特定技能「工業製品製造業分野」の技能試験の試験内容、試験会場、申込方法など

公開
2025/01/23
更新
2025/02/08
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工業製品製造業は、特定技能制度で外国人の受け入れが可能な分野のうち、特に多くの外国人が従事する分野の一つです。現在、約4万4,000人が特定技能1号「工業製品製造業分野」の資格で日本に在留し、そのうち約7,000人がインドネシア人です。

本記事では、特定技能1号「工業製品製造業分野」の資格取得に必要な試験のうち技能試験に焦点を当て、試験の概要、試験内容、申込方法、インドネシアでの実施状況などを紹介します。

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特定技能「工業製品製造業分野」とは

特定技能「工業製品製造業分野」の概要

2019年に開始された新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、改善の取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れる制度です。

工業製品製造業分野(旧称:素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)も、特定技能外国人の受け入れができる分野の一つです。

2024年6月時点で、4万4,044人の外国人が、特定技能1号「工業製品製造業分野」の在留資格を持ち、日本で働いています。これは特定技能全体の人数の17.5%を占め、飲食料品製造業分野に次いで多くなっています。

特定技能「工業製品製造業分野」で働くインドネシア人

特定技能1号「工業製品製造業分野」で在留する外国人を国籍別にみると、一番多いのはベトナム人の2万6,599人で、全体の60.4%を占めます。次に多いのはインドネシア人で、7,028人となっています。全体に占める割合は16%と、ベトナム人と比べるとまだまだ少ないものの、徐々に増えてきています。

ベトナム人もインドネシア人も、現状ではそのほとんどが元技能実習生です。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」/「特定技能1号在留外国人数第7表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】

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特定技能「工業製品製造業分野」の試験の種類

特定技能1号「工業製品製造業分野」の在留資格を取得するためには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能試験(機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分)
  • 日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))

工業製品製造業分野には「機械金属加工区分」、「電気電子機器組立て区分」、「金属表面処理区分」の3つの区分があり、それぞれに技能試験(製造分野特定技能1号評価試験)が設けられています。

日本語試験は他の産業分野と同様、JLPT N4以上またはJFT-Basic A2のいずれかに合格する必要があります。

【補足】
※2024年3月、工業用品製造業分野の業務区分が10区分に拡大されることが決まりました。今後は技能試験も変更になる可能性があります。

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特定技能「工業製品製造業分野」の技能試験の試験内容

試験の水準

試験の主催者である経済産業省は、特定技能1号「工業製品製造業分野」の技能試験の水準について、「特定技能1号の試験免除となる技能実習2号修了者が受験する技能検定3級試験程度を基準」としています。

試験の方式と内容

試験の方式

特定技能1号工業用品製造業分野試験問題サンプル
画像出典:経済産業省特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト「1号評価試験サンプル問題」

特定技能1号「工業製品製造業分野」の技能試験は、試験会場のコンピュータを使用したコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施されます。問題数は合計40問(学科試験30問、実技試験10問)、試験時間は80分です。

学科試験は、材料や安全衛生、作業の方法等、技能の裏付けとなる知識を確認するもので、問題文の内容の正誤を選ぶ形式です。

実技試験は、技能者として体得していなければ ならない基本的な技能について、原材料、模型、写真等を提示して、判別・判断等を行わせ、その技能を評価するものです。正しい答えを選ぶ選択式問題となっています。

出題内容

項目と問題数(目安)を、区分別に紹介します。

機械金属加工区分

学科試験

  • 製造分野全般「安全衛生、品質管理」・「一般教養」・「法令、規格、器具」など:10問
  • 機械金属加工区分全般「安全衛生、品質管理」・「機械工作法、機械、器具」・「材料」・「検査・測定」・「製図」など:20問

実技試験

  • 安全衛生:2問
  • 品質管理:2問
  • 検査:2問
  • 測定:2問
  • 製図:2問
電気電子機器組立て区分

学科試験

  • 製造分野全般:10問
    「安全衛生、品質管理」・「一般教養」・「法令、規格、器具」など
  • 電気電子機器組立区分全般:11問
    「安全衛生、品質管理」・「電気」・「製図」・「器具」など
  • 専門性の高い問題:9問
    「機械加工、仕上げ」・「機械検査、機械保全」・「電子機器組立」・「電気機器組立」・「プリント配線板製造」・「プラスチック成形」・「工業包装」など

