMA 748 Tahun 2021| P.34-38」
BPOM登録
加工水産品(小売用包装で流通する缶詰、練り物、味付け加工、衣付き冷凍品など)は、原則として医薬品食品監督庁(BPOM)登録の対象です。申請主体は通常、インドネシア国内の輸入者や代理店(ディストリビューター)となります。
海洋水産省からの各種証明書
生鮮魚介類は、少なくともラベル付き包装で取引・流通させる場合、食品安全規制上、加工適合証明(SKP)、統合品質管理プログラムの適用証明、魚加工品の健康証明書を保有することが義務とされています。
これらの証明書は、海洋水産大臣が地方政府を関与させて発行します。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Pemerintah (PP) Nomor 86 Tahun 2019」
インドネシア国家規格(SNI)
インドネシア国家規格(SNI)では、魚介類に対しても重金属・微生物・化学物質の残留基準が定められており、特定の輸入品はこれをクリアする必要があります。魚介類については、イワシ、サバ、マグロの缶詰について、取得が義務となっています。
その他の報告書・許可書
輸入魚介類について必要に応じて船積み前に用意するべき書類としては、主に以下のようなものが挙げられます。
原産地証明書(CoO)
- 発行:原産国当局
- 時期:船積書類作成時〜輸入申請時
魚・魚製品の健康証明書
- 発行:原産国(必要により経由国)の権限当局
- 時期:検査後〜船積前
サーベイヤー報告書(LS)※該当HSコードのみ
- 発行:指定サーベイヤー
- 時期:船積前の照合・検査後
CITES(ワシントン条約)関連許可 ※該当魚種のみ
- 発行:関係当局(輸出国・インドネシア側)
- 時期:船積前
分析証明書(CoA)
- 発行=認定試験機関
- 時期=必要に応じて船積前(契約条件・検査設計による)
以上の書類は主に輸出側が手配・取得するもので、輸入側はその確認やインドネシア側への提出を行います。
輸入リスク分析
日本は世界動物保健機関(WOAH、旧称OIE)の加盟国であり、日本から既に輸入実績のある魚介類を扱う限り、通常は追加の対応が大きな論点になりにくいと考えられます。
一方で、新しい魚種・製品を初めて輸入する場合や、疾病の発生状況などによりリスクが想定されるケースでは、インドネシア当局が発行する輸入リスク分析の結果書類の提出が求められる場合があります。
WOAH加盟国からの輸入でも、初回輸入かつ一定条件に該当する場合には提出が必要となり、WOAH非加盟国からの輸入では原則として都度提出が求められる建付けです。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Menteri Kelautan dan Perikanan Nomor 1 Tahun 2021」
輸出国・施設側の要件
日本からインドネシアへの魚介類の輸入に際しては、利用する水産食品最終加工施設(加工がない場合は最終保管施設)がインドネシア向け輸出水産食品の「登録(認定)施設」として、日本の農林水産省に登録されている必要があります。
この登録は、その施設が自ら取得するものです。インドネシアの輸入業者は、「自社が使いたい日本のサプライヤーが、すでにインドネシア向け輸出水産食品最終加工者リストに入っているか」を確認することが、PI申請以前の最重要ステップの一つとなります。
また、養殖かどうか、用途(生食・冷凍など)、当局のリスク評価、取引先要求に応じて、別の登録・追加資料が必要になるケースがあります。
インドネシアの魚輸入プロセス
「スタート=法人設立」「ゴール=初めての輸入」を想定し、全体の流れを時系列で整理します。
魚輸入プロセスに関わるシステム
インドネシアの輸入実務を理解するうえで、最初に押さえるべき前提がINSW(Indonesia National Single Window)です。INSWは、通関(税関)・検疫・許認可・港湾 / 空港など、輸出入に関わる文書・手続を統合的に扱う電子システム(単一窓口)です。
