インドネシアの国営企業の現状と主要企業
- 公開
- 2025/11/17
- 更新
- 2026/06/20
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インドネシアの国営企業(BUMN:Badan Usaha Milik Negara)は、エネルギー、通信、金融、交通など国の基幹産業を支える中核的存在です。国家が資本の全部または大部分を直接出資し、公共の利益と経済発展の両立を目的として運営されています。
近年は、持続的成長と国際競争力の向上を目指し、政府による再編・民営化・デジタル化が進行中です。2025年には国家投資管理庁(Danantara)の設立と国営企業省の廃止という大きな制度転換が行われ、国営企業は新たな体制のもとで国家経済の推進役として進化を続けています。
本記事では、インドネシアの国営企業について、その概要や種類・活動分野、主要な企業を紹介します。
インドネシアの国営企業(BUMN)とは
国営企業の定義
インドネシアの国営企業(BUMN:Badan Usaha Milik Negara)は、国家がその資本の全部または大部分を直接出資して所有する事業体です。協同組合・民間企業と並び、インドネシア経済の三大主体の一つとされています。
国営企業は、憲法第33条の「国家にとって重要で国民生活に影響する主要産業は国家の支配下に置かれる」という理念に基づき、「国営企業法(法律第19号・2003年)」の規定によって設立・運営されています。
国営企業の資金は「国家財産の分離部分(政府が国営企業のために国家予算の一部を切り離して出資し、各国営企業がその責任において独立して管理できるもの)」から拠出されます。
国営企業の目的
経済政策の実施機関である国営企業の目的は、「公共の利益の確保」、つまり国民の福祉と、「国家経済の発展」の2つです。この目的達成のため、医療、エネルギー、通信、交通、金融、農業など、国民生活に欠かせない広範な分野が活動のフィールドとなっています。
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インドネシアの国営企業は、100%政府が出資していますか。
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インドネシアの国営企業(BUMN)には、株式の51%以上を国家が保有する株式会社型の企業と、国家が資本を100%保有する公社型の企業があります。
インドネシアの国営企業(BUMN)の種類と活動分野
国営企業の種類
インドネシアの国営企業は、大きく次の2つの形態に分類されます。
- Persero(株式会社型):
政府が過半数の株式を保有し、営利を目的とする企業。株式上場(IPO)や民間との提携が可能。 - Perum(公社型):
全資本を国家が保有し、営利よりも国民サービスを優先する公共事業体。
これらの企業は、国営企業省のもとで12の事業クラスターに再編され、2名の副大臣によって監督されていました(2024年時点)。
国家投資管理庁(Danantara)の設置と国営企業省の廃止
インドネシア政府は2025年初め、新たに国家投資管理庁(Danantara)を設立。それまで国営企業省が一元的に行っていた国営企業の監督・出資・人事・経営方針の統括を見直し、国家の成長戦略や国際投資に直結するエネルギー、電力、通信などの主要企業をDanantaraの管理下に移しました。
一方で、公共サービス色の強い国営企業は、従来どおり政府の監督下に置かれています。
その後、2025年10月に国営企業省は正式に廃止され、その機能は新設された国営企業監督庁に引き継がれました。現在は、政策・法令面の監督を国営企業監督庁が、出資や投資運用をDanantaraが担う二層体制へと移行しています。
インドネシア国営企業の12クラスターと主要企業
インドネシアの国営企業が活躍する12の分野と、それぞれの主要企業を紹介します。
【補足】
国営企業省の廃止により、2人の副大臣が12のクラスターを管轄する体制も再編される可能性があります。
1. エネルギー・石油ガス
国家のエネルギー安全保障を担い、石油・ガス供給と再生可能エネルギー開発を推進。
- PT Pertamina (Persero) – 国営石油・ガス企業
- PT Perusahaan Gas Negara (Persero) Tbk. / PGN – 国営ガス供給会社
2. 鉱物・石炭
鉱業・金属資源の採掘・加工を通じ、製造・輸出産業の基盤を支える。
- PT Aneka Tambang (Persero) Tbk. / ANTAM – 金属・鉱物資源企業
- PT Timah (Persero) Tbk. – 錫鉱山会社
3. 食料・肥料
食料備蓄・価格安定・農業資材供給を担い、食料安全保障に寄与。
- Perum Bulog – 米の備蓄・価格調整
4. プランテーション・林業
森林資源管理・木材関連事業を通じ、環境保全と持続的利用を推進。
- Perum Perhutani – 森林・木材資源の管理・保全
5. 医療・ヘルスケア
医薬品・ワクチン製造を担う国営医療企業群。公衆衛生と国民医療の基盤を形成。
- PT Kimia Farma (Persero) Tbk.
- PT Bio Farma (Persero)
- PT Indofarma (Persero) Tbk.
