インドネシアの輸入食品ハラール認証の手続きとポイント

公開
2026/04/10
更新
2026/04/27
この記事は約14分9秒で読めます。

インドネシアに食品を輸出する際に重要になるのが「ハラール認証」です。

ハラール(ハラル)とは、イスラム教の教えに基づき「使用や摂取が認められたもの」を指し、食品では原材料だけでなく、製造方法や管理体制まで含めて基準が定められています。

インドネシアではこのハラール対応が制度として義務化されており、輸入食品であっても対応が求められます。

本記事では、インドネシアの食品に関するハラール制度の全体像、輸入食品の認証申請の流れ、必要書類、実務上の注意点までを整理します。これから対応を検討する方でも理解できるよう、基本から解説します。

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インドネシア「輸入食品のハラール認証」の全体像

ハラール認証が付いたスモークサーモン(輸入魚・現地加工品)
ハラール認証が付いたスモークサーモン(輸入魚・現地加工品)

法的根拠と制度の基本構造

インドネシアに食品を輸出する際、まず押さえるべき制度がハラール認証です。インドネシアでは、ハラール製品保証法(JPH法)およびその実施規則である2024年政令第42号に基づき、国内で流通する指定カテゴリーの製品についてハラール対応が義務づけられています

制度の考え方自体はシンプルです。原則として対象製品はハラール認証を取得する必要があり、例外的にハラーム製品(アルコールを含むなど禁じられているもの・こと)については非ハラール表示を行う、という構造になっています。

つまり、何も対応しないまま販売するという選択肢は基本的に想定されていません。

【補足】
ハラール認証の対象は、原則としてインドネシアで流通する食品全般ですが、生鮮食品や塩などの天然由来原料は、一定条件のもとで認証が不要とされています。そのため、実務上の対象は包装された加工食品が中心となります。

食品はすでに義務化フェーズに入っている

特に食品・飲料は、2024年10月18日からハラール認証義務の本格適用フェーズに入っており、輸入食品も2026年10月までの対応が求められています。

そのため現時点では、インドネシア向けに食品を流通させる場合、ハラール対応は前提条件として理解しておく必要があります。

輸入食品のハラール認証「2つのルート」

インドネシアの輸入食品のハラール認証のルート

輸入食品のハラール対応には、大きく分けて2つのルートがあります。

一つはインドネシアのBPJPH(ハラール製品保証実施機関)で直接認証を取得する方法です。

そしてもう一つは、海外で取得したハラール認証を前提に、外国ハラール証明書登録(RSHLN)を行う方法です。RSHLNはあくまで「海外認証取得済み」の製品を登録する仕組みであり、未認証の状態から直接利用できる制度ではありません。

2026年4月時点で、BPJPHの一覧に日本の認定機関として掲載されているのは、以下の5機関です。

  • 宗教法人ムスリム協会(JMA)
  • JIT(Japan Islamic Trust)
  • 一般社団法人ムスリム・プロフェッショナル・ジャパン協会(MPJA)
  • Nippon Asia Halal Association
  • NPO法人日本ハラール協会(JHA)

認定機関は今後増える可能性があり、その都度最新のリストを確認する必要があります。

日本企業の現実的な進め方

日本企業がインドネシア向けに食品輸出を進める場合、どのルートを選ぶかは、現地パートナーの有無や製品の位置づけによって変わります。

現地の輸入業者や販売パートナーがまだ決まっていない段階では、まず日本国内でハラール認証を取得し、その認証をもとに商談やパートナー探索を進め、最終的にインドネシア側でRSHLN登録を行う流れが比較的進めやすいといえます。日本側で一定の準備ができていることは、商談時の説明材料にもなります

一方で、BPOM登録や実際の流通準備は、通常、インドネシア側の輸入者が関与して進めることになるため、認証取得だけを先に進めれば足りるわけではありません。

特に、インドネシア専用商品のように現地向けの設計が前提になる場合は、先に輸入業者候補を探し、条件付きの合意を得たうえで認証や登録手続きに進む方が合理的なこともあります

つまり、最終的には個別に判断することになりますが、

  • 現地パートナーが未定であれば「日本で認証準備を進めながらパートナーを探す」
  • すでに輸入業者など現地の受け皿が見えている場合は「現地側と役割分担を確認しながらBPJPH直接申請も含めて検討する」