実技試験

  • 安全衛生、品質管理:2問
  • 電気:2問
  • 製図:1問
  • 器具:2問
  • 機械関連:1問
  • 電機関連:1問
  • その他応用的な問題:1問
金属表面処理区分

学科試験

  • 製造分野全般:10問
    「安全衛生、品質管理」・「一般教養」・「法令、規格、器具」など
  • 金属表面処理区分全般:11問
    「検査測定」・「材料」・「化学一般」・「電気」など
  • 専門性の高い問題:9問
    「めっき・アルミニウム陽極酸化処理共通」・「めっき」・「アルミニウム陽極酸化処理」など

実技試験

  • 検査・測定:3問
  • 材料:2問
  • 化学:1問
  • 電気:1問
  • めっき・アルミニウム陽極酸化処理共通:1問
  • めっき:1問
  • アルミニウム陽極酸化処理:1問

参考:経済産業省特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト「1号評価試験サンプル問題」

受験資格

特定技能の技能試験の受験には、試験実施日時点で「インドネシア国籍者の場合は18歳以上(ほかは17歳以上)」という年齢制限があります。

新しく在留資格を取得する人は、自国で試験を受けることになります。一方、すでに他の在留資格を有する人が新たに特定技能の資格を取得する場合は、日本国内で受験できます。機械金属加工区分で働いている人が電気電子機器組立て区分の資格を追加で取得する場合なども、国内で受験できます。

試験免除

技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能試験および日本語試験が免除されます。技能実習3号の修了者も、技能実習2号を良好に修了したことを前提としているため、試験免除となります。

合格基準

特定技能1号「工業製品製造業分野」の技能試験の合格基準は、以下の通りです。

  • 学科試験:65%以上
  • 実技試験:60%以上

試験結果は、試験を実施したパソコン画面に表示されるほか、試験後5営業日以内に、試験を実施するプロメトリック社の専用Webサイトから確認できます。

参考:
出入国在留管理庁「試験実施要領(分野別)|3工業製品製造業分野」
PROMETRIC「製造分野特定技能1号評価試験」

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特定技能「工業製品製造業分野」の技能試験の会場と日程

日本の試験会場

日本の試験会場は、47都道府県にそれぞれ設置されています。2024年度は、3回の試験実施期間(第1ターム~第3ターム)に分けて実施されています。日程ごとに試験が実施される会場が決まっており、毎回すべての会場で受験できるわけではありません。

  • 第1ターム:2024年7~8月
  • 第2ターム:2024年12月
  • 第3ターム:2025年2月

インドネシアの試験会場

2024年度は3回の試験実施期間のうち、第2タームと第3タームは海外の試験会場でも試験が実施されました。インドネシアの試験会場はジャカルタとジョグジャカルタ(2025年から)にあります。インドネシアの他には、フィリピンとタイでも受験できます。

年度内の試験日程は、専用ポータルサイト(https://www.sswm.go.jp/exam/about-ssw1/#schedule)から確認できます。

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特定技能「工業製品製造業分野」の技能試験の受験者数と合格率

日本の会場とインドネシアの会場の、2023年度の受験者数と合格率を紹介します。日本の試験会場には、インドネシア人以外の受験者の結果も含まれます。

日本の試験会場

  • 受験者数合計:640人
  • 合格者数合計:113人
  • 合格率:17.7%

機械金属加工区分

実施月受験者数合格者数合格率
2023年7月120人24人20.0%
2023年11月147人28人19.0%
2024年1月61人10人16.4%
2024年2月65人13人20.0%
受験者数合計:393人合格者数合計:75人全体の合格率:19.1%

電気電子機器組立て区分

実施月受験者数合格者数合格率
2023年7月82人15人18.3%
2023年11月72人6人8.3%
2024年1月29人4人13.8%
2024年2月32人7人21.9%
受験者数合計:215人合格者数合計:32人全体の合格率:14.9%

金属表面処理区分

実施月受験者数合格者数合格率
2023年7月8人2人25.0%
2023年11月16人4人25.0%
2024年1月2人0人0.0%
2024年2月6人0人0.0%
受験者数合計:32人合格者数合計:6人全体の合格率:18.8%

