インドネシアのサーベイヤーレポート(LS)とは?対象品目・取得方法・輸入時の注意点

公開
2026/06/06
更新
2026/06/21
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最も多いお悩みと回答

インドネシアへの輸出では、すべての商品についてサーベイヤーレポート(LS)が必要ですか?

いいえ。LSは、輸入規制の対象となる一定の商品について求められる書類です。最新の品目別規則と付表で、8桁のHSコード、品名・商品説明、商品仕様、用途、輸入者区分などを照合して要否を確認します。

サーベイヤーレポート(LS)は、日本側の輸出者が取得するのですか?

原則として、LS取得に向けた申請を行うのはインドネシア側の輸入者です。ただし、日本国内で検査を受ける必要があるケースでは、書類・情報の提出、検査への立会いなどの対応が輸出者に求められます。

LSが必要かどうかは、どのタイミングで確認すべきですか?

輸出条件や納期を確定する前に確認することが理想的です。遅くとも、船積み直前まで確認を先送りしないようにしましょう。検査を受けずに出荷した後でLSが必要と判明すると、通関が止まる可能性があります。

自社製品の輸出を相談する

インドネシアへ商品や設備を輸出するとき、確認しておきたい手続きの一つが「サーベイヤーレポート(LS)」です。LSは、一部の輸入品について行われる検証・技術調査の結果をまとめた報告書で、必要な貨物は原則として船積み前に検査を受けます。

すべての商品が対象になるわけではありませんが、出荷後に必要性が判明すると、通関の遅れや追加費用につながりかねません。また、申請主体はインドネシア側の輸入者である一方、日本側の輸出者にも書類提出や検査対応が求められます。

本記事では、LSの概要、対象品目の確認方法、輸出者と輸入者の役割、取得フロー、注意点を整理します。

インドネシアのサーベイヤーレポート(LS)とは

LSは輸入品の検査報告書

LS(Laporan Surveyor)は、指定サーベイヤーが一部の輸入品について行う検証・技術調査(VPTI)の結果をまとめた報告書です。

VPTIには、書類確認や商品仕様・数量の確認、原則として船積み前に行われる貨物の現物確認などが含まれます。許認可書類や補足書類と実際の貨物が一致しているかを確認し、技術基準や品質基準の充足を担保することが目的です。

検証結果は、LSとしてまとめられます。

VPTIは原則、船積国または原産国で実施

輸入品のVPTIは、原則としてインドネシア国外の船積国または原産国で実施されます。日本から輸出する貨物であれば、日本国内の倉庫、工場、港湾周辺などで検証が行われる可能性があります

一方、貨物よっては例外的に、インドネシアの保税施設(TPB)、自由貿易地域・自由港(KPBPB)、経済特区(KEK)などでVPTIが実施される場合もあります。

LSを取得しても、税関検査が免除されるわけではない

LSは輸入手続きで使用される重要書類ですが、税関による検査を代替するものではありません。VPTIを受けても、インドネシア財務省・関税総局が税関検査を行う権限は維持されます。

また、LSを取得すれば、輸入承認(PI)、BPOM登録、SNI認証、ハラール認証・表示、検疫関連書類など、ほかの輸入条件が不要になるわけでもありません。必要な手続きは品目ごとに確認する必要があります。

