インドネシアの源泉徴収税について

公開
2025/08/03
更新
2026/01/02
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源泉徴収税は、所得が発生する段階で税金が徴収される制度であり、インドネシアにおける税務管理の基本的な部分を形成しています。インドネシアでのビジネスや投資を考えている方にとって、現地の税制、特に源泉徴収税の知識は非常に重要です。

日本では、個人所得の源泉徴収については馴染みがありますが、インドネシアでは他にも様々な源泉徴収税が存在します。今回の記事では、インドネシアの源泉徴収税の基本的な概要や税率についてご紹介します。

円表記は2024年3月25日のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。

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インドネシアの源泉徴収税とは

インドネシアにおける所得税の徴収方法は、源泉徴収方式が採用されています。給与、報酬、利子、配当、使用料などの特定の所得項目について、支払側(雇用主、サービスの提供を受ける側)が税金を源泉徴収します。

インドネシアでは、各種源泉徴収税が所得税法(PPh)に基づき関連する条文番号を用いて区分されており、以下のような種類があります。  

  • 第21条(PPh21): 個人所得税の源泉徴収 
  • 第22条(PPh22): 輸入時の源泉徴収 
  • 第4条2項(PPh4-2): 最終課税/源泉分離課税 
  • 第23条(PPh23):インドネシア居住者への支払い、サービス対価等にかかる源泉税 
  • 第26条(PPh26):インドネシア非居住者への支払い、海外取引にかかる源泉税 

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第21条(PPh21): 個人所得税の源泉徴収 

第21条(PPh21)は、給与や個人へのその他の支払いに関連する税金の徴収に関する重要な規定です。

この規定は、雇用主が従業員に支払う給与から税金を徴収し、政府に納付することを義務付けています。そしてPPh21とは、個人納税者が国内で行う仕事、サービス、活動から受け取った個人の所得に対する源泉徴収税です。適用される税率は年間所得によって異なります。

インドネシアの源泉徴収税PPh21のイメージ画像

対象となる所得

  • 正社員の給与 
  • 年金受給者が定期的に受け取る年金または同種の収入として受け取る所得 
  • 解雇に対する補償金、定年退職時の補償金 
  • 有期雇用社員が日給、週休、単位賃金、出来高賃金、月給として受け取る所得 
  • フリーランスが受け取る報酬 
  • イベントの参加・出演者が受け取る報酬 

税率

被雇用者が居住者の場合

  • 年間所得 6,000 万ルピア(約57万円)以下:5% 
  • 年間所得 6,000 万ルピア超 2 億 5,000 万ルピア以下(約57万円〜239万円):15% 
  • 年間所得 2 億 5,000 万ルピア超 5 億ルピア以下(約239万円〜478万円):25% 
  • 年間所得 5 億ルピア超 50 億ルピア以下(約478万円〜4,782万円):30% 
  • 年間所得 50 億ルピア(約4,782万円)超:35%  

非居住者の場合は、第26条所得税(非居住者への支払い)が適用され、税率は20%です。

ただし、非居住者がインドネシアとの租税条約締結国の居住者(例:日本に住むフリーランス)であれば、その方の居住者証明書/DGTフォームを国税総局(DGT)に登録することで源泉税率が軽減もしくは免除される場合があります。

納税義務者

給与所得に関する以下の雇用主

  • 居住法人:国内に本社または主たる事務所を置く法人 
  • 恒久的施設(PE):国内に恒久的な事業施設を持つ外国企業 
  • 外国企業の駐在員事務所:国内に設置された外国企業の事務所 
  • 事業組織および制定された個人:特定の事業を行う組織や個人 

雇用主は、従業員に支給する給与からPPh21を毎月天引きして従業員に代わって国庫に納付する義務があります。尚、納税者番号(NPWP)を取得していない個人納税者には通常の源泉税に加えて20%の課徴金が課されます。 

納税期日

  • 給与や報酬を支払った月の翌月10日まで

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第22条(PPh22): 輸入等にかかる所得税の源泉徴収 

第22条(PPh22)とは、輸入される商品に対して適用される所得税の源泉徴収に関する規定です。この税制は、輸入業者や特定の商品を購入する事業者に影響を与えます。PPh22は、貿易会社や商社などが物品を輸入する際に納税する所得税です。

