インドネシアのマグロ市場や人気のマグロ料理と飲食店での活用方法
- 公開
- 2026/06/27
- 更新
- 2026/07/02
- この記事は約9分5秒で読めます。
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インドネシアで飲食店を開く場合、マグロは有望な食材ですか?
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はい、マグロは有望な食材の一つです。インドネシアはマグロ・カツオ・ソウダガツオ類の主要な生産・輸出国であり、現地調達を検討しやすい魚介食材です。
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インドネシア人にマグロ料理は受け入れられますか?
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インドネシアでは魚食が身近なので、受け入れられる可能性は十分にあります。ただし、ローカル層向けには生食よりも、焼き魚、スパイス煮込み、燻製、辛い炒め物などのほうが比較的なじみやすいと言えます。
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インドネシアでマグロを扱う際の注意点は何ですか?
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魚種名、用途、温度管理、仕入れ先、トレーサビリティを確認することが重要です。加えて、調理・提供する際はハラール対応も重要です。
インドネシアの飲食店において、マグロは「日本食らしさ」を出しやすい食材です。
一方、寿司や刺身のネタとしてだけでなく、焼き魚、辛いスパイス料理、ツナステーキなど、ローカルの食文化にも接点があり、高級日本食にもローカル向けメニューにも展開できる可能性を持つ食材です。
ただし、インドネシアで流通するマグロ類の魚には複数の種類があり、一括りに考えてしまうと、仕入れ・品質・メニュー設計でズレが生じることがあります。消費者向けには、価格設定や「見せ方」の工夫も欠かせません。
本記事では、インドネシアのマグロ市場、現地での受け止められ方、人気料理、日本食店での活用例、取り扱い時の注意点を整理します。
インドネシアのマグロ市場の現状

マグロ類の漁獲量は世界トップクラス
マグロ類は、インドネシアの水産業を支える主要魚種です。インドネシアの水産統計では、マグロ類はしばしばマグロ・カツオ・ソウダガツオ類(TCT: Tuna-Cakalang-Tongkol)として扱われます。インドネシア海洋水産省は、インドネシアのTCT生産量が2023年に約150万トンに達し、世界のtuna※供給量の約19.1%を占めると説明しています。
ここでいうtunaにはカツオ類・ソウダガツオ類が含まれる可能性があります。
国により集計方法が異なるため厳密な比較はできないものの、一般的に、インドネシアのマグロ類の漁獲量は世界一であり、輸出にも積極的です。
同省によると、2024年のTCTの輸出額は10.3億米ドル(約1,665億円)で、エビに次いで多く、水産輸出全体の17.4%を占めています。主な輸出先としては、ASEAN、米国、EU、日本、中東などが挙げられています。
- 参考:
KKP
「KKP Kembangkan Sistem Ketertelusuran Hasil Perikanan Berstandar Global」
「Hari Tuna Sedunia, KKP Akan Tingkatkan Kualitas dan Jangkauan Pasar Tuna Indonesia」
水産庁
「まぐろに関する情報|海域別、国別、魚種別かつお・まぐろ類の漁獲量」
【補足】
円表記は、2026年6月26日のレート(1ドル=161.66円)で換算したものです。
消費はマグロよりソウダガツオ・カツオ類

中央統計庁(BPS)の2024年消費統計を見ると、TCTのうち、消費の中心はtuna(マグロ類)ではなく、tongkol(ソウダガツオ類)やcakalang・dencis(カツオ類・イワシ類)などです。
TCTを100とした場合の割合は、tongkolが約51%、cakalang・dencisが約40%、tunaが約9%でした。特にtongkolは、他の魚種と比べても消費量が多いカテゴリーの一つです。
日本人がイメージする寿司・刺身用のマグロよりも、現地では日常的な魚としてのソウダガツオ、カツオ、イワシ類の存在感が大きいと考えられます。
持続可能性の確保
インドネシアのマグロ産業では、一本釣り・手釣りなどの漁法も重視されています。漁業の持続可能性についても注目されるようになっており、2021年にはインドネシアのキハダ・カツオの小規模漁業が「海のエコラベル」で知られるMSC認証を取得しています。
またインドネシア政府は、水産物の国際競争力を高めるため、魚の流通履歴を記録するトレーサビリティシステム「STELINA」の整備も進めています。STELINAは、漁獲・養殖、加工、流通、販売までの情報をデジタルで記録し、輸出市場で求められる透明性や持続可能性への対応を進める仕組みです。
- 参考:
AP2HI「AP2HI Raih Sertifikat MSC」
KKP STELINA「Tentang Stelina」
インドネシア産マグロの種類