というルートを選択することで、その後の輸入までの手続きを比較的スムーズに進められる可能性があります。

輸入者が手続きと流通の中心

日本からインドネシアへ食品を輸出する場合、ハラール認証申請、BPOM登録、実際の輸入手続き、通関、現地流通の準備は、基本的に輸入者が関与して進めることになります。

そのため、日本側の輸出者・製造業者としては、ハラール認証や必要書類の準備を進めることは重要ですが、実際の販売開始に向けた手続きの多くは、輸入者が確定してからでなければ動かしにくい面があります。

また、インドネシアでは輸入業者とディストリビューターを同じ企業が兼ねているケースも少なくありません。食品分野では、輸入ライセンスを持つ会社が、そのまま現地流通や小売・外食向け販売まで担うことも一般的です。

そのため、パートナー候補を探す際には、「輸入できる会社か」だけでなく、「どの販路に強いか」「流通まで一体で担えるか」といった点もあわせて確認することが重要です。

インドネシア向け食品輸出の進め方やハラール認証の取得方法についてお悩みの方は、具体的なステップ整理やパートナー紹介も可能です。こちらからお気軽にご相談ください。

インドネシア向け食品は必ずハラール認証が必要ですか?

原則として必要です。インドネシアでは食品・飲料はハラール認証の義務化対象であり、輸入食品も例外ではありません。認証を取得しない場合は「非ハラール表示」が必要となり、何も対応しないまま販売することは認められていません。

ハラール認証の有効期間

BPJPHが発行するハラール認証は、発行後、原材料の構成またはハラール製品プロセスに変更がない限り有効とされています。変更がある場合は、認証の更新が必要です。

一方、RSHLNの制度では海外で取得した証明書が登録対象になっているため、その有効性は、前提となる海外認証の有効期限に依存します。つまり、日本側の認証期限が切れれば、RSHLNの有効性にも影響します。また、日本の認証を更新した場合、再登録が必要です。

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食品ハラール認証の対象範囲

食品関連の対象製品

2024年政令第42号では、ハラール認証義務の対象として以下のようなものが挙げられています。

  • 食品・飲料
  • 原材料(主原料)
  • 食品添加物
  • 加工補助剤(製造工程で使用される補助材料)
  • と畜産物およびと畜サービス

注意点としては、完成した製品としての食品・飲料単体ではなく、原材料から製造、保管、流通、販売に至るまでの一連の工程全体が対象となることが挙げられます。

つまり、ハラール認証は、単に原材料表を見て「豚由来成分が入っていない」「アルコールを使っていない」と判断すれば足りる制度ではありません。製造過程から製品が作られたあとの保管、出荷、流通などのプロセスも含めて、全体としてハラール性が担保されていることが求められます。

ハラール認証対象外の製品・材料

飲食料品については、ハラール認証対象外(認証不要)の製品もあります。

加工を経ていない天然由来の植物および鉱物資源

BPJPHは「加工なしまたは物理的加工のみ」という条件で、以下のような製品・材料について、ハラール認証は不要としています。

  • 植物由来の原材料
  • と畜を伴わない動物由来の原材料
  • 微生物発酵由来の原材料
  • 天然水(同様に、加工なしまたは物理的加工のみ)

例えば、生鮮野菜、新鮮な鶏卵や魚(生・冷凍・乾燥・塩蔵)などは、このカテゴリーに該当します。

ハラーム原料を含むリスクがないと分類されるもの

こちらについてBPJPHは、「天然由来原料以外のものや、鉱物由来または無機・有機合成によって製造された化学物質など」と説明しています。例えば、塩や水など、そもそも動物由来成分が混入する可能性がない原料が該当します。