6. 製造
航空機・兵器・鉄道・電子機器などの製造を担い、技術の国産化を推進。
- PT Dirgantara Indonesia (Persero) – 航空機製造
- PT Pindad (Persero) – 兵器・防衛装備製造
- PT LEN Industri (Persero) – 電子・通信・防衛機器開発
- PT Industri Kereta Api (Persero) / INKA – 鉄道車両製造
7. 通信・メディア
通信ネットワークとデジタルインフラを整備し、5G・クラウド・データセンター事業を推進。
- PT Telkom Indonesia (Persero) Tbk. – 通信・インターネット事業
8. 物流
港湾・海運・郵便・陸運を統合し、全国物流ネットワークを効率化。
- PT Pelabuhan Indonesia (Persero) / Pelindo – 港湾運営
- PT Pelayaran Nasional Indonesia (Persero) / Pelni – 海運
- Perum Pos Indonesia – 郵便・物流サービス
- Perum Damri – 国営バス輸送
9. インフラ
建設・高速道路・住宅・電力を通じて地域開発を推進。
- PT Waskita Karya (Persero) Tbk. – 建設
- PT Jasa Marga (Persero) Tbk. – 高速道路運営
- Perum Perumnas – 住宅開発公社
- PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) / PLN – 電力供給
10. 金融
国営銀行・保険・年金などを通じて、金融サービスの提供と中小企業支援を実施。
- PT Bank Mandiri (Persero) Tbk.
- PT Bank Negara Indonesia (Persero) Tbk. / BNI
- PT Bank Rakyat Indonesia (Persero) Tbk. / BRI
- PT Bank Tabungan Negara (Persero) Tbk. / BTN
11. 保険・年金
国営保険・年金基金を通じ、社会保障と老後生活の安定を支援。
- PT Asabri (Persero) – 年金・保険サービス
- PT Taspen (Persero) – 公務員等の年金・退職金制度の管理会社
12. 観光・関連分野支援
観光・運輸分野を担い、地域経済の活性化に貢献。
- PT Garuda Indonesia (Persero) Tbk. – 国営航空会社
- PT Aviasi Pariwisata Indonesia (Persero) – 通称InJourney。航空・観光産業の国営持株会社
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インドネシアには何社の国営企業(BUMN)がありますか。
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インドネシアの国営企業(BUMN)はかつて親会社だけで140社ほどありましたが、近年は再編・統合が進んでいます。政府は2025年までに70社未満に整理することを目標としています。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
映像でみるインドネシアの国営企業(BUMN)
Pertamina の「その他の事業」

インドネシアの最大手石油・天然ガス関連会社であるPertaminaの主な事業は、石油・天然ガスの採掘・精製や、国内販売および輸出です。
一方で同社は子会社を通し、国民の福祉や経済発展のため、さまざまな事業を展開しています。この動画で紹介されているのは、以下の事業です。
- Pertamina Bina Medika IHC:全国に72の病院と58のクリニックを展開する持ち株会社
- Tugu Insurance:エネルギー・物流事業関連を主な対象とする損害保険会社
- Pertamina Pedeve Indonesia:プルタミナの子会社・関連会社を対象とした投資会社
Garuda IndonesiaのSDGsへの取り組み

こちらの動画では、ガルーダ・インドネシア航空のSDGsに向けた取り組みが紹介されています。
- カーボンオフセット・プログラム:
フライトの二酸化炭素排出量との相殺と長期的な森林再生支援を目的とした植樹活動を実施 - EV導入:
二酸化炭素の排出を最小限に抑え、運用効率を向上させるため、航空機地上支援器材に電動機器(EV)を導入 - 従業員主導のSDGs:
ペットボトルを回収・リサイクルする従業員の取り組みで、2025年10月までに3万2,755本のボトルを回収し、3,243㎏の二酸化炭素を削減 - 環境配慮型のフライト計画:
すべてのフライトは持続可能性を考慮し、燃料の効率化のため最適化された経路と高度で運行 - 環境にやさしい機内体験:
再利用可能で持続可能な素材のアメニティやグッズを提供 - 地産地消とリサイクル:
地元食材を使った機内食の提供 / 機内食からの使用済み食用油を回収し、持続可能な航空燃料(SAF)の生産に活用
なお、カーボンオフセット・プログラムには、乗客も参加できます。乗客は専用Webページで自身が利用するフライトの炭素排出量を計算でき、排出量をオフセット(相殺)するため、このプログラムに寄付できる仕組みになっています。
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改革と協業で進化するインドネシアの国営企業
インドネシア政府は、国営企業(BUMN)の効率化と国際競争力の強化を目的に、大規模な再編を進めています。特に2020年以降は「ホールディング化」「合併」「IPO(株式上場)」を推進し、100社以上あった国営企業を2025年までに70社未満へ統合する方針です。これにより重複事業を整理し、収益性と透明性を高める狙いがあります。
インドネシアの国営企業は近年、デジタル化を進めており、5G通信、デジタル決済、データセンターなど新産業領域での競争力が拡大しています。また、再生可能エネルギー分野でも上場や民間資本の導入を通じて事業強化が進んでいます。一方で、燃料・電力・食料の安定供給や地方開発など、公共性の高い使命も引き続き担っています。
今後は、エネルギー転換、デジタル経済、インフラ開発を重点分野として、民間・外資との連携がさらに加速する見通しです。
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