このシステムでは、複数の当局(商業省、検疫庁、BPOM等)の要件は縦割りで存在しますが、実務ではINSW上で参照・連携されるため、どこか一つでも要件が未整備だと手続が滞りやすい点に注意が必要です。
魚介類の輸入については、対象HSコードに紐づく許可(PI、LS等)や検疫要件が揃っているかを前提に、船積み前から書類の整合を確認しておくと、港での滞留リスクを下げられます。
法人設立から魚輸入までの流れ
0. 法人設立と輸入事業の設計
まず、法人設立の前に、事業モデルを確定させます。輸入後の流通形態(卸 / 小売 / 加工 / 外食向けなど)によって、必要な事業機能(保管、温度管理、表示・ロット管理など)が変わりやすいからです。
次に、事業モデルに合うKBLIを選びます。ここでの整合は、後々の許認可取得に影響するため、初期段階で十分にすり合わせておくことが、スムーズな事業開始に繋がります。
公証人(ノタリス)に依頼し、定款の作成、法務人権省への法人設立の許可の申請を進め、「法人設立の決定書(SK)」が発行されると、法人設立が法的に許可されたことになります。
本記事では輸入プロセスに重点を置くため、法人設立の詳細は割愛しますが、実際には複数のステップに分かれます。もっと詳しく知りたい方は、こちらから資料をダウンロードしてみてください。
外資企業の払込資本金と投資額
外資企業でも輸入事業者になれますが、商業や物流業の一部事業には外資比率の制限など外資規制があります。そのため、KBLIを複数取得し、事業を幅広く展開したい場合は、それぞれについて、外資規制の有無を確認する必要があります。
なお、外資企業には、設立時に最低25億ルピア(約2,300万円)の払込資本金が求められます。
また、外資企業の投資額は、「土地および建物を除いて100億ルピア超(約9,300万円)」と規定されています。投資額は法人の数ではなく、原則としてKBLI(5桁)およびプロジェクト所在地ごとに判断されますが、業種によっては例外的な算定方法が適用されます。
例えば、卸売(大規模商業)業は「KBLI先頭4桁ごとに土地・建物を除き100億ルピア超」、飲食サービス業は「KBLI先頭2桁ごとかつ1地点(県・市)ごとに土地・建物を除き100億ルピア超」という例外規定があります。
【補足】
投資・ワンストップ統合サービス局によると、現状では、KBLIを追加せずに支店・支社を新たに設立する場合、投資額として100億ルピアを追加する必要はありません。ただし、個別のケースについては、確認が必要です。
【補足】
本記事の円表記は2026年3月2日のレート(1ルピア=0.0093円)で換算したものです。
1. 輸入者としての基本許認可(NIB / API)
法人設立後、OSSでNIBを取得し、NIBがAPIとして機能する形を整えます。
ここでのポイントは、API-U / API-Pの区分が「形式」ではなく、輸入後の実態(販売するのか生産投入するのか)と一致している必要がある点です。設計段階で事業モデルが曖昧だと、このあとのプロセスで問題が生じる恐れがあります。
2. 物流・品質の受け皿の設計(コールドチェーン / ロット管理)
魚介類は、保冷・温度逸脱・滞留がそのまま品質リスクとコストに直結するため、早い段階で、物流・品質の受け皿を設計するのが重要です。この工程は、NIB / APIの取得と同時進行することもできます。
例えば冷凍魚介類を輸入する場合、保冷を前提にした物流設計が不可欠で、コールドストレージ事業のKBLIを持ち、必要な施設・システムを用意するか、コールドストレージ事業者と提携する必要があります。
また、ロット管理や表示、保管温度の記録といったより実務的な要素についても、「輸入できるようになってから整える」のではなく、準備段階で整備しておくと、後々スムーズです。
3. 輸出国側・サプライヤー側の要件確認 / 輸入品目の確定