インドネシアの輸入規制は、HSコードや商品仕様によって異なります。自社製品に必要な手続きが分からない方は、こちらからご相談ください。

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どのような商品にLSが必要なのか

LSはすべての輸入品に必要なわけではない

LSが必要になる可能性がある商品は幅広いものの、すべての輸入品が対象になるわけではありません。

インドネシア商業省・貿易総局がまとめている、LSに関係する41のカテゴリー(品目群)は以下のとおりです。

No.品目群
1中古資本財(Barang Modal dalam keadaan Tidak Baru:BMTB)
2繊維・繊維製品
3ニトロセルロース
4
5
6非医薬品前駆体
7砂糖
8陶磁器
9カラー複合機、カラーコピー機、カラープリンター
10産業原料としての非B3廃棄物
11板ガラス・安全ガラス
12危険物
13オゾン層破壊物質(BPO)
14園芸品
15ニンニク
16携帯電話、ハンドヘルドコンピューター、タブレット端末
17冷却システムを使用する製品
18バティック・バティック模様の繊維・繊維製品
19タイヤ
20鉄鋼、合金鋼、派生製品
21真珠
22サッカリン、シクラメート、アルコールを含む香料調製品
23半製品の手工具
24酒類原料
25中古リチウム電池
26完成品衣服・衣料品アクセサリー
27履物
28電子機器
29二輪・三輪自転車
30食品・飲料
31玩具
32化粧品・家庭用保健用品
33伝統薬・健康サプリメント
34その他の完成繊維製品
35特定化学品
36バッグ
37ハイドロフルオロカーボン(HFC)
38川下プラスチック製品
39バルブ
40潤滑油原料
41セメントクリンカー・セメント

ただし、このカテゴリーに含まれる商品が、すべてLSの対象になるわけではありません。最終的には、HSコード、品名・商品説明、仕様、用途、輸入者区分などを照合して確認する必要があります。

8桁のHSコードと品名を確認する

自社商品にLSが必要かどうかを判断するときは、該当する品目別の最新規則と付表(Lampiran)を確認します。同じカテゴリーの商品であっても、以下のような内容によって、LSの要否が分かれる場合があります。

  • 8桁のHSコード
  • 付表に記載された品名・商品説明
  • 商品仕様
  • 新品か中古品か
  • 販売用か、自社使用・投資目的か
  • 輸入者が使用するAPIの区分
  • 品目別の例外規定

LSの要否を分ける可能性があるものの一つに、輸入者のAPI(輸入者識別番号 / 輸入ライセンス)の区分があります。

具体的には、自社使用品の輸入などを行うためのAPI-Pをもつ事業者が輸入するケースでは、販売目的の輸入を行うAPI-Uをもつ一般輸入者が輸入するケースに比べて、品目別規則によりLSやPIが免除・緩和されるケースがあります。

【補足】
自社使用を前提として輸入した物品は、原則、自由に転売・譲渡できません。将来的な売却、事業譲渡、グループ会社への移管などを予定している場合は、輸入前に条件を確認する必要があります。

食品の例

消費財の輸入政策について定めた2025年商業大臣規則第23号の付表を見てみます。

サーベイヤ―レポート(LS)が必要な品目の確認

このページでは、3つの品目について、LSおよびポストボーダー検査が必要であることがわかります。

  • HSコード0710.10.00「冷凍ジャガイモ」
  • HSコード0712.90.10「乾燥ニンニク」
  • HSコード0813.40.10「乾燥ロンガン(竜眼)」

このようにLSの要否は、カテゴリーや商品名だけでなく、「冷凍」「乾燥」などの状態も含めた細かい分類で確認する必要があります。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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サーベイヤーレポート(LS)取得の流れ

サーベイヤーレポート(LS)取得の流れ

LSの申請から発行までの実務は、利用するサーベイヤーや品目によって異なります。

ここでは、国営の指定サーベイヤ―であるPT SucofindoとPT Surveyor Indonesiaが共同運営するKSO SCISI(SCISI共同事業体)を利用する場合の、一般的な流れを説明します。

KSO SCISIは幅広い品目を扱っており、日本からの輸出でも利用される代表的なサーベイヤ―の一つです。

ただし、すべての品目で唯一の申請先となるわけではありません。実際の申請先は、対象品目、検査地域、輸入者の利用実績、サーベイヤーの対応体制などを踏まえて確認します。

【補足】
商品カテゴリー別の指定サーベイヤーは、インドネシア商業省・貿易総局のサーベイヤー一覧ページで確認できます。

LS発行の費用と期間

LS取得にかかる費用は、商品、HSコード、貨物金額、数量、検査場所などによって異なります。費用の確認は多くの場合、サーベイヤーへの問い合わせまたはVPTI申請時に個別に確認することになります。

また、所要期間について、KSO SCISIは、貨物の準備が整っていれば、VPTI申請(VR)の提出からLS発行までを、理想的には3〜5営業日で実施できると案内しています。

ただし、これは標準処理期間を保証するものではありません。現物検査の日程調整、RFIへの回答、追加資料の提出、貨物の準備状況などにより、それ以上の日数がかかる場合があります。

