インドネシアでカフェ開業を考える前に知っておきたいコーヒー市場の今

公開
2026/06/13
更新
2026/06/20
この記事は約10分8秒で読めます。
最も多いお悩みと回答

インドネシアでカフェ開業のチャンスはありますか?

あります。インドネシアは世界第4位のコーヒー生産国であると同時に、若年層を中心にカフェ利用が広がる成長市場です。ただし、ローカルチェーンの競争力が高く、価格帯・立地・メニュー設計を現地感覚に合わせることが重要です。

インドネシアではどのようなカフェが人気ですか?

近年は、テイクアウト中心のグラブ&ゴー型カフェや、ミルク・シロップ・フルーツを使った甘めのドリンクが人気です。一方で、都市部ではスペシャルティコーヒーを楽しむ層も増えており、ターゲットによって適した業態が大きく異なります。

日本企業がインドネシアでカフェを始める際の注意点は何ですか?

コーヒー豆や食材の仕入れルート、ハラール対応、現地の価格感覚、デリバリー対応、競合との差別化を事前に確認する必要があります。日本式の品質や接客をそのまま持ち込むだけではなく、現地の利用シーンに合わせた調整が欠かせません。

カフェ開業を相談する

インドネシアのカフェ市場を見るときは、「コーヒーがよく飲まれる国だから出店しやすい」と単純に考えないことが大切です。実際には、同じジャカルタ市内でも、低価格のローカルチェーン、SNS映えを意識したカフェ、豆の産地にこだわるスペシャルティ店など、業態や客層は大きく異なります。

さらに、甘めのドリンクを好む層、作業場所としてカフェを使う若年層、デリバリーで注文する利用者など、消費シーンも多様です。だからこそ、開業前には市場規模だけでなく、現地の飲み方・価格感覚・競合の勝ち方まで把握しておく必要があります。

本記事では、インドネシアのコーヒーの産地と特徴、国内市場の現状と競合環境、そして日本の事業者がビジネス参入を考える際に知っておきたいヒントまでを幅広くお伝えします。「コーヒーを切り口にインドネシアを知る」スタンスでお読みください。

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なぜ今、インドネシアのコーヒービジネスが注目されるのか?

なぜ今、インドネシアのコーヒービジネスが注目されるのか?

インドネシアでカフェ開業を検討されているということは、何かしらの理由でインドネシアのコーヒービジネスに可能性を感じられているからでしょう。

近年、インドネシアにおいてコーヒービジネスの注目度は、確かに高まっています。その理由は、単純に「コーヒーの巨大産地だから」というだけではありません。生産・消費・文化の3つの面で、同時に大きな変化が起きているからです。

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 世界市場でのインドネシア産コーヒー豆の評価上昇

インドネシアは、ブラジル、ベトナム、コロンビアに次ぐ世界第4位のコーヒー生産国です。かつては「量の多さ」で知られる産地というイメージが強かったものの、近年はスペシャルティコーヒーの文脈でもインドネシア産の評価が高まっています。

日本のスペシャルティコーヒー市場調査(2024年)でも、インドネシアはエチオピアやグアテマラと並ぶ上位産国として複数回答を集めています。品質の均一性という課題はまだ残るものの、世界のバイヤーの目がインドネシアに向き始めていることは確かでしょう。

ローカル発のメガコーヒーチェーンの台頭

インドネシアのコーヒーチェーンKopi Kenangan
Kopi Kenangan

インドネシア国内では、ここ10年で地場発の大規模コーヒーチェーンが次々と誕生し、急速な拡大を遂げています。

代表格がKopi Kenangan(コピ・クナンガン)で、2017年の創業からわずか数年でインドネシア最大のカフェチェーンへと成長しました。2024年には国内出店数がスターバックスを上回り、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インド、オーストラリアなど複数の海外市場にも進出しています。

また、Kopi Janji Jiwa(コピ・ジャンジ・ジワ)は2018年の創業から短期間で全国600店舗以上を展開し、こちらも急成長を遂げました。

2025年5月にはジャカルタで「World of Coffee」アジア版が開催されました。コーヒー生産国での開催は世界初であり、インドネシアのコーヒー産業が発信側へと立場を変えつつあることを象徴するできごとでした。2024年の世界バリスタチャンピオンもインドネシア出身で、技術・文化の両面で存在感が増しています。