サプライヤー探しや要件の確認は、「輸入者が国内で何をするか」とは独立に進められるため、法人設立やNIB / APIの取得と並行して行います。
また、輸入品目が定まった時点で、HSコードを確定させます。
HSコードとは
HSコード(製品分類コード)は、その名の通り製品を分類するためのコードで、書類作成・申請の前提になります。
魚介類の基本的なHSコードは以下のとおりです。それぞれさらに細分化されて8桁までのコードで分類されます。
- 0302:生鮮魚あるいは冷蔵魚
- 0303:冷凍魚
- 0304:フィッシュフィレとその他の魚肉、生鮮、冷蔵または冷凍
- 0305:魚の干物、塩漬け、塩水漬け、燻製、魚粉、ミール、ペレット、ヒトが食するのに適したもの など
- 0306:甲殻
- 0307:軟体動物
- 0308:甲殻類及び軟体動物を除く水棲無脊椎動物
- 0309:魚ならびに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物の粉、ミール並びにペレット
輸入業者は、新しい品目を扱うたびに、HSコードの見直し・確定作業を行います。
4. 輸入推薦状の取得
次に、海洋水産省からの推薦状(水産物と活魚の持ち込みに関する推薦)を取得します。この推薦は、輸入業者とその業者が取り扱う製品が要件を満たすことを示す技術的説明として位置づけられます。
5. 輸入承認(PI)とNK(枠)の接続
PIは商業省側の輸入承認で、対象HSコードに応じて要否や条件が決まります。加えて、PI発給の基礎となるNKは原則年次で定められ、魚介類についても供給・需要を踏まえた配分や運用が輸入実務に影響し得ます。
6. 船積み前検査
魚介類は、対象HSコードによってLS(サーベイヤー報告)等の要件がつくものがあります。
また日本側では、インドネシア向け輸出水産食品について、所定の体制(最終加工 / 保管施設の登録など)を整えた上で、輸出の都度、地方農政局などに衛生証明書の発行申請を行う運用が案内されています。
- 参考:
DATABASE PERATURAN
「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 19 Tahun 2025」
「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 38 Tahun 2025」
JETRO「水産物の輸入規制、輸入手続き|インドネシアの輸入規制3. 動植物検疫の有無」
プレボーダー検疫推進の動き
2025年8月の報道によると、インドネシアの検疫当局(Barantin)は、水産物について、原産国側での確認を活用する「プレボーダー(出荷前)型」の検疫運用を推進する方針を示しています。狙いは、病害虫・疾病の侵入リスクを抑えつつ、港・空港での手続滞留を減らすことにあります。
運用が進めば、到着後の検疫時間短縮や滞留コスト(冷凍保管・品質劣化)の低減が期待される一方、出港前に必要書類や検査要件をより確実に揃える重要性が増す可能性があります。
7. 検疫の事前通知
船積み前(出港前)に、インドネシアの検疫当局(Barantin)に対して、貨物情報と必要書類を事前に通知(Prior Notice)する運用があります。
提出はPrior Notice専用ポータル等のオンラインシステムで行い、健康証明書などの関連書類を添付します。実務上は、輸出者が提出主体となることが多い一方、輸入者も内容確認や書類整合のために連携して準備します。
作業としては事務的な手続きですが、書類とデータが揃っていないと輸入プロセスが止まる恐れがあるため、とても重要な工程です。
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日本からインドネシアへの魚介類輸入の際、検疫の「事前通知(Prior Notice)」を出したら、船積み前に検疫検査まで完了したことになりますか?