輸入する物品がインドネシアに到着すると税関から輸入申告書(PIB)が発行され、輸入関税、付加価値税、PPh22の3つを納税する流れとなります。PPh22の税率は、輸入者のライセンスによって異なります。また、一部の物品においては法令規則に基づいて税率が増減することがあります。 

PPh22のイメージ画像

対象となる所得

  • 物品の輸入価格(価格プラス輸入関税の合計金額)
  • 落札輸入物品の入札価格
  • 石油燃料、ガス燃料、潤滑油等の購入時における販売価格 
  • 現地の販売業者からのセメント、紙製品、鉄鋼製品、自動車製品の購入時における販売価格など

税率

  • 輸入業者認定番号(API)を保有している業者:2.5%
  • 輸入業者認定番号(API)を保有していない業者:7.5%

納税者番号(NPWP)を取得していない納税者には、通常の税率に加えて100%の課徴金が課されます。

尚、国税総局(DGT)へ課税免除証明の申請を行い、非課税証明書(Tax Exemption Certificate/SKB)を取得できた場合は非課税にすることが可能です。非課税対象の輸入品の例は以下の通りです。

  1. ワクチン、教科書、聖典
  2. 工場機械、工場設備
  3. 水産物、畜産物、種、苗、飼料、飼料原料
  4. 電気、水道水、武器、弾薬
  5. インドネシア国軍や国家警察用の車両
  6. 水上の乗り物、列車、漁船、航空機
  7. 障害者用商品
  8. 研究関連用品
  9. 引越し荷物、受託手荷物

納税義務者

  • 輸入業者

納税期日

  • 輸入申告書(PIB)が発行された日の翌営業日まで

第4条2項(PPh4-2): 最終課税/源泉分離課税 

第4条2項(PPh4-2)は、特定の収入に対する最終課税(Final tax)または源泉分離課税に関する規定です。特定の収入を得た際にその収入に対して一定の税率で税金が徴収されます。

土地や建物の売却時に発生する譲渡所得、銀行預金の利子所得、宝くじの当選所得、年度で総売上が48億ルピア(約4,608万円)を超えない個人および会社(恒久的施設(PE)を除く)が受領する特定の所得などが対象で、これらの所得に対して税金が源泉徴収されることで課税処理は完了します。

対象となる所得 

  • 譲渡所得:土地や建物を売却した際に得られる所得 
  • 利子所得:銀行預金から得られる利子 
  • 宝くじ当選所得:宝くじに当選した際に得られる所得
  • 年度で総売上が48億ルピア(約4,608万円)を超えない個人および会社(恒久的施設(PE)を除く)が受領する特定の所得など 

税率

項目によって様々なため「インドネシア税務ポケットブック2023年」のP.14からご確認ください。

納税義務者 

納税義務者は、請求者と購入者が個人なのか法人なのかによって異なります。

PPh4-2のイメージ画像

  • 居住法人:国内に本社または主たる事務所を置く法人 
  • 恒久的施設(PE):国内に恒久的な事業施設を持つ外国企業 
  • 外国企業の駐在員事務所:国内に設置された外国企業の事務所 
  • 事業組織および制定された個人:特定の事業を行う組織や個人 

PPh4-2は納税することで課税処理は完了となるものの、請求者または購入者は納税義務者から受け取るPPh4-2の納税証明書に記載された金額を年度末の確定申告フォームに記入して申告を行う必要があります。

※購入者が中小企業の場合
対象となる所得に関係なく、顧客から受領する請求書には全てPPh4-2が発生し、月次に法人税として納税を行います。月次で法人税を支払っているため年度末の確定申告は不要です。

納税期日

  • 報酬を得た月の翌月10日まで
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第23条(PPh23):居住者への支払い、サービス対価等にかかる源泉税 

第23条(PPh23)は、インドネシア国内で提供されるほとんどのサービスに対して課税される源泉税に関する規定です。この源泉税は、居住納税者への特定の支払いに対して課され、その総額に対して一定の税率が適用されます。2つの税率があり、所得の種類によって異なります。 