海外の有名ロースターの進出

国内市場の成熟とともに、海外の著名なスペシャルティコーヒーブランドもジャカルタへの出店を加速させています。

京都発のコーヒーロースター「%(アラビカ)」はジャカルタ市内に複数店舗を展開しており、南ジャカルタのグナワルマン通りには旗艦店も構えています。こうした動きは、ジャカルタのコーヒーマーケットがグローバルブランドにとって十分な投資価値を持つ市場に育ったことを示しています。

コーヒーを愛する国民性という土台

インドネシアには「Ngopi yuk(コーヒーでも飲みに行こう)」という言葉があるほど、コーヒーを介したコミュニケーションが日常に根づいています。

道端の小さな露店から、洗練されたスペシャルティカフェまで、コーヒーを楽しむ場の選択肢は多様です。この強固な文化的土台があってこそ、市場の急拡大が支えられているといえます。

インドネシア経済の魅力について

インドネシアコーヒーの主な産地と特徴

インドネシアのコーヒー豆の種類

インドネシアは17,000を超える島々からなる群島国家です。標高の高い山岳地帯が複数の島に点在しており、それぞれ異なる気候・土壌・加工方法のもとで個性豊かなコーヒーが生産されています。ここでは簡潔に主要産地を3つ、注目の産地を一覧表でご紹介します。

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 主要な産地

アチェ・ガヨ(スマトラ島)

スマトラ島北端、アチェ州のガヨ高原(標高1,200〜1,700m)で栽培されるアラビカ種です。強いコクとフローラルな香り、ほのかなナッツの甘みが特徴で、酸味は比較的穏やかです。インドネシアを代表するアラビカ産地として国内外で広く流通しており、スペシャルティコーヒーの文脈でも高い評価を受けています。

マンデリン(スマトラ島)

北スマトラのマンダイリン・ナタール地方が産地で、「スマトラ式」と呼ばれるウェットハル精製法により、どっしりとした重厚なボディとチョコレートのような香りが生まれます。酸味は少なく、エスプレッソ・ハンドドリップどちらにも向く懐の深い豆です。日本やアメリカへの輸出量も多く、インドネシアコーヒーの代名詞的存在です。

トラジャ(スラウェシ島)

南スラウェシ州トラジャ、標高1,400〜2,100mの山岳地帯で栽培されます。酸味は少なくコショウやシナモンを思わせるスパイシーな風味が特徴で、くせが少なく多くの人に親しまれています。主な輸出先は日本とアメリカで、日本では「キーコーヒー トラジャ」として馴染みのある方も多いかもしれません。

 注目産地(一覧)

インドネシアには上記以外にも多くのコーヒー産地があります。以下に、近年評価が高まっている産地をまとめました。豆の個性を活かした提供方法を検討する際の参考にしてください。

産地産地の場所主な特徴
バリ・キンタマーニバリ島北部キンタマーニ高原フルーティーで爽やかな甘み。口当たりが柔らかく飲みやすい。無農薬栽培に取り組む農園も多い
フローレス・バジャワフローレス島ンガダ高地フローラルな香りとチョコレート・ナッツのニュアンス。バランスが良くコーヒー初心者にも人気
パプア・ワメナパプア島内陸部ワメナ谷有機栽培・伝統的製法で加工。まろやかな風味と芳醇な香りが特徴。国際市場での人気上昇中
クリンチスマトラ島クリンチ山周辺比較的新興の産地。クリーンな甘みとバランスの良い酸味。個性的な味でスペシャルティ文脈で注目が集まりつつある

仕入れ先や流通パートナーの選定は、カフェ開業後の品質・原価・安定供給に直結します。現地パートナー候補の紹介や商談設定については、こちらから一度ご相談ください。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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知っておきたいインドネシアにおけるコーヒーの種類

産地と並んで押さえておきたいのが、品種と市場における位置づけです。インドネシアのコーヒー事情を理解する上で重要な変化と、ユニークな存在であるコピ・ルアクについて整理します。

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ロブスタ一辺倒からアラビカへ

インドネシアの国内生産量の約8割はロブスタ種が占めています。ロブスタは苦みが強く、インスタントコーヒーやブレンドに多く使われます。伝統的には、甘さを加えたロブスタ系コーヒーを飲む文化が根づいており、砂糖をたっぷり溶かした「Kopi Manis(コピ・マニス:甘いコーヒー)」が庶民の定番でした。

この状況が大きく変わり始めたのは、この15〜20年ほどのことです。スターバックスをはじめとする外資系チェーンの進出をきっかけに、アラビカ種を使ったグルメコーヒーの文化が都市部を中心に浸透しました。

