特定技能「農業分野」の技能試験の試験内容、試験会場、申込方法など

公開
2025/01/20
更新
2025/02/08
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インドネシアからの人材は、特定技能「農業分野」で働く外国人の中で最も多く、日本の農業業界において重要な役割を果たしています。特定技能の資格で農業に従事するインドネシア人のなかには、元技能実習生もいます。一方で、日本語や農業について一から学び、試験に合格して在留資格を取得する人も大勢います。

そこで本記事では、特定技能「農業分野」の在留資格取得に必要な試験のうち、技能試験について、内容や受験方法、試験結果などを紹介します。

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特定技能「農業分野」とは

特定技能「農業分野」の概要

特定技能は、外国人材の受入れのため2019年に運用が開始された、新しい在留資格です。制度の目的は、深刻化する人手不足に対応するため、改善の取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れることにあります。

農業も、特定技能外国人の受け入れができる分野の一つです。2024年6月時点では2万7,786人の外国人が、この資格を持ち日本で働いています。

農業分野では季節により作業の繁閑の差が大きいという事情があります。特定技能外国人の場合、閑散期は一時帰国するという選択肢もありますが、旅費がかさむなどの問題もあるため、特別に、派遣形態での受け入れも可能となっています。

このケースでは外国人材と雇用契約を結ぶのは認定を受けた派遣会社で、派遣会社が「受け入れ機関」となります。外国人材を受け入れる事業者は、派遣会社と労働者派遣契約を結び、繁忙期で人手が必要なときに派遣を受けます。

参考:農林水産省「農業分野における外国人材の受入について|P.15」

特定技能「介護分野」で働くインドネシア人

2024年6月時点で、特定技能1号「農業分野」に従事するインドネシア人は、8,514人でした。出身国別でもっとも多く、30.6%を占めます。また農業分野は、介護分野、飲食料品製造業分野に次いでインドネシア人が多い分野でもあります。

グラフからもわかるように、特定技能1号「農業分野」で働くインドネシア人は増え続けています。コロナ禍の影響が薄れた2022年からの2年間では、3.8倍になっています。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」

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特定技能「農業分野」の試験の種類

特定技能1号「農業分野」の在留資格を取得するためには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

農業分野には「耕種農業」と「畜産農業」の2つの区分があります。在留資格も2つに分かれているため、技能試験もそれぞれ設けられています。日本語試験(JLPTまたはJFT-Basic A2)は他の産業分野と共通です。

  • 技能試験(1号農業技能測定試験)
  • 日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))
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特定技能「農業分野」の技能試験の試験内容

試験の水準と構成

農林水産省によると、特定技能「農業分野」の技能試験の水準は「日本国内での実務経験が3年以上の者であれば、7割程度が合格する水準」となっています。これは、技能実習における農業技能実習評価試験(専門級)と同等程度とされています。

問題は、会場のある国の公用語で出題されます。日本の会場では、日本語のほか、英語やインドネシア語などでも受験可能です。

試験は試験会場のコンピュータを使用したコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施されます。

試験時間は60分で、学科と実技の試験があります。実技試験には、業務上必要な日本語能力の確認が含まれます。試験の構成は以下の通りです。

(1)耕種農業全般

①学科

  • 耕種農業一般
  • 安全衛生
  • 栽培作物の品種・特徴
  • 栽培環境(施設・設備・資材・機械)
  • 栽培方法・管理
  • 病害虫・雑草防除
  • 収穫・調整・貯蔵・出荷 等

②実技(イラスト・写真による判断)

  • 土壌の観察
  • 肥料・農薬の取扱い
  • 種子の取扱い
  • 環境管理、資材・装置・機械の取扱い
  • 栽培に関する作業
  • 安全衛生 等

③日本語

  • 日本語で指示された農作業の内容等の聴き取り

(2)畜産農業全般

①学科

  • 畜産農業一般
  • 安全衛生
  • 品種
  • 繁殖・生理
  • 飼養管理 等

②実技(イラスト・写真による判断)