インドネシアで流通するマグロ類には、キハダ、メバチ、ビンナガ、ミナミマグロなどがあります。特にキハダやメバチは、インドネシア周辺海域で漁獲される代表的なマグロ類として知られています。
ただし、インドネシアの統計や市場では、前述のとおり、カツオやソウダガツオ類がマグロ類と近い文脈で扱われることもあります。仕入れの際には、「tuna」という表記だけで安心せず、魚種、サイズ、処理方法、冷凍状態、用途を確認する必要があります。
また、インドネシアで現地調達する「tuna」のすべてが生食に向くグレードのものとは限りません。飲食店で使う場合、ローカル向けの加熱メニューと日本食店の生食メニューで使い分けることが重要です。
インドネシア人にとってのマグロ
インドネシアの統計上、マグロ類やカツオ類は「TCT」としてまとめられることが多いと紹介しました。ただし、それを扱う店や現地消費者の間では、これらの魚はそれぞれの名前で呼び分けられ、料理によって使い分けられています。
ローカル料理として親しまれるマグロ・カツオ類
TCTのうち、日常の食材として特に身近なのは、tongkol(ソウダガツオ類)やcakalang(カツオ類)です。
比較的安価で手に入りやすいソウダガツオ類は、辛みや塩気の強い炒め物や煮物がポピュラーで、白いご飯に合うおかずとして活躍する食材です。一方、カツオ類は地域色の強い魚で、北スラウェシやマナドなどで燻製のカツオを使ったローカル料理が知られています。
どちらも、新鮮なまま刺身で食べるのではなく、加熱、煮込み、燻製などの形で調理され、「白いご飯に合う濃い味のおかずにする」イメージの魚です。
tuna、つまり日本人がイメージするマグロ類も、上記のようなカツオ系の魚と似た使われ方で、ローカル料理にも登場します。ただし、マグロは一般的に、手軽に手に入る食材ではなく、家庭や庶民的な食堂で提供されるおかずとしてポピュラーかどうかは、地域差が大きいと言えます。
プレミアム食材としてのTuna / Maguro(マグロ)
一方、都市部では、マグロは「tuna」や「maguro」として、庶民の食卓とは違った親しまれ方もしています。
日本食店やカフェ、海鮮丼・ポキ系メニューの広がりにより、マグロは「ヘルシーなタンパク源」「日本食らしい食材」「少しプレミアムな魚」として認識されるようになってきました。ジャカルタの海鮮丼店「KAI JIN」や、マグロ専門店「MAGURO」など、寿司以外の専門店も人気を集めています。
ジャカルタでは一昔前に比べると電力供給が安定し、コールドチェーンも整備が進んでいます。適切な処理や保存を行えば、ローカル魚介も都市部の日本食業態で提供できるようになってきています。
インドネシアで飲食店を展開する場合、食材の仕入れ先や流通パートナーの選定は、メニュー設計と同じくらい重要です。現地サプライヤーや販売・提携先の開拓を計画されている方は、弊社のインドネシア販路開拓支援サービスをご検討ください。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
インドネシアでマグロを使った人気の料理
日本人が「マグロ料理」と聞くと、寿司や刺身を想像しやすいかもしれません。しかし、インドネシアのローカル料理では、生で食べるよりも、炭火焼き、スパイス煮込み、カレー、串焼き、魚肉フレークなど、加熱して香辛料と合わせる料理が中心です。
特に北スラウェシ、ゴロンタロ、マルクなど、マグロ類が身近な地域では、tunaを使った料理がローカルメニューとしても見られます。

