インドネシアで豚肉を提供しても大丈夫?飲食店向けに現地事情を解説

公開
2026/07/26
更新
2026/08/13
この記事は約6分12秒で読めます。
最も多いお悩みと回答

インドネシアの飲食店で豚肉を提供しても大丈夫ですか?

インドネシアでも豚肉の提供は禁止されておらず、非ハラールであることを明確に表示すれば、豚肉料理を扱う飲食店を営業できます。ただし、出店地域や客層によって受け入れられ方が大きく異なるため、事前の市場調査が重要です。

豚肉料理を提供しやすい地域はどこですか?

ヒンドゥー教徒や海外からの観光客が多いバリ島のほか、ジャカルタでは非ムスリム住民が多い北部エリアで豚肉料理を提供する店舗が比較的多く見られます。

豚肉を扱う飲食店では、どのような対応が必要ですか?

店頭やメニューで非ハラールであることを明示し、必要に応じて食材の保管場所、調理器具、食器、調理動線を分けることが重要です。スタッフへの宗教・文化面の教育も欠かせません。

飲食店の開業準備を相談する

インドネシアは世界最大級のムスリム人口を抱える国です。飲食店で豚肉を提供することは可能ですが、豚肉を食べる人が一定数いる一方、そうでない人が多数であることにも留意する必要があります。多くの地域で、鶏肉や牛肉と同様の扱いで豚肉を出すことはできません。

インドネシアへの進出を検討する日系飲食企業にとって、豚肉を扱うかどうかは、単なるメニュー選定ではなく、出店エリア、ターゲット層、ブランドの立ち位置を左右する重要な判断です。

本記事では、地域ごとの受容度、ハラール・非ハラール表示の考え方、日系飲食店の事例などを紹介し、インドネシアで豚肉メニューを展開する際の判断材料を整理します。

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必ずしも「インドネシア=豚肉NG」ではない

焼き豚などのおかずがのったインドネシアのご飯
焼き豚などのおかずがのったご飯
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インドネシアの非ムスリム人口は全体の約1割

インドネシアの人口の9割程度はイスラム教徒とされていますが、残りの約1割にはキリスト教徒、ヒンドゥー教徒など、豚肉を食べる人々が含まれています。

実際、ヒンドゥー教徒が多数を占めるバリ島では、非イスラム教徒は豚肉を日常的に口にしています。インドネシアで豚肉料理を食べているのは、こうした他宗教のインドネシア人と、日本など海外からインドネシアを訪れている観光客や駐在員が中心と考えられます。

同じジャカルタでもエリアによって濃淡がある

同じジャカルタの中でも、豚肉に対する寛容度はエリアによって異なります。

キリスト教徒や仏教徒が多い中華系住民が住む北ジャカルタのPantai Indah Kapuk(パンタイ・インダ・カプック)やKota(コタ)、Kelapa Gading(クラパガディン)、Pluit(プルイット)といったエリアでは、豚肉料理を提供するレストランが並んでいる光景も珍しくありません。豚肉を扱う飲食店が集まるフードフェスなども頻繁に開催されます。

一方で、それ以外のエリア、特に郊外では、豚肉を扱う飲食店はほとんど見なくなります。

突き詰めると、豚肉を好んで食べる民族がどれだけ住んでいるかによって地域の豚肉に対する寛容度が決まってくる面が大きく、こうしたエリアの見極めは、豚肉メニューを扱う飲食店にとっては重要な判断材料となります。

豚肉料理の受容度は、統計やインターネット上の情報だけでは判断しにくい部分もあります。候補エリアの客層や競合店を現地で確認したい方は、インドネシア現地視察支援サービスをご利用ください。

インドネシア経済の魅力について

インドネシア人にとっての豚肉 — ハラーム / ハラールの考え方

インドネシアのココ壱番屋
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高まるハラールの認証の認知度

イスラム法において豚肉を含む禁じられたものは「ハラーム」と呼ばれます。一方、認められたものは「ハラール(ハラル)」と言います。インドネシアでもハラーム / ハラールの考え方は広く知られており、食べ物、日用品、生活習慣などについて、ハラームか、ハラールかを非常に気にする人もいます。