  • 個体の取扱い
  • 個体の観察
  • 飼養管理、器具の取扱い
  • 生産物の取扱い
  • 安全衛生 等

③日本語

  • 日本語で指示された農作業の内容等の聴き取り

受験資格

特定技能の技能試験の受験には、試験実施日時点で「インドネシア国籍者の場合は18歳以上(ほかは17歳以上)」という年齢制限があります。

新しく在留資格を取得する人は、自国で試験を受けることになります。

一方、すでに在留資格を有する人は、日本国内で受験できます。例えば、「耕種農業」に従事する人が「畜産農業」の資格取得を目指す場合や、特定技能以外の在留資格を持つ人が、新たに特定技能の資格を取得する場合が想定されます。

試験免除

技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能試験および日本語試験が免除されます。技能実習3号の修了者も、技能実習2号を良好に修了したことを前提としているため、試験が免除されます。

合格基準

合格基準は「総合得点に対し、全国農業会議所が定める判定基準点を超えていること」とされ、具体的な合格の基準は公開されていません。

試験結果は試験終了後、試験会場のコンピュータ画面上に表示されます。また、試験実施後5営業日以内を目途に、専用のWebサイト上でスコアレポートを確認できます。

参照:農林水産省「在留資格「特定技能」について(農業分野)|「1号農業技能測定試験」試験実施要領」

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特定技能「農業分野」の技能試験の受験者数と合格率

日本の会場とインドネシアの会場の、2023年度の受験者数と合格率を紹介します。日本の試験会場には、インドネシア人以外の受験者の結果も含まれます。なお、4月は試験が実施されていません。

日本の試験会場

  • 受験者数合計:9,062人
  • 合格者数合計:7,908人
  • 合格率:87.3%

耕種農業全般

実施月受験者数合格者数合格率
2023年5月388人325人83.8%
2023年6月578人494人85.5%
2023年7月667人581人87.1%
2023年8月632人543人85.9%
2023年9月537人454人84.5%
2023年10月649人556人85.7%
2023年11月555人487人87.8%
2023年12月406人350人86.2%
2024年1月385人342人88.8%
2024年2月721人615人85.3%
2024年3月594人511人86.0%
受験者数合計:6,112人合格者数合計:5,258人合格率平均:86.0%

畜産農業全般

実施月受験者数合格者数合格率
2023年5月131人120人91.6%
2023年6月578人494人85.5%
2023年7月206人190人92.2%
2023年8月632人543人85.9%
2023年9月213人199人93.4%
2023年10月230人201人87.4%
2023年11月231人217人93.9%
2023年12月152人144人94.7%
2024年1月161人152人94.4%
2024年2月244人233人95.5%
2024年3月172人157人91.3%
受験者数合計:2,950人合格者数合計:2,650人合格率平均:89.8%

インドネシアの試験会場

  • 受験者数合計:7,522人
  • 合格者数合計:6,537人
  • 合格率:86.9%

耕種農業全般

実施月受験者数合格者数合格率
2023年5月113人101人89.4%
2023年6月318人295人92.8%
2023年7月450人403人89.6%
2023年8月863人781人90.5%
2023年9月457人410人89.7%
2023年10月860人754人87.7%
2023年11月462人412人89.2%
2023年12月931人820人88.1%
2024年1月861人775人90.0%
2024年2月694人628人90.5%
2024年3月146人142人97.3%
受験者数合計:6,155人合格者数合計:5,258人合格率平均:89.7%

畜産農業全般

実施月受験者数合格者数合格率
2023年5月32人30人93.8%
2023年6月82人78人95.1%
2023年7月124人119人96.0%
2023年8月230人210人91.3%
2023年9月87人83人95.4%
2023年10月185人169人91.4%
2023年11月85人77人90.6%
2023年12月152人143人94.1%
2024年1月215人203人94.4%
2024年2月141人134人95.0%
2024年3月34人33人97.1%
受験者数合計:1,367人合格者数合計:1,279人合格率平均:93.6%