有害ではなく、かつハラーム原料と接触しないもの

このカテゴリーに該当するものとしてBPJPHは、以下の2つを挙げています。

  • 天然原料の採掘や精製によって得られる化学物質
  • 無機および有機合成によって得られる化学物質

つまり、生産・製造工程について明らかに問題がないことが確認できるものが該当すると考えられます。

ただし、これらに該当するかどうかは個別判断になるため、「対象外だろう」と自己判断するのではなく、法令やBPJPHの最新情報を確認することが重要です。

製造工程の交差汚染対策

ハラール認証取得に際し、特に加工食品の場合は、

  • 原材料名からは由来が分かりにくい成分が含まれる
  • 添加物や加工補助剤に動物由来成分が使われている
  • 製造ラインや設備の共用が問題になる

といったケースもあるため、「成分」と「工程」の両面での厳密なチェックが必要になります。

なかでも重要なのが、製造工程における交差汚染、いわゆるコンタミネーションの管理です。

例えば、非ハラール食品と同じ設備を使用している場合や、同じ倉庫・輸送手段を共有している場合には、ハラール性が否定される可能性があります。完成品そのものに問題がなくても、管理のあり方によって認証に影響が及ぶことがあるため、それぞれの工程について慎重な確認が必要です。

物流(保管・包装・流通)のハラール対応

繰り返しになりますが、物流もハラール管理の対象に含まれるため、輸入食品では日本国内の製造現場だけを見ればよいわけではありません。工場から出荷されたあとの保管、包装、インドネシア国内での流通まで視野に入れた設計が求められます。

ただし、現地法人を持たない日本企業が、インドネシア国内の流通・販売の全工程を自社だけで管理することは現実的ではありません。

そのため、輸出側である日本の製造業者としては、まず自社が管理できる範囲(原材料、製造工程、包装、出荷まで)の管理体制を整え、どのような条件でハラール性を維持しているかを説明できる状態にしておくことが重要です。

一方で、インドネシア到着後の輸入手続き、現地倉庫での保管、国内配送、販売段階の管理については、輸入業者や物流業者など現地パートナーの役割が大きくなります。第三者物流を利用する場合、輸出側は、委託先の体制や適格性も確認しなければなりません。

インドネシアでの輸入・流通では、現地パートナーの選定が重要です。弊社では輸入業者やディストリビューターの紹介も行っていますので、具体的な進め方はこちらからご相談ください。

クロスボーダー制限に注意

クロスボーダー対応では、認証を出した機関と実際の製造拠点がずれているケースは認められません。例えば、日本の製造業者がタイの工場で製品を製造し、日本の機関からハラール認証を受けたケースは、RSHLN登録の対象外となります。

そのため、複数工場をまたぐ製造や、委託製造が絡む場合には、特に注意が必要です。

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食品ハラール認証の申請の流れ

まず申請ルートを決める

食品のハラール認証を進める際には、最初にどのルートで申請するかを決める必要があります。

選択肢は前述のとおり、BPJPHに直接申請する方法と、海外認証を取得したうえでRSHLN登録を行う方法の2つです。この判断は、その後に必要となる書類、関係者、スケジュールに大きく影響します。

ハラール認証に関わる3機関

インドネシアのハラール認証には、以下の3つの機関が関わります。

  • BPJPH(ハラール製品保証実施機関):申請受付、制度運営、認証発行
  • LPH(ハラール検査機関):製品・工程の検査
  • MUI(インドネシア・ウラマー評議会):宗教的観点からの最終判断(ファトワ発行)

【補足】
ハラール判定の主体は通常MUIですが、小規模・零細事業者の自己申告型認証の場合など特定のケースでは、KFPH(ハラール製品認証委員会)になります。

BPJPH申請の基本フローと所要日数

インドネシアのハラール認証申請の流れ

BPJPHへの直接申請を選ぶ場合、基本的な流れは上掲の図のようになります。また、2024年政令第42号によると、所要日数(書類不備などがない場合の標準処理期間)の目安は以下のとおりです。

  1. SIHALALで申請
  2. BPJPHによる書類確認 :1営業日
  3. BPJPHがLPHを指定:1営業日
  4. LPHによる書類審査:2営業日
  5. LPHによる検査:料金の支払いから15営業日
  6. MUIによる宗教判断:3営業日
  7. BPJPHが証明書発行:1営業日

法令上の審査期間はどのカテゴリーの製品でも、また、国内製造品でも輸入品でも共通です。

食品の場合、医薬品などに比べると、必要な情報・書類や審査が比較的シンプルになります。一方で、国内製造品に比べると輸入品は監査調整や書類対応に時間を要するため、上記の想定(合計23営業日)よりも長い期間を見込んでおくとよいでしょう。

特に初回申請では、原材料情報や工程説明の整理に想定以上の時間がかかる可能性があります。

さらに、日本国内の工場で製造している場合、審査が書類確認のみで完結するとは限りません。製品や工場の状況によっては、来日監査や指定機関による実地確認が行われる可能性があります。

ハラール認証は本当に23営業日で取得できますか?