現在では、シングルオリジンのドリップコーヒーを提供するスペシャルティカフェも珍しくなく、産地や精製方法に関心を持つ消費者層も確実に広がっています。また、Janji Jiwaなど大手チェーンのなかには、通常のコーヒーメニューをアラビカ100%やシングルオリジンコーヒーに「アップグレード」できる店も出てきています。

一方で、大多数の消費者はまだコーヒーにフルーツのエッセンスやミルク、シロップをたっぷり加えたバリエーション系ドリンクを楽しむ傾向が強いといえます。モカやラテをベースにしたドリンクの種類の豊富さは、日本のカフェとは比べものにならないほどです。

近年は「Kurang Manis(甘さ控えめ)」を選べる店も少しずつ増えてきており、健康意識の変化も緩やかに進んでいます。

 コピ・ルアク(コピ・ルワク)について

Kopi Luwak(コピ・ルアク)は、ジャコウネコ(ルアク)がコーヒーチェリーを食べ、未消化のまま排出されたコーヒー豆を収穫・加工したものです。

独特の製法から生まれる風味と希少性から高値がつき、お土産品としても広く知られています。ストーリー性の強さからギフトとしては喜ばれることが多く、インドネシアを訪問する際のビジネス手土産として検討する方もいらっしゃるでしょう。

ただし、コピ・ルアクをめぐっては、飼育環境や動物福祉の観点から問題が指摘されることもあります。また、「高いから品質が良い」とは一概にいえず、味の評価も人によって分かれます。ビジネス用途での活用を検討される際は、こうした背景も念頭に置いておくことが望ましいでしょう。

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インドネシアのカフェ市場と競合環境

インドネシアのカフェドリンク
ヤクルトを合わせたフルーツ系ドリンクも定番
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拡大する国内消費市場

インドネシアの国内コーヒー消費量は2024/25年度で約480万袋(60kg袋換算)が見込まれており、2020/21年度の約445万袋から着実に拡大しています(USDAレポートより)。

また、インドネシア中央統計局(BPS)によれば、一人あたりの消費量は2013年の年間1.0kgから2023年には1.8kgへと、約10年で倍近くに増加しました。

現在インドネシアは、EU・米国・ブラジル・日本に次ぐ世界第5位のコーヒー消費国とされており、若年人口の多さと経済成長を背景に、今後もアジアで最も伸びしろのある消費市場の一つと見られています。

外資系チェーンvsローカルチェーン

インドネシアのカフェ市場は、大きく「外資系チェーン」「ローカル大手チェーン」「個人経営のスペシャルティカフェ」の三層に分かれています(今回はワルンやカキリマなどの超小規模経営は除きます)。

スターバックスはジャカルタをはじめとする主要都市に展開し、長らく「グルメコーヒー」の代名詞的存在でした。しかし近年は、手頃な価格帯のローカルチェーンの台頭により、競争環境が大きく変化しています。

Kopi Kenangan(コピ・クナンガン)はインドネシア最大のカフェチェーンとして2024年にはスターバックスの国内店舗数を超え、2025年の年間売上は1.8億ドル(約288億1,800万円)に達する見込みとされています。ビジネスモデルの特徴はグラブ&ゴー(テイクアウト中心)で、小型店舗が多いです。ベストセラーはパームシュガーラテ「コピ・クナンガン・マンタン」で、価格は2万2,000ルピア程度(約196円)と手頃です。

Kopi Janji Jiwa(コピ・ジャンジ・ジワ)も同じくグラブ&ゴー型のチェーンで、フランチャイズ展開によって全国に急速に店舗を拡大しています。

これらのローカルチェーンは価格と利便性で市場を取り込んでいます。スターバックスが1杯4万〜5万ルピア(約356円〜445円)を想定する層をターゲットにしてきた一方で、ローカルチェーンは2万ルピア(約178円)前後という価格帯で中間層を押さえたことが成功要因の一つとされています。

若年層のカフェ利用トレンド

インドネシアの若年層にとって、カフェは「コーヒーを飲む場所」以上の意味を持ちます。友人との会話、仕事の作業場や打ち合わせ場所、SNS投稿の撮影場所などとして、日常的に利用されています。

ドリンクの嗜好としては、シングルオリジンをじっくり楽しむグルメ層は一部にとどまり、多くはミルクやフルーツのシロップ、クリームを組み合わせたバリエーション系ドリンクを好む傾向があります。

