建設業界で働けるインドネシア人材を採用する方法と費用

公開
2024/12/21
更新
2026/06/20
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日本の建設分野におけるインドネシア人材の活用は、近年、技能実習制度や特定技能制度を通じて拡大しています。両制度を合わせると、建設分野で働くインドネシア人は、3万人を超えました。現状ではその大半が技能実習生ですが、特定技能の人数も急増しています。

本記事では、建設分野における技能実習と特定技能制度を通したインドネシア人の採用について、その概要やメリット・デメリットを解説します。

【補足】
本記事の円表記は、2024年12月19日のレート(1ルピア=0.0096円)で換算したものです。

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日本の建設分野で働くインドネシア人の現状

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技能実習「建設関係」

2023年度の技能実習計画認定件数をみると、インドネシア人技能実習生は7万4,879人で、ベトナム人に次いで多くなっています。

7万4,879人のうち建設関係は2万7,346人で、産業分野別で一番多くなっています。2022年度と比較すると1万3,545人から約2倍になりました。

参考:外国人技能実習機構
「令和5年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」
「統計令和5年度概要P.3-5」
「令和4年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」

特定技能「建設分野」

特定技能各産業分野に従事するインドネシア人の数
特定技能1号在留外国人数「第1表、第2表、第3表(PDF)」より弊社作成

2024年6月末時点で、特定技能1号の在留資格で日本に滞在するインドネシア人は4万4,298人で、こちらもベトナム人に次いで2番目に多くなっています。

そのうち建設分野は3,075人で、介護分野、飲食料品製造業分野、農業分野、工業製品製造業分野(旧素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)に次いで5番目に多い分野です。2022年6月末と比較すると、人数は596人から5.2倍となりました。特定技能の産業分野の中でも、インドネシア人が特に増えている分野の1つです。

建設分野の技能試験は、以前は日本国内のみで実施されていましたが、2023年7月からは、インドネシアでも受験できるようになりました。今後は技能実習を経ずに特定技能の資格を取る人が増えると予想されます。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」

インドネシア経済の魅力について

技能実習制度による採用

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採用の流れ

インドネシア人技能実習生の受け入れには、インドネシア側と日本側でそれぞれ仲介業者を通す必要があります。

インドネシア側の送り出し機関はSOと呼ばれます。SOは職業訓練機関LPKの資格も持つため、LPKの名称の方がよく知られています。日本側には、受け入れ先に対する指導や監査などを行う監理団体という組織があります。

技能実習制度での在留期間は最大5年間ですが、技能実習2号または3号から、特定技能へ資格変更することができます。

参考:外国人技能実習機構「令和5年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」

仕事内容

技能実習「建設関係」には、次の分野が含まれます。

  • さく井
  • 建築板金
  • 冷凍空気調和機器施工
  • 建具製作
  • 建築大工
  • 型枠施工
  • 鉄筋施工
  • とび
  • 石材施工
  • タイル張り
  • かわらぶき
  • 左官
  • 配管
  • 熱絶縁施工
  • 内装仕上げ施工
  • サッシ施工
  • 防水施工
  • コンクリート圧送施工
  • ウェルポイント施工
  • 表装
  • 建設機械施工
  • 築炉

参考:出入国在留管理庁「令和5年度業務統計1-6国籍・地域別職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」

メリット・デメリット

人材の質

技能実習制度は本国への技術移転を目的に、外国人に日本の技術を習得させることを目指す制度です。そのため制度上は、建設業未経験者が派遣される可能性がある点がデメリットです。

また日本語力についても、要件はありません。ただ、インドネシア政府は特定技能と同じ日本語能力試験(JLPT)N4への合格を推奨しており、近年は多くの技能実習候補者が日本語を勉強してから渡航しています。

雇用の安定性

技能実習生の在留期間は、最大で5年間と決まっています。また、実習期間中の各段階で、技能評価試験を受験させる必要もあります。家族の帯同が禁止されているなど、実習生にとっては不自由な点が多い制度なので、受け入れ機関(企業)側の手厚いサポートが求められる点に留意する必要があります。