あくまで目安であり、実務ではそれ以上かかるのが一般的です。この日数は書類に不備がなく審査が円滑に進んだ場合の標準処理期間であり、海外工場の監査調整や追加資料対応により、2〜4か月以上かかるケースも多く見られます。

食品ハラール認証に必要な情報・書類

輸出者・製造者が用意するもの

ハラール認証の申請では、製品の中身だけでなく、事業者としての体制や製造の実態を示す情報が広く求められます。通常申請で基本となるのは、事業者情報、製品情報、原材料一覧、製造工程に関する資料です。

このなかでも特に重要なのが、工程全体の説明です。

どの原材料をどの順序で使用し、どの設備で加工し、どのように保管・出荷するのかが明確でなければ、ハラール性の確認はできません。単なる成分表の提出だけでは足りず、実際の運用を説明できる資料の整備が欠かせません。

輸入者・代理人が用意するもの

輸入食品の実務では、主に以下のような情報・書類の提出が求められます。

BPJPHで通常のハラール認証を申請する場合

  • 事業者データ
  • 製品名・製品種類
  • 原材料・製品リスト
  • 製造工程・加工工程に関する文書
  • SJPH(ハラール保証体制)に関する情報

ハラール認証の審査では、製品そのものの情報だけでなく、事業者としてハラール管理を継続できる体制があるかも見られます。

特に工程に関する資料が弱いと、追加説明や監査対応が長引きやすいため注意が必要です。申請はインドネシア語で、電子システムを通じて行うのが基本です。

外国ハラール証明書を登録する場合(RSHLN)

  • 申請レター
  • 委任状(LoA)
  • 輸入者または代理人のNIB(事業基本番号)
  • 外国ハラール証明書の写し
  • HSコード付き輸入品リスト
  • 倉庫情報
  • 真正性に関する宣誓書

RSHLN登録の場合の申請主体は、原則としてインドネシア国内に所在する輸入者(またはその代理人)です。書類に不備があると、追加提出や原本提出を求められることがあり、対応が遅れると手続きが取り消される可能性もあります。

【補足】
インドネシアへの食品輸入では、ハラール認証とは別に、製品カテゴリーや輸入形態に応じてBPOM登録、SNI(国家規格)への適合証明の取得、さらに個別の輸入承認・許認可が必要になる場合があります。これらは主に輸入者側で対応しますが、輸出者側も必要書類の準備や情報提供を求められることがあります。

書類準備に関するポイント

ハラール認証は制度としての要件だけでなく、書類間の整合性管理が非常に重要な手続きです。そのため、特に次の点で手続きが止まりやすくなります。

  • 原材料一覧と製品仕様書の内容が一致していない
  • 製造工程の説明が抽象的で、実際の運用が見えない
  • 日本側の認証書類とインドネシア側申請書類で製品名やSKU表記がずれている
  • ラベル案が未確定で、BPOM登録とハラール表示の整合が取れない
  • 委任状や輸入者情報など、インドネシア側でしか用意できない書類の準備が遅れる

ハラール認証の審査対象は製品そのもの以外でも幅広い部分におよぶことに加え、日本とインドネシア、ハラール認証とBPOM登録など、国や制度間の書類にずれが生じないように注意する必要があります。

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ハラール対応に必要な社内体制と運用(SJPH)

SJPHとは何か

ハラール対応は、申請書類をそろえて終わるものではありません。制度上は、継続的にハラール性を保証するための社内管理体制、「SJPH(ハラール保証体制)」の整備が求められます。

SJPHには、原材料管理、工程管理、トレーサビリティ、内部監査などが含まれます。要するに、「原材料や製造工程のハラール性を担保できるか」「問題があった場合に追跡できるか」「社内で定期的に確認しているか」といった点を、仕組みとして維持する必要があります。

インドネシアのハラール認証は、その状態を継続できる運用体制が前提になっています。SJPH実施状況の検査は、ハラール認証取得後も、BPJPHやLPHによって少なくとも4年に1回実施されます。