また、インドネシアで飲食店や商品に対するハラール認証が浸透してきたことにより、ハラール認証が食品の安全性を示す指標として認識されることもあります。

ただし、ムスリムであれば誰もが同じ厳格さで戒律を守っているわけではなく、個人差があるという点には留保が必要でしょう。

「酒」より「豚」の方が厳しく見られがちという傾向

インドネシアのイスラム教徒の間では、お酒よりも豚肉の方が敬遠される傾向があるように感じます。

あくまで肌感覚の域を出ませんが、アルコールを提供する店には足を運ぶイスラム教徒の方でも(自分はアルコールを飲まない)、豚肉を扱う店については「(例え豚肉を一切食べなくても)自分たちの店ではない」と判断して避けるケースが多いように見受けられます。

この温度差は、メニュー構成や店づくりを検討する際にも意識しておいて損はないでしょう。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

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モール内レストランで豚肉を出しても大丈夫なのか

インドネシアでは2024年10月18日から、食品・飲料製造業や飲食業などの中堅・大企業を対象にハラール認証取得の段階的な義務化が進んでいます。2026年10月17日までには、小規模・零細事業者を含むすべての対象企業・商品のハラール認証が義務化されることになっています。

ここで押さえておきたいのは、この義務化が「豚肉提供の禁止」を意味するものではないという点です。非ハラール成分を含む製品やサービスについては、「Tidak Halal(非ハラール)」であることを明示することで、国内での流通・提供が認められています。

実際、ジャカルタ市内のショッピングモールでも、豚肉を扱うレストランは決して珍しくありません。地域にもよりますが、豚肉料理を主軸に据えた店や、鶏ラーメンと豚骨ラーメンの両方を扱いながら調理器具や食器をきちんと分けて提供している店も見られます。

インドネシアでの飲食店開業に向けては、豚肉を提供できるかどうかだけでなく、法人設立や許認可、店舗運営に必要な準備もあわせて整理する必要があります。進出準備の全体像を知りたい方は、「インドネシア進出ハンドブック」をこちらから無料でダウンロードできます。

飲食店向け月額5万円のインドネシア進出支援

「インドネシア進出を前向きに検討しているものの、コンサルティング費用に月額20万〜30万円をかけるのは悩ましい。」そんな企業様にも気軽にご利用いただけるよう、弊社では月額5万円のインドネシア進出支援サービスをご提供しています。

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豚肉を扱う際の注意点

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ハラール認証未取得でのレストラン運営リスク

地域により差があるとはいえ、ジャカルタをはじめインドネシアの多くの地域では、住民の大多数がイスラム教徒です。そのため、非ハラール表示を付けて飲食店を運営することは、客層を狭めることにつながる可能性を考慮する必要があります。

また、非ハラール店として運営する場合は、そのことをメニューや店頭で明確に示すことが重要です。

以前、ハラール認証を取得しておらず、ハラール認証サービスシステム「SIHALAL」にも登録していないジャカルタ市内のレストランが豚肉料理とアルコール飲料を提供していたことに気づいたムスリムの客の投稿がSNSで拡散し、宗教省のハラール製品保証機関(BPJPH)が監視チームを現場に派遣する事態に発展したことがありました。

問題が大きく取り上げられた背景には、非ハラールであることを店側が来店前にわかりやすく示せていなかった点があったと考えられます。

ハラール・非ハラールの業態を切り分けた一風堂の事例

ラーメンチェーンの一風堂は、2014年にインドネシアに進出しています。2025年時点でジャカルタとスラバヤに8店舗を展開する既存店舗では、豚骨ラーメンを主力メニューとしつつノンポークメニューも用意する形で営業してきました。

一方で2025年には、鶏やエビを使ったハラール認証取得済みのラーメンのみを提供する新会社「Noodle Mania Indonesia」を設立し、ハラールと非ハラールの業態を明確に切り分ける展開に踏み出しています。

ラーメン店では1つの店舗で食器を分けてハラール・非ハラールの両方の客層を狙う戦略も見られますが、一風堂の場合には、「業態そのものを完全に切り分けたほうが合理的」と判断されたのかもしれません。