Ikan Tuna Bakar(イカン・ツナ・バカール:焼き魚)
ローカル料理として最も一般的なメニューの一つが、イカン・ツナ・バカールです。
これは、マグロの切り身、カマ、頭まわりの身などを炭火やグリルで香ばしく焼いた料理です。東インドネシアやスラウェシ系の魚料理では、魚をシンプルに焼き、サンバル(唐辛子ペースト)と一緒に食べるスタイルがよく見られます。
Tuna Rica-Rica(ツナ・リカリカ:スパイス炒め)
リカリカは、北スラウェシ・マナド料理を代表する辛みの強いスパイス料理です。唐辛子、にんにく、エシャロット(赤い小玉ねぎ)、しょうが、レモングラス、ライムリーフなどを使った香りの強いソースを、揚げたり焼いたりした魚や肉に絡めて食べます。
なお、同じリカリカ系の味付けをカツオなどで作ることもあります。
Woku Tuna(ウォク・ツナ:スパイス煮込み)
ウォクも、マナド料理を代表するスパイス料理です。レモングラス、ライムリーフ、ウコン、しょうが、唐辛子、クマンギと呼ばれるインドネシアのバジルなどを使い、魚や肉を煮込んで作ります。
Gulai Kepala Tuna(グライ・クパラ・ツナ:頭・カマのカレー煮込み)
グライは、ココナッツミルクやスパイスを使ったインドネシア風のカレー煮込みです。kepala tunaは「マグロの頭」を意味し、頭、カマ、骨まわりの身をじっくり煮込んで食べます。
この料理は、スマトラ島やスラウェシ島の魚介が豊富な地域でよく見られる豪快な魚料理です。マグロの頭やカマの周辺にある脂のある部分、骨の近くの濃い旨味を楽しめます。
Sate Tuna(サテ・ツナ:串焼き)
インドネシアの国民的料理であるサテ(串焼き)にも、マグロを使ったものがあります。サテ・ツナは、マグロの身を角切りにして串に刺し、スパイスをからめて炭火で焼く料理で、特にスラウェシ島北部のゴロンタロの料理として知られています。
Abon Tuna(アボン・ツナ:魚肉フレーク)
アボン・ツナは、マグロの身をほぐし、スパイスや砂糖などで味付けして乾燥させた魚肉フレークです。スパイシーな「マグロのでんぶ」とも言えます。
アボンはインドネシアで広く知られる保存性の高い加工食品で、牛肉、鶏肉、魚などさまざまな原料で作られます。マグロを使ったアボンは、ご飯のふりかけやパンの具材などに使われ、子どもでも食べやすい魚加工品、土産物としても親しまれています。地域によっては、カツオ類でも作られます。
本記事では、インドネシアの料理や飲食店についてその概要を簡単にまとめていますが、現地で実際に見て初めてわかることもあります。弊社のインドネシア現地視察支援サービスでは、訪問先選定、通訳、車両手配まで一括で対応しています。ぜひお気軽にご相談ください。
カジュアルにインドネシア進出を試した飲食店様の事例
インドネシア進出は、調べれば調べるほど、そのハードルの高さに頭を抱える方が少なくありませんが、もっとカジュアルに進出する方法もあります。
- 月額5万円でインドネシア人をフルタイムで雇用し、ショッピングモールや商業施設、競合飲食店を調査。出店候補地やターゲット層、価格帯などを分析し、採算性を確認した上で正式な進出を決定した。
- 飲食業界経験者を3名チームで雇用し、現地食材の調達先や厨房設備、物流体制を調査。あわせてフランチャイズやライセンス展開の可能性も検証し、最適な進出方法を決定した。
- 営業マネージャーと店舗開発担当の2名をチームで雇用し、デベロッパーやショッピングモール、現地パートナー企業との商談を実施。現地法人を設立することなく出店候補物件や提携先を調査し、本格出店に向けた体制を構築した。
上記のように、法人を設立しなくてもカジュアルにインドネシアに進出している企業様はいます。飲食業であれば、貴社でもそれが可能です。
マグロ料理を出している日本食店