1. インドネシア側の輸入者がVRを申請する

KSO SCISIを利用する場合、まずインドネシア側の輸入者が、KSO SCISIのシステムWEB VPTI(MyVPTI)でアカウントを登録し、ユーザーIDとパスワードを取得します。その後、オンラインでVPTI申請(VR)を提出します。

なお、MyVPTIの場合、VPTIを申請できるのは、1つのユーザーIDにつき1つのカテゴリーに限られます。

2. サーベイヤ―が輸出国側へVOを送る

VRの内容が完全かつ正確であれば、KSO SCISIは24時間以内にVPTI実施指示書(VO)を発行します。VOは、原産国側の支店・代表拠点などへ送られます。日本国内での検査は、品目に応じて、KSO SCISIの提携先や代行検査機関などを通じて行われます。

VOを受け取った原産国側の担当機関は、輸出者へ検査依頼書(RFI)を送付します。

3. 輸出者がRFIに回答する

RFIを受け取った輸出者は、現物確認の前に必要な情報と書類を提出します。

KSO SCISIの案内では、以下のような資料・情報が必要になります。

  • プロフォーマ・インボイス(仮送り状)
  • 詳細なパッキングリスト
  • 商品に関する技術情報
  • 貨物の準備完了日
  • 検査場所

品目によっては、商品カタログ、図面、製品写真、仕様書などを追加で求められることもあります。営業部門だけでは準備できない場合もあるため、早い段階で製造部門や品質管理部門と情報を共有しておくとスムーズです。

4. 貨物の現物検査を受ける

書類の準備が整った後、輸出国側の担当機関が貨物の現物検査を行います。

日本から輸出する場合、船積み目前に工場、倉庫、港湾周辺などで現物検査を受けます。輸出者は、検査時点で貨物を確認できる状態にしておく必要があります。

商品、数量、仕様などに相違がある場合は、追加確認や修正が必要になる可能性があります。船積みの日程だけでなく、検査対応に必要な日数も考慮してスケジュールを組みましょう

5. 最終書類を提出し、LSの発行を受ける

現物確認が完了した後、インドネシア側の輸入者が最終書類を提出します。輸出者も、原産国側の担当機関へ最終書類を提出します。

KSO SCISIの案内では、主に以下の書類が挙げられています。

  • コマーシャル・インボイス
  • パッキングリスト
  • 船荷証券(B/L)または航空貨物運送状(AWB)

商業大臣規則では、輸入品のLSは、最終版のパッキングリストとインボイスが完全な状態で輸入者からサーベイヤーへ提出されたあと、最長1日で発行すると定められています。

発行されたLSは、商業省のシステムINATRADEを経由して、輸入手続きのハブシステムであるINSWへ送信されます。このあとは品目に応じて、税関手続きの補足書類またはポストボーダーで確認される輸入要件書類として使用されます。

輸入手続きに使えない「NNLS」

KSO SCISIは、以下のようなケースで、「NNLS(Non Negotiable Laporan Surveyor)」を発行するとしています。NNLSは、輸入手続きで通常のLSと同じように使用できない可能性があります。

  • 現物確認から30日以内に、輸入者が最終書類を提出しなかった場合
  • 検証済みの商品が輸出者により出荷されなかった場合、または注文がキャンセルされた場合

貨物をすでに出荷している状態でNNLSが発行された場合、通常のLSを輸入手続きで使用できず、通関の停滞、保管料の発生、追加手続き、最悪の場合には積み戻しなどにつながる可能性があります。

現物検査を受けた後は、最終書類を速やかに提出することが重要です。

カジュアルにインドネシア進出を試した小売企業様の事例

インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。

  • 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用し、ドラッグストアやショッピングモールでの市場調査、競合商品の価格調査、現地消費者へのインタビューを実施。市場性を確認した上で、正式なインドネシア進出を決定した。(化粧品企業様)
  • 営業経験のあるインドネシア人を2名チームで雇用し、スポーツジムや病院、リハビリ施設などへの営業活動を実施。販売代理店候補の開拓や市場ニーズを調査し、調査後に販売体制を構築した。(健康器具メーカー様)
  • EC運営経験のあるインドネシア人チームを雇用し、現地ECモールへの出品やSNSを活用したテストマーケティングを実施。売れ筋商品やターゲット層を分析し、本格的な販売開始につなげた。(総合雑貨メーカー様)