顧客視点で考えるレストランの明確な立ち位置

これらの事例を踏まえると、調理動線や食器を分ける、スタッフに宗教配慮を含めた教育を行うといった対応方法が選択肢としてはありつつも、豚肉を扱う店舗では「非ハラールであることの明示」が今後はさらに重要度を増しそうです。

また、ハラール、非ハラールの市場の分断が進んでいく可能性もあります。店舗運営の細かな体制づくりは専門的な知見が求められる領域でもあるため、詳細は専門家に確認しながら進めることをおすすめします。

ハラール業態と非ハラール業態の分け方は、出店地域、想定客層、メニュー、調理設備によって適切な形が異なります。現地事情を踏まえて検討したい方は、こちらから弊社までお問い合わせください。

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豚肉を提供している日系レストラン

豚骨系ラーメン

日系の飲食業態で豚肉と言うと、ラーメンやとんかつ、居酒屋メニューなどが思い浮かびます。

ラーメンでは先述の「一風堂」のように、ハラールと非ハラールの両方の客層を視野に入れる店がある一方で、豚骨ラーメンに特化して営業する「麺や桜」や「Fujiyama55」のような店もあります。出店できるエリアは限られますが、提供する豚骨ラーメンと同様に濃いファンをつかんでいるようです。

日系居酒屋では、駐在員を主な客層としていることもあり、豚料理が提供されているケースは比較的よく見られます。とんかつではジャカルタのショッピングモールに2店舗を展開する「マイセン」が代表的な存在で、このほかにも日本人が携わる小規模なとんかつ店がいくつか営業しています。

日系以外にも豚肉をよく扱う業態として、韓国料理店が挙げられます。サムギョプサルをはじめ豚肉を使ったメニューが多く、客層は韓国人・日本人が中心ですがうまくローカルの豚好きを取り入れているお店もあります。

またローカル系では、バタック人が経営する「Lapo」と呼ばれる食堂業態でも豚肉料理が常時提供されています。ただし、Lapoの場合は、客のほとんどはバタック人です。

【補足】
インドネシアにおける日系の焼肉店については、最近では豚肉を置かず牛肉を主体とする店が増えてきているようです。

豚肉を購入できる場所

「そもそも豚肉はスーパーで買えるのか?」という疑問を持つ方も多いかもしれませんが、答えは「買える」です。Ranch Market、Grand Lucky、Kem Chicks、日本食スーパーPapaya Fresh Galleryといった駐在員・富裕層・華人層をターゲットにした高級スーパーには、豚肉を扱う精肉コーナーが設けられています。

大手スーパーの多くでは「Non Halal(書き方はお店によって異なります)」と表示されたコーナーで販売されており、スペースを明確に区切り、カットするキッチンも他の肉と分けて運用されているのが一般的です。外から見える限りでは、販売コーナーに立つスタッフも非ムスリムを選んでいるケースが多いようです。

店舗によっては解凍済みのフレッシュな豚肉を扱うところもありますが、そうではなく冷凍豚肉のみを取り扱う店のほうがむしろ多い印象です。

また、ジャカルタでは前述のパンタイ・インダ・カプックエリアなどの伝統市場でも、豚肉を購入できます。

価格帯については、2026年7月時点でAEONスーパーマーケットにて購入する場合、100グラムあたり2万ルピア程度(1ルピア=0.0090円で約180円)が目安になりそうです。

豚肉を提供するならエリアと店舗の立ち位置を明確に

「インドネシア=豚肉NG」という前提は、実態としてはやや単純化されすぎていると言えそうです。大切なのは豚肉を扱うかどうかを一律に判断することではなく、出店エリアやターゲットとする客層を見極めたうえで、ハラールと非ハラールのどちらの立ち位置を取るのかを明確にすることではないでしょうか。

既存店舗を非ハラールとして運営しながら新業態でハラール認証を取得するという一風堂の判断のように、両立を図る選択肢も含めて検討する価値がありそうです。

弊社では、こうした出店エリアの見極めやハラール対応の方向性について、現地の実情を踏まえたご相談を承っております。豚肉メニューを扱う可能性を検討されている際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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