SJPHの主な要件

ハラール認証を受けるためのSJPH、つまり「社内体制」の要件として、主に以下の5項目が挙げられます。

① 組織体制とコミットメント
  • ハラールポリシー(ハラール製品を継続的に生産する宣言)
  • ハラール管理チームの設置
  • 定期的な教育・トレーニング
② 原材料管理
  • 原材料、添加物、加工補助剤、包装材などの管理
  • ハラール性を証明できる資料の整備(重要原料)
③ 製造・設備管理
  • 製造設備・保管設備・輸送設備の管理
  • ハラーム物質との接触防止(交差汚染防止)
  • 必要に応じた専用設備または適切な洗浄管理
④ トレーサビリティと手順管理
  • 原材料から製品まで追跡可能な仕組み
  • 製造・保管・輸送などの手順書(SOP)の整備
⑤ 監査と改善
  • 定期的な内部監査(年1回以上)
  • マネジメントレビューによる改善

ハラール管理責任者の役割と要件

この運用のなかで重要な役割を担うのが、ハラール管理責任者 / 監督者(Penyelia Halal)です。ハラール管理責任者はハラール製品製造プロセスの監督・調整・検証、SJPHの運用管理、社内教育・周知、社内監査などを行います。

なお、ハラール管理責任者は、一定の要件を満たす必要があります。

具体的には、

  • ムスリム(イスラム教徒)であること
  • ハラールに関する知識を有すること
  • 研修または資格証明を備えていること

が求められます。非ムスリムは、原則、この役割を担えません。

日本企業での対応ポイント

ただし、日本国内の認証では、ハラール管理責任者の要件は各認証機関の基準によって異なります。例えばMPJAは、ムスリムの雇用を必須としておらず、管理者向け研修の受講などで対応できると案内しています。

申請後の継続的なハラール対応を見据え、各認証機関の案内を確認し、必要な社内体制の構築を早い段階で検討するとよいでしょう。

輸入食品のハラール認証取得に関する注意点

ハラール認証マーク、BPOM流通許可番号、SNIマークがついたシロップのラベル
ハラール認証マーク、BPOM流通許可番号、SNIマークがついたシロップのラベル

日本のハラール認証だけでは不十分

まず理解しておきたいのは、日本国内でハラール認証を取得しただけでは、インドネシア向けの対応として十分ではないということです。

利用する認証機関がBPJPHに承認されている必要があり、そのうえでRSHLN登録を行わなければなりません。日本側で認証を取ったこと自体が、そのままインドネシア国内での流通許可を意味するわけではありません。

非ハラール表示の義務と選択

非ハラール表記に関する規定

ハラールではない製品を扱う場合には、何もしなくてよいわけではなく、「TIDAK HALAL(非ハラール)」の表示義務が発生します。ただし、2026年4月時点では、非ハラール表示に関する詳細な規則はまだ十分に整備されていません。

現状では少なくとも、

  • 非ハラールである旨の表示が必要
  • その表示は製造業者自身で行うことができる

ことはわかっています。一方で、非ハラール表示については、ハラールロゴのような統一マークがあるわけではありません。また、非ハラール製品や非ハラール原料の公的な一覧が用意されているわけではないため、自社製品がどの原料や工程に照らして非ハラールにあたるのかは、各事業者が個別に確認する必要があります。

非ハラール表示の捉え方

「非ハラールでも販売できるなら、ハラール認証を取らなくてもよいのでは」と感じるかもしれません。しかし、実務上は「非ハラール表示を付ければそのまま販売できる」と単純には考えられない面もあります。

インドネシアでは、ハラール認証は宗教対応にとどまらず、原材料や製造工程、管理体制が確認された製品であることを示す目印として受け止められる傾向があります。そのため、消費者や取引先によっては、ハラール認証の有無を安全性や品質管理の一つの指標として見ています。

逆に、非ハラール表示は、単に「宗教上の区分」を示すだけでなく、商品によってはブランドイメージや販路の広がりに影響する可能性があります。

豚由来成分やアルコールを使用した食品であっても、一定の需要が見込める場面はありますが、「非ハラール表示を付けて流通させればよい」と安易に判断すると、想定していた販路に乗らない、取引先の選定で不利になる、消費者の受け止め方にギャップが生じるといった問題につながりかねません。

そのため、原材料の選定段階から、ハラール認証の取得を目指すのか、非ハラール表示で販売するのかを、制度対応だけでなく、販売戦略やブランド戦略も踏まえて慎重に検討することが重要です。

