インドネシアのDKP-TKA(旧DPKK:外国人労働者利用補償基金)とは
- 公開
- 2025/11/20
- 更新
- 2026/09/30
- この記事は約4分52秒で読めます。
インドネシアで外国人労働者(TKA)を採用する企業には、DKP-TKA(Dana Kompensasi Penggunaan Tenaga Kerja Asing)と呼ばれる補償金の支払い義務があります。
これは、外国人労働者の受け入れと引き換えに、インドネシア人労働者の技能向上や労働行政サービスの改善を図るために設けられた制度で、以前はDPKKと呼ばれていました。
本記事では、最新規則に基づき、日本人ビジネスパーソンが押さえておくべきDPKK(現DKP-TKA)のポイントを整理します。
インドネシアへ現地視察する際の注意点
「本当は工場を訪問して機械のメンテナンスをすることが目的だけど、ビザ取得が煩雑そうなので、とりあえず到着ビザ(VOA)でこっそりメンテナンスをしよう」と考える方もいます。
ところが、目的に合ったビザを取得しなかったことでトラブルに巻き込まれるケースを多数見聞きしてきたので、適切なビザを申請して訪問することを強くおすすめします。
「なぜバレるのか」という疑問がわくかもしれませんが、その1つとして宿泊施設と入国管理局(イミグレ)との連携があります。インドネシアでは外国人を宿泊・滞在させるときに、宿泊施設がイミグレに報告する義務があります。そこの連携が原因で目的外の活動をした際に、その行為がバレてしまうのです。
DPKK(現DKP-TKA)の概要と役割
DKP-TKA は、外国人を雇用する企業(Pemberi Kerja TKA)が国庫へ支払う義務的な補償金です。請求・管理はすべて労働省と国家財務当局により実施され、非課税国収入(PNBP)として扱われます。
誰がいくら支払うのか
- 支払者:外国人労働者を雇用する企業
- 金額:
1名のTKAにつき、1職務(役職)あたり月額100米ドル(雇用期間分を一括前払い)
※1か月未満の雇用でも1か月分を支払う
なお、政府機関、外国公館、国際機関、社会団体、宗教団体、教育機関内の特定職務については、DKP-TKAの支払いが免除されます。
DKP-TKAの目的
DKP-TKA の導入背景には、外国人労働者に依存しすぎないための仕組み作りという政策意図があります。
- インドネシア人労働者の能力向上・技能開発を支援するための財源
- 労働省の行政サービスの質向上および非課税国収入(PNBP)の増加に充当
- 労働者の職業訓練・技能認証・保護施策などに使用
特に、インドネシア人労働者の競争力を高め、より高度な職務を担えるようにすることが重視されています。
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DKP-TKAの支払いが「1職務あたり100米ドル」とはどういうことですか。
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DKP-TKAは、外国人労働者「1名あたり」ではなく、「1職務あたり」100米ドルと定められています。つまり、外国人従業員雇用計画書(RPTKA)で規定した当該職員の職務が2つある(兼務)場合、その職員の雇用のためのDKP-TKAは200米ドルになります。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
DPKK(現DKP-TKA)を支払うタイミングと支払い方法
支払いのタイミング
DKP-TKAは前払いでの納付が義務付けられています。
外国人の雇用にあたっては、まず外国人従業員雇用計画書(RPTKA)を作成・提出します。RPTKAが承認されると就労ビザ発給を許可する通知(Notifikasi)が発行されるので、これに従い支払いを済ませます。支払いが確認されると、就労ビザ発給のプロセスに進みます。
支払い方法
DKP-TKAの支払いは、SIMPONI(非課税国収入オンラインシステム)から行います。外国人の雇用が初めての企業は、まず、SIMPONIにアカウントを作成します。ログイン後、当該外国人の情報などを入力すると、DKP-TKAの支払いコード(Billing Code)が発給されます。これを使って支払いを済ませます。
DPKK(現DKP-TKA)に関する注意点
返金が認められるケースと条件