実習終了後は、本人が希望する場合、特定技能へ資格変更することで働き続けてもらうこともできます。

コスト面

技能実習生の受け入れに当たっては、受け入れ機関はインドネシア側の送り出し機関と日本側の監理団体に対し、各種費用を支払う必要があります。金額は機関によりますが、大まかには以下の通りです。

実習生配属前の初期費用:60万円~
  • 監理団体への入会金 1万円~20万円
  • 監理団体への年会費 2万円~15万円※年額
  • JICTO(公益財団法人 国際人材協力機構)への年会費(任意加入) 10万円~30万円※年額
  • 技能実習生入国後配属までの費用(研修・講習手当・健康診断費用など) 実習生1人あたり約20万円

※現地で面接などを行う場合はその費用が必要です。
※入国準備費用(健康診断費用、教育費、渡航費用など)を一部負担するケースもあります。

実習生配属後の継続的な費用:実習生1人あたり年額40万円~
  • 配属後の監理団体への費用 約3万円※月額
  • 配属後の送り出し機関への費用 約5,000~1万円※月額

※ほかに、上記年会費関係、寮費用、在留資格更新費用、技能検定費用、帰国渡航費用など

監理団体に支払う金額を実習生の給与から差し引く受け入れ機関もありますが、本来ならやってはいけないことです。

このように規則違反をして低賃金で技能実習生を受け入れる機関が少なくないため、技能実習生の給与は低くなる傾向がありますが、「技能実習生は安く雇える」という認識は誤りです。

在留資格に関わらず、技能実習生を含む外国人の給料は、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」と規定されています。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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特定技能制度による採用

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採用の流れ

受け入れ機関になるには

受け入れ機関は、全産業分野に適用される基準を満たしている必要があります。例えば、「1年以内に解雇者がいない」「1年以内に行方不明者がいない」「5年間出入国・労働法違反がない」などです。

建設分野における上乗せ規制

建設分野の受け入れ機関には、全分野共通の基準に加え、建設分野の特性を踏まえて国土交通大臣が定める基準があります。ここには、「建設業法第3条の許可を受けていること」、「受入企業及び1号特定技能外国人の建設キャリアアップシステムへの登録」「特定技能外国人受入事業実施法人(建設技能人材機構(JAC))への加入及び当該法人が策定する行動規範の遵守」などが含まれます。

建設分野の受け入れ機関は、受入計画を作成し、国土交通大臣による審査・認定を受ける必要があります。

特定技能外国人を受け入れる企業または個人がJACに加入するルートは2つあります。1つは「正会員」になっている建設業者団体の会員となり、間接的にJACに加入する方法です。もう1つは、JACの「賛助会員」として直接加入する方法です。

参考:国土交通省「土地・不動産・建設業|概要資料:建設分野における外国人材の受入れP.7」

原則1対1で直接採用可能

特定技能制度で外国人を雇用する方法として、まずは技能実習からの資格変更があります。技能実習からの資格変更の場合、従事する仕事の区分が同じであれば、試験は免除されます。ほかに、既に日本に在留している留学生も、試験に合格すれば特定技能人材として採用できます。

技能実習を経ていないインドネシア人が、一から特定技能での渡日を目指す場合、原則、候補者と受け入れ機関は1対1のやりとりで採用を決定できます。

現状では候補者個人と企業が直接つながるのは難しく、インドネシアの場合は政府から認可を得た移民労働者配置会社(P3MI)を通すのが一般的です。

受け入れ企業側は、P3MIにマッチングを依頼したり、インドネシアのP3MIとつながりのある日本の人材紹介会社に依頼したりして、募集をかけます。また、各産業分野の管轄省庁や業界団体も、交流会の開催やマッチング支援などを行っています。他に、インドネシア政府が運用するオンライン求人・求職マッチングシステム「IPKOL」を通す方法もあります。

インドネシア政府は特定技能制度を活用した人材派遣に力を入れる方針で、マッチングシステムの強化を目指しています。現状ではP3MIやIPKOLの利用は候補者にとっても受け入れ機関にとっても任意ですが、今後、制度の変更がある可能性もあります。

JACの求人求職情報

JACは、求人求職情報のWebサイトへの掲載やマッチングを無料で行っています。特定技能人材を受け入れたい企業と、日本の建設分野で働きたい外国人がそれぞれ登録できます。