インドネシアの日本食店では、マグロは寿司・刺身・巻き寿司の定番食材として使われています。
回転寿司・大衆寿司チェーン
インドネシアのスシローでは、刺身に加え、マグロ(赤身)、トロ、炙りなどの握り寿司が提供されています。かっぱ寿司はマグロメニューのバリエーションが比較的豊富で、マグロ(赤身)、中トロ、大トロ、タタキ、漬け、炙り、ネギトロ巻きなどの寿司に加えて、マグロ丼、マグロのカマ焼き、トロの串焼きといったメニューも提供しています。
また、シンガポール発祥の日本食レストランチェーン「Sushi Tei(すし亭)」も、赤身とトロの刺身や握り寿司を取り扱っています。
多くの回転寿司・大衆寿司チェーンでは、刺身・寿司のメインはサーモンである一方、二番手の定番ネタとして、マグロが存在感を見せています。
高級日本食店
一方、高価格帯の日本食店では、輸入食材や空輸を訴求する例もあります。
例えば、ジャカルタ北部のムアラバル発の高級寿司・日本食店「Sushi Masa」や、グランドハイアット・ジャカルタ内の高級日本食店「Sumire」では、日本から空輸される食材を使った寿司・刺身を提供しています。
また、ジャカルタの寿司バー「Kōhai Sushi Bar」は、輸入魚とインドネシア産の魚を組み合わせた「おまかせ」を提供しています。同店は、マルク州産の赤身マグロを使った握りを用意するなど、インドネシア産マグロをモダンな寿司メニューに使っている例として参考になります。
― ビジネス最前線の声
インドネシアでマグロを扱う際の注意点
魚種・用途を確認する
インドネシアでマグロを扱う際、まず注意したいのは魚種名です。現地でtunaと呼ばれる魚が、日本人の想定する寿司用マグロと同じとは限りません。マグロ・カツオ類がひとくくりに扱われることもあるため、仕入れ時には、魚種、サイズ、産地、加工方法、冷凍履歴、用途を確認する必要があります。
また、生食用と加熱用の区別も重要です。ローカル市場で買えるマグロを、そのまま刺身・寿司用に使えるとは考えない方が安全です。
寿司、刺身、ポキ、レアステーキなどを提供する場合は、サプライヤーに対して、生食用途での取り扱い可否、冷凍条件、納品温度、衛生証明、加工場の管理体制を確認する必要があります。
トレーサビリティ・品質管理
トレーサビリティは、インドネシア国内の資源管理や漁業保護の観点に加え、飲食店にとっても、品質、安全、ブランドイメージの面で重要です。IUU(違法・無報告・無規制)漁業由来のサプライチェーンを排除し、信頼できるサプライヤーから安全な食材を仕入れる体制づくりが重要です。
ハラール対応
ハラール対応も、飲食店では避けて通れないテーマです。生の魚そのものは一般的にハラール扱いで認証不要のケースが多いものの、調味料や調理工程が問題になります。
例えば、みりん、料理酒、アルコールを含むソース、ゼラチン、乳化剤、だし、調理器具の共用などが確認ポイントになります。
インドネシアではハラール認証義務化の流れにより、豚肉やアルコール類を提供する飲食店以外はハラール対応が必要になります。
インドネシア進出の計画段階で、ハラール対応の店にするのか、規定に則り「非ハラール」表示をしたうえで豚肉やアルコール類を提供するのかを決めておく必要があります。
メニューのなかの「マグロ」の位置づけ
紹介してきたとおり、マグロはインドネシアの日本食店で一定の認知がある食材です。ただし、マグロを主力にするか、サーモンやエビなどと組み合わせて定番メニューの一部にするかは、店舗の価格帯、客層、立地によって変わります。
中間所得層がよく利用する大衆店であれば、見た目のわかりやすさと手ごろな価格が重要です。高級店の場合は、産地、部位、鮮度、職人感を訴求する戦略も検討できます。
映像でみるインドネシアのマグロ
インドネシアのマグロ漁船

こちらは、インドネシアのマグロ漁船での漁の様子を紹介した動画です。船上で次々にマグロが釣り上げられています。
インドネシアでは、マグロ・カツオ・ソウダガツオ類が重要な水産資源として扱われており、一本釣り・手釣りなど、持続可能性に配慮した漁法も注目されています。飲食店でマグロを扱う際も、単に「安く仕入れられる魚」ではなく、漁獲方法、流通経路、鮮度管理、トレーサビリティまで含めて確認することが重要です。
マグロ専門店「MAGURO」

こちらは、ジャカルタの商業施設ASHTA District 8にあるマグロ専門店「MAGURO」を紹介した動画です。日本人オーナーが手がける同店では、自社で所有する船で釣り上げたマグロを使用。さらに、米酢や醤油も自家製というこだわりがあり、マグロの鮮度だけでなく、日本食としての味づくりにも力を入れていることがうかがえます。
動画では、脂ののったマグロを使った丼メニューなどが紹介されており、インドネシアの都市部でマグロが「日本食らしい」「高品質」「少し特別感のある」食材として扱われていることがわかります。
日本食店や中間所得層以上をターゲットとする飲食店では、鮮度、部位、見た目、ストーリーで訴求できる食材として、マグロメニューを設計することが重要です。
インドネシアのマグロは品質管理が鍵
インドネシアは、マグロ類の漁獲量が世界トプクラスの国であり、飲食店にとってマグロは活用余地のある食材です。一方で、現地で流通するtuna(マグロ)は、日本人がイメージする寿司・刺身用のマグロと必ずしも同じではありません。
ローカル層向けには、焼き魚やツナステーキ、煮込み、スパイス炒めなど、加熱・スパイス系のメニューがなじみやすいでしょう。
日本食店では、寿司・刺身・炙り・巻き寿司などで展開できますが、生食用の品質管理、冷蔵・冷凍管理、ハラール対応は慎重に確認する必要があります。
都市部ではプレミアム食材としても認知されつつあるマグロは、日本食らしさが伝わる魅力的な食材である一方、仕入れ、品質管理、ハラールなどの制度対応まで含めた設計が重要です。
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