インドネシアの源泉所得税PPh23のイメージ画像

対象となる所得

グループa

  • 配当
  • 利子(プレミアム、割引、ローン保証料を含む)
  • ロイヤリティ 
  • 懸賞金および賞金

グループb

  • 土地・建物以外の資産のレンタル料 
  • テクニカルサービス、マネジメントサービス、コンサルティングサービス、およびその他のサービスに関する報酬(第21条(PPh21)により源泉徴収されたサービスを除く)

税率

  • グループa:15%
  • グループb:2%

納税義務者

支払いを行う以下の事業者

  • 居住法人:国内に本社または主たる事務所を置く法人 
  • 恒久的施設(PE):国内に恒久的な事業施設を持つ外国企業 
  • 外国企業の駐在員事務所:国内に設置された外国企業の事務所 
  • 事業組織および制定された個人:特定の事業を行う組織や個人 

納税期日

  • 報酬を得た月の翌月10日まで

第26条(PPh26):非居住者への支払い、海外取引にかかる源泉税 

第26条(PPh26)は、非居住者への不労所得やサービス対価等の支払いに対して課される源泉税に関する規定です。この税制は、インドネシア国内の居住者や事業体が非居住者に対して行う特定の支払いに適用されます。 

インドネシアの源泉所得税PPh26のイメージ画像

対象となる所得

グループa

  • 非居住者への不労所得
  • 海外取引のサービス対価等

グループb

  • 海外保険会社に支払う保険料
  • 非居住者による未上場株式会社の売却

税率

  • グループa:20%
  • グループb:支払う対象によって異なります。

※グループa・bの支払いの受領者がインドネシアとの租税条約締結国の居住者の場合は源泉税率が軽減、もしくは免除される場合があります。
例)保険料を支払われた日本法人の保険会社の居住者証明書/DGTフォームがインドネシアの税務署に登録されている場合。

納税義務者 

支払いを行う以下の事業者

  • 居住納税者:インドネシア国内の居住者や居住法人 
  • 恒久的施設(PE):国内に恒久的な事業施設を持つ外国企業 
  • 事業組織体:インドネシア国内で事業を行う組織 
  • 外国企業の駐在員事務所:インドネシア国内に設置された外国企業の事務所 

納税期日

  • 支払いを行った月の翌月10日まで

まとめ

以上のように、源泉徴収が適用される所得の種類は、所得税法によって細かく分けられています。種類によっては免税されるものや税率を軽減できるものもあり、税制上のリスクを回避するため、また、余分な支払いを防ぐために、適切に理解しておく必要があります。

源泉税に関して不明な点や相談がある企業さまは、ぜひ一度、弊社にお問い合わせください。

参考文献:インドネシア税務ポケットブック 2023年(URL:https://www.pwc.com/id/en/pocket-tax-book/japanese/pocket-tax-book-2023-jpn.pdf

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弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライターと編集者が協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。弊社からの不躾なお願いになってしまうのですが、是非SNSでこちらの記事をご紹介いただけないでしょうか。一言コメントを添えてシェアしていただけると本当に嬉しいです。

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フリーランスに単発で業務を依頼して働いてもらいました。会社はフリーランスの所得税を支払う必要がありますか?

はい、頻度に関係なく勤務したフリーランスの所得税は会社が代行して納税しなければなりません。所得税はフリーランスの報酬から源泉徴収するか、もしくは会社負担で支払います。

インドネシア国内の会社Aにサービス料金を支払います。何の源泉税を納税する必要がありますか?

支払先である会社Aがインドネシア国内の会社である場合、PPh23(サービス対価等にかかる源泉税)を会社Aの請求額から源泉徴収して納税します。

年間総売上が48億ルピア以下の中小企業がインドネシア国内の会社Aにサービス料を支払います。何の源泉税を納税する必要がありますか?

中小企業からインドネシア国内企業への支払いについては、PPh4-2(最終課税)を請求額から源泉徴収して納税します。

インドネシア国内の会社Aが日本にある日本法人へサービス料を支払います。何の源泉税を納税する必要がありますか?

インドネシア国内の会社Aが日本国内の日本法人へサービス料を支払う場合、PPh26(海外取引にかかる源泉税)をサービス料から源泉徴収して納税します。日本法人の居住者証明書を国税総局(DGT)に登録することでPPh26の源泉税率を軽減もしくは免除できます。

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