DKP-TKAの返金が可能なのは 「TKA がインドネシアに来訪しなかった場合のみ」 です。返金申請には、「DKP-TKA納付証明」、「当該外国人が来訪しなかったことを証明する当局の文書」などが必要です。
申請は オンラインシステム「TKA Online」で行います。返金申請の期限は、通知(Notifikasi)発行日から1年間です。
DKP-TKA未払い時の制裁
DKP-TKAを支払わない場合、企業は制裁を受ける可能性があります。
まず、DKP-TKAが未払いの場合、当該外国人の就労ビザ発給が承認されません。また、既に就労している外国人のDKP-TKAを支払わなかった場合、当該外国人は合法的に勤務を継続できなくなります。
企業も、罰金や外国人労働者使用許可の取り消しなどの制裁が科される可能性があります。
- 参考:Database Peraturan「permenaker-no-20-tahun-2019」 / 「permenaker-no-15-tahun-2022」/ 「Undang-undang (UU) Nomor 6 Tahun 2023」
映像でみるDPKK(現DKP-TKA)
若者の多いインドネシアは、高い失業率(5%前後)に悩まされています。
そのため外国人労働者の就労は、専門職・管理職・特定技術分野に限られ、本記事で紹介したように外国人従業員雇用計画書(RPTKA)によって役職・職種を規定することや、外国人労働者利用補償基金(DKP-TKA)を支払うことが義務付けられています。
同時にインドネシアは、人材不足にも直面しています。「高失業率×人材不足」の状況を改善するため、インドネシア政府は、地方政府や企業などと協力し、さまざまな人材育成・職業訓練プログラムを実施しています。
公的職業訓練機関「BLK」

インドネシアの職業訓練機関としては民間のLPKが知られますが、公的な機関としてはBLK(Balai Latihan Kerja)があります。
こちらの動画は、東ジャワ州のTulungagung(トゥルンガグン)技術訓練センター(UPT BLK)が開催する、無料の旋盤操作トレーニングへの参加者を募集するものです。
このトレーニングは、教材、道具、ユニフォームを含め、完全無料。昼食や交通費も支給されます。修了すると、BNSP(国家職業資格認証機構)による公式認定が受けられるとのことです。
官民協働の職業訓練プログラム

2024年11月、インドネシア労働省の職業訓練センター「Cevest Bekasi」は、電子産業を中心とする企業・団体との協力協定を締結し、その調印式が開催されました。
式典にはYassierli(ヤシエルリ)労働大臣、パナソニック・グローバル・グループ会長のRahmat Gobel(ラフマット・ゴーベル)氏、国際労働機関(ILO)インドネシア・東ティモール事務所代表のSimrin C. Singh(シムリン・シン)氏が出席。協力先にはパナソニック関連の社会貢献団体である松下ゴーベル財団(MGF)も含まれ、ILO の実施パートナーとして電子産業の人材育成を支援します。
この協力の目的は、インドネシア人労働者のスキル不足を補うため、スキリング・リスキリング・アップスキリングを体系的に強化し、電子産業の競争力を高めることにあります。
政府は対象人数を従来の25万人から100万人へ拡大し、官民連携による人材育成エコシステムの構築を目指しています。
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インドネシアは若者人口が多いのに、なぜ人材不足になるのですか。
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インドネシアの人材不足の主な要因は若者のスキル不足です。経済格差、社会インフラ格差などが影響し、高度な教育を受けられない人が多いため、慢性的にスキル人材が不足しています。
― ビジネス最前線の声
DKP-TKAは就労ビザ申請プロセスの一部
インドネシアでは、外国人労働者の受け入れを限定的に認める一方で、自国民のスキル不足と人材育成の遅れという課題を抱えています。DPKK(現DKP-TKA)は、外国人を雇用する企業からの補償金ををインドネシア人労働者の能力開発や職業訓練の強化に活用することで、課題解決に役立てようという制度です。
DKP-TKAの支払いは、就労ビザ申請のプロセスの一部であり、特に難しいものではありません。制度を正しく理解し、滞りなく納付しましょう。
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