インドネシアの試験会場

インドネシアの試験会場では、機械金属加工区分と電気電子機器組立て区分のみ、1日程で試験が実施されました。2025年にはジョグジャカルタ会場も新設され、今後はより頻繁に試験が実施される可能性もあります。

実施月区分受験者数合格者数合格率
2023年11月機械金属加工区分21人2人9.5%
2023年11月電気電子機器組立て区分11人2人18.2%
受験者数合計:32人合格者数合計:4人全体の合格率:12.5%

参考:出入国在留管理庁「試験実施状況報告書|令和5年度製造分野特定技能評価試験実施状況報告書」

工業製品製造業分野の技能試験の結果について、特筆すべきは合格率の低さです。上記の通り、2023年度は日本の試験会場が17.7%、インドネシアの試験会場が12.5%でした。

参考までに、インドネシア人が多い産業分野の2023年度の合格率を以下に紹介します。工業製品製造業分野の技能試験は、試験が日本語で実施されることに加え、作業区分ごとの深く細かい知識が必要で、比較的難易度が高い試験といえそうです。

産業分野ごとの技能試験の合格率(2023年度)

介護分野(日本語または各国の公用語で実施)

  • 日本の試験会場:67.7%
  • インドネシアの試験会場:77.6% ​

飲食料品製造業分野(日本語で実施)

  • 日本の試験会場:61.8%
  • インドネシアの試験会場:69.8%

農業分野(日本語または各国の公用語で実施)

  • 日本の試験会場:87.3%
  • インドネシアの試験会場:86.9%
インドネシアで人材ビジネスを行う上での投資規模感と設立形態

※右にスクロールできます

最低投資額
リスクの高低
準備期間
主な目的
1億円以上
4〜5ヶ月
本格的な進出
こちら
1,000万円以上
3ヶ月前後
変則的な進出
こちら
100万円前後
1ヶ月以内
簡易的な進出
こちら

特定技能「工業製品製造業分野」の技能試験の申込方法と受験料

申込方法と申込期限

まず、試験を実施しているプロメトリック株式会社のWebサイトからIDを取得します。そのIDでログインすると試験の申込ページが表示されます。申込ページから、現在申し込める試験日程や空席状況を確認できます。

申し込みや予約の変更は、試験日の3営業日前の23時59分(日本時間)まで可能です。試験日が土・日、日本の祝日の場合は、4営業日前までとなります。なお、試験受験後、45日間は次の受験ができません。

受験料

特定技能1号「工業製品製造業分野」の技能試験の受験料は、日本の会場が8,000円、インドネシアの会場が74万ルピア(7,030円)となっています。なお、合格証明書の発行には1万5,000円の手数料がかかります。

【補足】
円表記は、2025年1月18日のレート(1ルピア=0.0095円)で換算したものです。

インドネシア人元技能実習生が活躍する製造業分野

日本ではいま、多くのインドネシア人元技能実習生が自らの経験を活かし、特定技能1号「工業製品製造業分野」の在留資格で働いています。

一方で、技能試験の会場や日程は、現状では限定的です。試験が難しいことも、技能実習を経ずに特定技能の在留資格を取得しようとする人にとってはハードルとなっています。ただ、今後、技能実習制度が廃止され、元技能実習生からの採用が減ってくる頃には、この状況も変化していくでしょう。

インドネシアからの人材紹介や受け入れに興味をお持ちの企業さまは、ぜひ一度、弊社カケモチまでお問い合わせください。

特定技能1号「工業製品製造業分野」で働く外国人は何人いますか。

2024年6月時点で、特定技能1号「工業製品製造業分野」の在留資格で在留する外国人は4万4,044人でした。これは特定技能全体の人数の17.5%を占めます。

特定技能1号「工業製品製造業分野」で働くインドネシア人は何人いますか。

2024年6月時点で、特定技能1号「工業製品製造業分野」で在留するインドネシア人は7,028人で、国籍別では2番目に多くなっています。

特定技能1号「工業製品製造業分野」の技能試験はどこで受験できますか。

特定技能1号「工業製品製造業分野」の技能試験は、日本国内の会場のほか、インドネシア、フィリピン、タイの会場でも受験できます。

読後のお願い

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