【補足】
非ハラール表示のための具体的な手続き・表示方法・違反した場合の罰則などについても議論が進んでおり(2026年4月時点)、今後の制度運用や通達の更新を含め、最新情報を確認する必要があります。

BPOM登録との関係

食品をインドネシアに輸入して販売するためには、多くの場合、ハラール認証とは別にBPOM登録も必要です。実務では、ハラール対応とBPOM対応を並行して設計し、書類や製品情報の整合を取ることが重要になります。

制度ごとに担当部門や必要書類が異なるため、どちらか一方だけ準備しても輸入実務は完結しません。

BPOM登録とは

BPOM登録とは、加工食品や化粧品、健康補助食品などをインドネシアで適法に流通・販売するために必要な当局登録です。安全性・品質・表示を管理する制度で、未登録での販売は、行政処分や刑事罰の対象となる可能性があります。

インドネシアの輸入食品に必要なBPOM登録の対象・手続き・必要書類と注意点

インドネシアの輸入食品に関するBPOM登録について、対象食品、手続きの流れ、必要書類など、全体像から実務のポイントまでまとめて整理します。

続きを読む

ここまで見てきたとおり、食品のハラール認証と輸入の手続きは、全体の進め方の設計が重要になります。インドネシア進出の全体像を整理したい方は、「インドネシア進出ハンドブック」を無料でダウンロードできます。こちらからご覧ください。

ハラール認証だけあれば日本の食品をインドネシアで販売できますか?

できません。食品をインドネシアで販売するには、ハラール認証に加えてBPOM登録も必要です。両方の要件を満たし、必要に応じてそれぞれの製品カテゴリー向けの輸入承認・許認可などを追加取得することで、適法に流通・販売することができます。

映像でみるインドネシアのハラール認証

ハラール認証・表示違反が発覚

ハラール認証・表示違反が発覚

2025年4月、BPOM(食品医薬品監督庁)とBPJPHは、豚由来成分を含む加工食品9製品が流通していたと発表しました。9製品のうち7製品はハラール認証済みで、対象の多くはマシュマロ菓子です。

これら7製品については、BPJPHが2024年政令第42号に基づき、市場からの回収という制裁措置を科しました。一方、ハラール認証を受けていない2製品については、登録時に不正確な情報が提出された疑いがあるとして、BPOMが警告を発するとともに、事業者に対して速やかな回収を指示しました。

対象となったマシュマロ菓子の多くは、フィリピンまたは中国の製造元からの輸入品と報じられています。BPOMによるこの発表の後、各地で関係当局による小売店の調査が行われました。

シャトレーゼのハラール認証チェック

シャトレーゼのハラール認証チェック

こちらの女性は、インドネシアでハラールライフスタイルに関する情報を発信している起業家・インフルエンサーで、Instagramでは約30万人のフォロワーを持ちます。

この動画では、現地でも人気のシャトレーゼで販売されている商品について、店舗での確認に加え、BPJPHのウェブサイトも参照しながら、ハラール認証の有無を丁寧に紹介しています。

動画とシャトレーゼの公式発表によると、2025年7月時点で、シャトレーゼの商品にはアルコールや豚由来成分などは含まれていません。ただし、国内製造品の多くがハラール認証を取得している一方で、輸入品はハラール認証の取得手続中とされています。

動画内でも、「シャトレーゼはノーポーク・ノーアルコールと案内しているが、念のためハラール認証を確認して購入するのがよい」と説明されており、ハラール認証義務化が完了する前の段階であっても、認証の有無を重視する消費者が一定数いることがうかがえます。

食品のインドネシア輸出は「ハラール認証+BPOM対応」が前提

インドネシアの輸入食品におけるハラール認証は、単なる表示対応ではなく、原材料、製造工程、物流、販売に至るまで一貫した管理が求められる制度です。

また、実際に商品を販売するためには、ハラール認証に加えてBPOM登録(食品の安全性や表示を管理する当局への登録)も必要となります。

いずれか一方だけでは流通できないため、両制度を前提にした準備が不可欠です。特に日本企業の場合は、認証取得の方法や現地パートナーの有無によって進め方が大きく変わります。制度対応だけでなく、販売戦略や体制構築も含めて、早い段階から計画的に進めることが重要です。

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