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いいえ。事前通知は、輸入前に貨物情報や必要書類(健康証明書など)をオンラインで提出して、到着後の手続きを円滑にするための事務的な申告です。原産国で検疫・検査を実施してから出荷する「プレボーダー検疫」は、事前通知とは別の枠組みです。
8. 検疫・通関・ポストボーダー
輸入魚は、港での物理的な検疫サンプリング検査の対象になる可能性があります。検査に耐えうる書類(温度ログ、規定通りの商品ラベルなど)を整備しておくことが重要です。
検疫で問題なしと証明された旨の証明書を取得した後に、国内の関税地域へ搬出する流れになります。その後、税関で輸入申告(PIB)を行い、必要書類を添付して審査を受け、搬出許可を取得します。ハラール登録番号・表示整合も、魚介類輸入の最終関門になります。
魚介類の検疫
魚介類の輸入における検疫手続は、インドネシアの検疫当局(Barantin)が所管します。
輸入時には、病害虫・疾病の侵入防止の観点から、書類審査や必要に応じた検査が行われます。あわせて、水産物の品質・安全や流通に関する要件は、海洋水産省側の制度・証明が関係する場合があります。
インドネシアの魚輸入にかかる関税など
関税
基本(一般税率:MFN)
魚介類は、HS03類(0302〜0309)でも細目(8桁)によって関税が0% / 5% / 10%などに分かれるのがポイントです。課税標準は一般にCIFベースで、輸入申告前に納付します。
JETRO(2023年11月時点)の整理では、MFN関税率の例は次のとおりです。
- 0302(生鮮 / 冷蔵魚):ティラピア(03027100)、ハタ(03028911)、その他(03029900)は10%、それ以外は5%
- 0303(冷凍魚):ティラピア(03032300)、ハタ(03038911)、その他(03039900)は10%、それ以外は5%
- 0304(フィレ / 魚肉):10%
- 0305(干物・塩蔵・燻製等):5%
- 0306(甲殻類):種(03063110、03063210、03063510)とその他のエビ(030636)は0%、それ以外は5%
- 0307(軟体動物)、0308(水棲無脊椎動物)、0309(ミール / ペレット):5%
協定税率(日本→インドネシア)
JIEPA(日本・インドネシアEPA)およびAJCEP(日・ASEAN包括)を使った場合、上記の対象品目について関税率が0%に引き下げられます。
協定税率の適用には、通常、特定原産地証明書(COO) 運送要件の証明(通しB/Lの写しなど)が必要になります。
そのほかの輸入に関連する税
PPh-22(輸入前払い所得税)
輸入時にはPPh-22が輸入申告前に徴収されます。税率は、API保有事業者なら「nilai impor※× 2.5%」です。PPh-22は、年次の法人税申告で相殺される前払い税という位置づけです。
nilai impor=CIF+関税+その他の輸入時賦課。税関が輸入時に徴収し、関税の支払いと同時に精算されます。
VAT(PPN:付加価値税)
輸入時にCIFの11%のVAT(PPN)がかかる原則がある一方で、2020年財務大臣規則第99号により、まぐろ等の一部HSコードの魚介類は、VATの課税対象外とされています。
税率や例外は改定があり得るため、最終的には8桁のHSコードで再確認する運用が安全です。
- 参考:JETRO「水産物の輸入規制、輸入手続き|インドネシアの輸入関税等」
取得予定のビザについて、以下から詳しい情報を検索できます。



映像でみるインドネシアの魚輸入
輸入魚の発送作業

PT Sanjaya Internasional Fishery(SIFSeafood)は、ジャカルタを拠点とし、冷凍水産物の調達、冷蔵保管、グローバル流通を一貫して行う水産物の輸出入会社です。
こちらの動画では、輸入した魚をインドネシア国内各地に発送する作業の様子が紹介されています。
日本からの輸入魚

ジャカルタの生鮮・冷凍魚介類専門店「Makishi」は、日本から輸入した魚を多数取り扱っています。動画では、ハマチ、キンメダイ、サンマなどが紹介されています。
品目に合わせた対応が必要な魚輸入事業
インドネシアの魚介類輸入は、HSコードと用途によって手続が大きく分かれます。
最初に品目のHS(8桁)を確定し、法令・別表でPI・LS等の要否を確認したうえで、検疫や必要に応じて海洋水産省の推薦、加工品ならBPOM登録、該当品目はSNIやハラール表示も検討します。
制度改正や運用変更も起こり得るため、船積み前から書類・データの整合を取り、原産地証明や衛生証明などの準備を早めに進めると、港での滞留リスクを下げられます。
インドネシアで会社を設立する際、予算と目的に合わせた設立方法があります。
弊社では豊富な設立実績があるためまずは一度ご相談ください。
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