参考:農業技能測定試験「国別試験情報|試験実施結果」

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特定技能「農業分野」の技能試験の会場と日程

日本の試験会場

日本の試験会場は、47都道府県にそれぞれ設置されています。

2021年以降は、4月を除き毎月試験が実施されています。毎週3~5日の頻度で試験を行う会場が多く、平日がメインですが、土日に受験可能な会場もあります。

インドネシアの試験会場

インドネシアでは、以下の都市に試験会場が設けられています。

  • ジャカルタ首都特別州
  • バンドン(西ジャワ州)
  • デンパサール(バリ州)
  • マナド(北スラウェシ州)※2024年11月より
  • メダン(北スマトラ州)
  • スマラン(中部ジャワ州)
  • スラバヤ(東ジャワ州)
  • ジョグジャカルタ特別州

このうちジャカルタには5か所の会場があります。他の都市はそれぞれ1か所です。週3~7日の頻度で試験を実施する会場が多くなっています。

国内外の試験会場と日程は、以下の出入国在留管理庁のWebサイトに掲載されています。詳細は、試験を実施するプロメトリック株式会社のWebサイトにログインすることで確認できます(後述)。

インドネシアで人材ビジネスを行う上での投資規模感と設立形態

※右にスクロールできます

最低投資額
リスクの高低
準備期間
主な目的
1億円以上
4〜5ヶ月
本格的な進出
こちら
1,000万円以上
3ヶ月前後
変則的な進出
こちら
100万円前後
1ヶ月以内
簡易的な進出
こちら

特定技能「農業分野」の技能試験の申込方法と受験料

申込方法と申込期限

まず、プロメトリック株式会社のWebサイトからIDを取得します。そのIDでログインすると試験の申込ページが表示されます。申込ページから、現在申し込める試験日程や空席状況を確認できます。

申し込みや予約の変更は、試験日の59日前から試験日の3営業日前の23時59分(日本時間)まで可能です。試験日が土・日、日本の祝日の場合は、4営業日前までとなります。なお、試験受験後、45日間は次の受験ができません。

受験料

特定技能1号「農業分野」の技能試験の受験料は、日本の会場が8,000円、インドネシアの会場が45万ルピアとなっています。インドネシアの会場の受験料は日本円に換算すると4,280円程度なので、日本の会場の約半額に抑えられていることになります。

【補足】
円表記は2025年1月17日のレート(1ルピア=0.0095円)で換算したものです。

日本の農家がインドネシア人材の受け皿に

特定技能制度はいまや日本の農業現場にとって、人手不足を補い、持続可能な運営を支える重要なカギとなっています。

そのなかで存在感が特に大きいのが、インドネシア人材です。若者が多く失業率の高いインドネシアは、政府を挙げて、日本への人材派遣を積極的に進めています。今後もこの流れは加速していくでしょう。

インドネシア人の人材紹介や受け入れに興味をお持ちの企業さまは、ぜひ弊社カケモチまでお問い合わせください。

特定技能「農業分野」で働くインドネシア人は何人いますか。

2024年6月時点で、特定技能1号「農業分野」に従事するインドネシア人は、8,514人でした。

特定技能「農業分野」の資格を取得するためには試験を受ける必要がありますか。

特定技能1号「農業分野」の在留資格を得るためには、技能試験(1号農業技能測定試験)と日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))の2つの試験に合格する必要があります。

特定技能「農業分野」の技能試験はどこで受験できますか。

特定技能「農業分野」の技能試験は、日本の47都道府県に設置された会場や、特定技能人材受け入れの対象となっている各国に設置された会場で受験できます。インドネシアでは、8都市で試験が実施されています。

読後のお願い

弊社で公開している記事の1つ1つは、日本人とインドネシア人のライター、日本人とインドネシア人の編集者がそれぞれ協力しながら丁寧に1記事ずつ公開しています。

記事の内容にも自信がありますし、新しい情報が入り次第適宜アップデートもしています。これだけ手間ひまかけて生み出した記事はできれば一人でも多くのインドネシアのビジネス関係者に読んでもらいたいです。

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