なお、職業安定法第33条第1項により、建設業務を行う職業に就いては、有料の職業紹介は行ってはいけないと規定されています。

仕事内容

特定技能「建設分野」の仕事内容は、次の通りです。

以前は19区分に分かれていましたが、2022年に3区分に統合されています。在留資格はこの区分ごとに認定されるため、19区分から3区分に統合されたことで、それぞれの従業員が行える作業の幅が広がりました。

例えば土木区分で認定された特定技能外国人は、土木工事現場であっても建築工事現場であっても、「土木区分」に分類されるさく井工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業などの作業を行うことができます。

土木区分

  • さく井工事業
  • 舗装工事業
  • しゅんせつ工事業
  • 造園工事業
  • 大工工事業
  • とび・土工工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 鉄筋工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 石工事業
  • 機械器具設置工事業

※指導者の指示・監督を受けながら、土木施設の新設、改築、維持、修繕にかかわる作業等に従事

建築区分

  • さく井工事業
  • 舗装工事業
  • しゅんせつ工事業
  • 造園工事業
  • 大工工事業
  • とび・土工工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 鉄筋工事業
  • 塗装工事業
  • 防水工事業
  • 石工事業
  • 機械器具設置工事業

※指導者の指示・監督を受けながら、建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替えにかかわる作業等に従事

ライフライン・設備区分

  • 板金工事業
  • 熱絶縁工事業
  • 管工事業
  • 電気工事業
  • 電気通信工事業
  • 水道施設工事業
  • 消防施設工事業

※指導者の指示・監督を受けながら、電気通信、ガス、水道、電気その他のライフライン・設備の整備・設置、変更または修理にかかわる作業等に従事

参考:国土交通省「土地・不動産・建設業|概要資料:建設分野における外国人材の受入れP.4-5」

メリット・デメリット

人材の質

特定技能制度で就労する外国人は、日本語試験と技能試験に合格してから日本に来ます。ある程度の知識や技能が身についているため、即戦力になるというメリットがあります。一方で、試験に合格するための詰め込み学習で条件をクリアしてくる人が多いことは考慮する必要があります。

雇用の安定性

特定技能には1号と2号があり、最初は1号からスタートします。特定技能1号の在留期間は最大5年で、2号になると無期限になります。

技能実習「建設関係」と特定技能1号・2号「建設分野」は接続しており、区分が変わらなければ資格変更をしながら長期的に雇用することができます。ただし、将来的には対象分野が変更される可能性もあるので、最新情報を確認することが大切です。

コスト面

建設技能人材機構(JAC)に関係する費用

特定技能制度の場合、技能実習制度で義務となっているような監理団体との契約は不要です。ただし建設分野の受け入れ機関は建設技能人材機構(JAC)に加入する必要があり、入会金、年会費、特定技能外国人の受入負担金の支払いが発生します。

入会金

  • 正会員(建設業者団体)の会員になる場合:団体ごとに異なる
  • 賛助会員:なし

年会費

  • 正会員(建設業者団体)の会員になる場合:団体ごとに異なる
  • 賛助会員:24万円

受入負担金

  • 1号特定技能外国人1人あたり月額1万2,500円

参考:建設技能人材機構(JAC)「年会費と受入負担金」

登録支援機関を利用する場合の費用

採用前については、人材派遣会社を利用する場合、紹介料などの費用がかかります。

採用後はまず、上述のJACまたはその正会員団体への支払いがあります。ほかに、登録支援機関を利用する場合、その費用が発生します。

登録支援機関を利用する場合、費用は機関や支援内容により、外国人1人あたり、初期費用30~40万円、継続的な支援費としては月額2~4万円程度となっています。

【補足】
登録支援機関:
特定技能1号外国人に対し、受け入れ機関が提供する義務のある、事前ガイダンス、出入国時の送迎、公的手続きへの動向などの支援を代行する事業者です。 受け入れ機関としての基準を満たしてはいるものの、定められたすべての支援を自ら実施するのが難しい受け入れ機関は、この業務を登録支援機関に委託することができます。

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インドネシアにおける建設分野の現状

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インドネシアで建設分野に従事するには

一般的に、建設現場の作業員になるには、高度な知識や特定の資格は必要ありません。政府が認定する労働能力証明書(SKK)がありますが、証明書を取得している建設業界の労働者(現場監督なども含む)は、わずか2.2%といわれています。