上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。小売関連のビジネスであれば、貴社でもそれが可能です。

インドネシア側の輸入者が担う役割

LSの手続きでは、日本側の輸出者も協力が必要な場合があります。ただし、手続きの中心となるのはインドネシア側の輸入者です。

LS関連の準備・手続き

輸入者は、主に以下の対応を行います。

  • 自社商品にLSが必要か確認する
  • 対象品目に対応する指定サーベイヤーを確認する
  • ユーザーIDを取得するなど、手続きの準備をする
  • VPTI申請(VR)を提出する
  • サーベイヤーと輸出者の連絡を調整する
  • 検査後に最終書類を提出する
  • 費用を精算する
  • LSを輸入手続きで使用する
  • LS取得後の実績報告を行う

LS以外の輸入条件の確認

輸入者は、LSだけでなく、商品に関係するほかの規制も確認する必要があります。

代表的なものとして、以下が挙げられます。

  • 輸入承認(PI)
  • BPOM登録
  • ハラール認証・表示
  • SNI認証
  • 検疫関連書類
  • 商品バランス(NK)
  • 輸入港・空港の指定
  • 関係省庁による技術診断書・推薦状
  • ラベル表示

日本の輸出側は、輸入者がこれらの規制対応を行うために必要な書類・情報を提出するなど、必要に応じて協力します。

LS取得後の実績報告

輸入者の対応は、LSを取得して通関を終えれば完了するわけではありません。原則として翌月15日までに、INSW内のSSm Perizinanを通じて実績報告を行う必要があります。

実績報告の未提出分があると、新規申請や変更申請が受理されない場合があります。

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LSの取得で注意したいポイント

発注前にLSの要否を確認する

LSが必要かどうかは、輸出条件や納期を確定する前に確認しましょう。HSコードが確定していない段階では仮の確認になる場合もありますが、発注前にある程度見当をつけておけると理想的です。

出荷後に不足が判明すると、検査対応のために追加手続きが必要になる、保管料が発生する、納期に間に合わないといった問題が起こり得るため、事前の対応が欠かせません。

また、「過去に同じ商品を輸入できた」という理由だけで、各許認可の要否を判断するのも危険です。インドネシアの輸入規制は改正されることがあるため、継続的に輸出する商品でも、出荷前に最新の規則を確認する必要があります。

HSコードだけでなく、品名・仕様も確認する

LSの要否を調べるときは、HSコードだけに頼らないようにします。

前述のとおり、品目別規則の付表では、HSコードとともに品名・商品説明が掲載されています。また、同じ品目に見える商品でも、仕様、用途、新品・中古品の区分、輸入者のAPI区分などにより条件が異なる場合があります。

【補足】
日本側が輸出時に使うHSコードと、インドネシア側が輸入時に適用するHSコードが異なるケースがあります。輸入者が通関業者と決定した8桁のHSコードを輸出者側でも確認し、検査書類と一致させることが重要です。

輸出者と輸入者の役割分担を決める

LSの申請主体は、原則としてインドネシア側の輸入者です。一方、日本側の輸出者には、検査依頼書(RFI)への回答や、商品資料の提出、検査場所の調整、現物検査への立会い、最終書類の提出などが求められます。

費用についても、誰が負担するのかを事前に決めておく必要があります。検査費用だけでなく、再検査費用、追加資料の作成費用などの負担者も事前に確認しておくと安心です。

輸出側も協力してスムーズな手続きを

サーベイヤーレポート(LS)は、一部の輸入規制対象品について、指定サーベイヤーによるVPTI(検証・技術調査)の結果として発行される書類です。すべての商品に必要なわけではありませんが、食品、電子機器、鉄鋼、繊維、中古設備など幅広い品目が対象になっています。

申請主体はインドネシア側の輸入者ですが、日本側の輸出者にもRFIへの回答や船積み前検査への対応が求められます。検査後の最終書類提出や実績報告も含め、出荷前に役割分担とスケジュールを整理することが重要です。

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