コーヒーが入っていないミルク系・フルーツ系ドリンクを注文する消費者も多く、実質的に「カフェドリンク全般の市場」として捉えるほうが実態に近いでしょう。

また、GrabFoodやGoFoodといったフードデリバリーサービスの普及により、カフェドリンクのデリバリー需要も非常に大きくなっています。実店舗の売上にデリバリー収益が加わることで、立地条件が不利であっても一定の売上を確保しやすくなっているという特徴もあります。

参考:Perfect Daily Grind「Indonesia’s specialty coffee market is thriving(2026年3月)」

ターゲット層の嗜好や価格感覚を把握せずに出店すると、商品力があっても集客に苦戦する可能性があります。インドネシア人の消費行動を詳しく知りたい方は、市場調査サービスをご利用ください。詳細はこちらから。

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日本企業・起業家がコーヒービジネスに参入する際のヒント

インドネシアのカフェ

インドネシアのコーヒービジネスは、その市場の大きさと成長性の高さから、日本企業・起業家にとっても魅力的な参入領域です。ただし、競争環境は激しく、成功のハードルも低くはありません。以下は、市場を理解した上で参入を検討する際の基本的な視点です。

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コーヒー豆の仕入れルート

コーヒー豆の仕入れルートは大きく、

  1. 農園からの直接買い付け
  2. ロースターからの購入
  3. 輸入・流通業者の活用

の3つが考えられます。

直接買い付けは最もコストを抑えられる可能性がある一方、産地や農家との関係構築、品質検査、ロジスティクスの管理など、多くの課題を伴います。インドネシアのコーヒー豆は世界的な評価が上がっているとはいえ、品質のばらつきはまだ課題として残っています。

初めて参入する方には、まずロースターや流通業者を経由したルートから始めるほうが現実的でしょう。

品質の均質化という点でも、間にプロが入ることで安定した仕入れが期待できます。複数ルートを組み合わせているカフェも多くあります。なお、サプライヤーを複数確保しておくことは、インドネシアにおける飲食ビジネス全般での最重要事項です。

ハラール対応の基本

インドネシアは世界最大のムスリム人口を持つ国です。ハラール(ハラル)義務化政策により、カフェビジネスにおいてもハラール対応は大前提となっています。

コーヒー自体はハラール対応しやすい商品です。一方、フードメニューを扱い、ハラール認証を取得する場合は、豚由来成分を使用しないことや、乳製品・添加物の確認とハラール対応が必要です。

まず現地を歩き、肌感覚を持つことから

ジャカルタ市内だけを見ても、ブラックコーヒー1杯の価格は5,000ルピア(約45円)から45,000ルピア(約40Ⅰ円)程度まで幅があります。

道端の露店から洗練されたスペシャルティカフェまで、ターゲットも業態も非常に多様です。どれほど優れたコンセプトや素材を持っていても、その地域の客層・利用シーン・価格感覚とズレがあれば、長続きしないのは他の市場と同様です。むしろ他の市場よりもシビアかもしれません。

インドネシアのカフェビジネスはエキサイティングで可能性に満ちていますが、難易度も決して低くはありません。参入前にできる限り多くの店舗を自分の足で歩いて体感することが、最初の重要なステップではないでしょうか。弊社でも現地視察のサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

インドネシアのコーヒー市場は成長性と現地適応の両面で見る

本記事では、インドネシアのコーヒー文化と市場を以下の視点から整理しました。

  • 世界第4位の生産国としての存在感と、近年のスペシャルティコーヒー文脈での評価上昇
  • ローカル発メガチェーンの台頭と、グラブ&ゴー型ビジネスモデルの普及
  • 各島に個性を持つ多様な産地(アチェ・ガヨ、マンデリン、トラジャ、バリ等)
  • ロブスタ中心の甘いコーヒー文化から、アラビカ・スペシャルティへの移行という長期トレンド
  • デリバリー需要の大きさと、ターゲット・価格設定の多様性

インドネシアのコーヒー市場は、今まさに変化の真っ只中にあります。生産側では世界市場での存在感が増し、消費側では若年層を中心に新しいカフェ文化が花開いています。日本企業・起業家にとって、食品・飲料分野での参入を検討する際のヒントが豊富に詰まった市場です。

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【補足】
本記事中の円換算は、2026年6月11日のレート(1ルピア=0.0089円、1ドル=160.10円)を基準としています。為替レートは日々変動しますので、最新のレートはご自身でご確認ください。

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