多くの場合、家族や親戚、近隣のネットワークの中で、若い男性が作業員として採用されます。このような建設現場作業員の多くは小規模・零細事業者に属し、事業所が受注したプロジェクトを手分けして担当します。

公共事業など大規模プロジェクトの場合は、業界団体、求人サイト、業界関係者のオンラインプラットフォームなどを通して、大勢の作業員が集められます。

インドネシアの建設業従事者の収入

インドネシアの中央統計庁(BPS)によると、2024年8月の建設業の平均月収は329万3,968ルピア(3万1,700円)でした。同月の全産業分野の平均月収は326万7,618ルピア(3万1,400円)なので、建設業従事者の給与は平均的といえます。

ただし建設業従事者の中には、プロジェクトリーダーや建設会社のオフィスワーカーも含まれます。そのため現場作業員に的を絞ると、平均月収はより低くなると考えられます。

参考:BPS「Rata-Rata Upah/Gaji (Rupiah), 2024」

同じくBPSの2024 年の第 1 四半期のデータによると、現場作業員のうち、アシスタントの日給の中央値は10万ルピア(960円)、日雇い作業員が12万ルピア(1,150円)、一般の作業員が13万ルピア(1,250円)、リーダー(棟梁)が15万ルピア(1,440円)となっています。

建設作業員の多くが日雇いです。日給12万ルピアだとすると、1か月27日働いて、やっと月給324万ルピア(3万1,200円)、つまり全国・全産業平均並みの収入になります。

これでも給与水準は上昇傾向にあり、日雇い作業員の日給中央値は、2016年と比べると1.7倍になっています。

参考:BPS「Indikator Konstruksi, Triwulan I-2024 P.19」

インドネシアの建設業のイメージ

インフラ開発に力を入れるインドネシアにおいて、建設業は市民にとって非常に身近な産業です。人々は建設現場を見て自分が住む地域の発展を実感することができ、そこには多くの作業員がいることを知っています。

また建設業界は、人々に雇用の機会を提供するという意味でも注目されます。上述の通り、大規模なプロジェクトがあり多くの作業員が必要な場合は広く声がかかるため、健康で丈夫な男性であれば、経験がなくても、遠方からでも、建設現場で働き、収入を得るチャンスがあります。

一方で、特に都市部では、建設作業員は低学歴の地方出身者で、経済的に厳しい人がなるものというイメージを持つ人もいます。実際、建設作業員は一般的に、重労働で低賃金です。

インドネシアの公共事業省下の建設サービス開発研究所によると、2021年の建設業従事者の最終学歴は、小学校が34.6%、中学校が25.3%、高校や職業高校が23.2%で、ここまでで83.1%を占めます。

参考:Bandung Bergerak「Jumlah Tenaga Kerja Konstruksi Bersertifikat di Indonesia Sangat Minim」

インドネシア人従業員にとっての日本の建設現場

日本の建設現場でインドネシア人がまず驚くのは、作業の順番や安全に働くためのルールが、しっかり決まっている点です。

インドネシアの建設現場は安全対策が不十分で、しばしば事故が起こります。また、建設物の仕上がりが悪いこともよくあり、ショッピングモールや駅の天井、橋などが考えられないような壊れ方をして、時々ニュースになります。

他に、礼儀と時間に対する厳しさに驚いたという人や、インドネシアで使っていた道具や建築資材と日本のものが違うため戸惑ったという人もいます。

インドネシアで挑戦する人々
― ビジネス最前線の声
インドネシアで活躍する芸人兼インフルエンサーのそこらへん元気さんに、3つのSNSの活用方法や戦略などを教えてもらいました。
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建築分野で増えるインドネシア人材

インドネシア人材は、日本の建設分野の人手不足解消という重要な役割を果たしつつあります。また、インドネシア人にとっても日本の建設分野は、家族への仕送りや自らの夢の実現のため収入を得る、貴重な機会となっています。

作業員間のコミュニケーションが欠かせない建設現場で働く外国人にとって、受け入れ側のサポートはもちろん、外国人材同士の繋がりも、大きな力になります。まじめで明るいインドネシア人材を、複数人、継続的に受け入れてみませんか。

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