インドネシア移住で年金はどうなる?現役・リタイア世代別に解説

公開
2025/12/20
更新
2026/09/30
この記事は約7分2秒で読めます。

インドネシアへの移住を考えたとき、多くの人が悩むのが「年金をどうするか」という問題ではないでしょうか。

現役世代であれば、国民年金の任意加入は必要なのか。リタイア世代であれば、インドネシアに移住しても日本の年金を問題なく受け取れるのか、税金はどこでかかるのかといった点が気になるでしょう。

実際、海外に居住すると日本の年金制度の扱いは国内とは大きく変わり、手続きをせずに移住した場合、将来の受給額に影響が出ることもあります。

本記事では、「現役世代が移住する場合」「リタイア世代が移住する場合」に分けて、日本人がインドネシアへ移住する場合の、年金の基本ルールと注意点を整理します。

あわせて、インドネシア側の年金制度についても補足し、インドネシア移住者が現実的に押さえておくべきポイントを解説します。

インドネシアへ現地視察する際の注意点

「本当は工場を訪問して機械のメンテナンスをすることが目的だけど、ビザ取得が煩雑そうなので、とりあえず到着ビザ(VOA)でこっそりメンテナンスをしよう」と考える方もいます。

ところが、目的に合ったビザを取得しなかったことでトラブルに巻き込まれるケースを多数見聞きしてきたので、適切なビザを申請して訪問することを強くおすすめします。

「なぜバレるのか」という疑問がわくかもしれませんが、その1つとして宿泊施設と入国管理局(イミグレ)との連携があります。インドネシアでは外国人を宿泊・滞在させるときに、宿泊施設がイミグレに報告する義務があります。そこの連携が原因で目的外の活動をした際に、その行為がバレてしまうのです。

インドネシア移住と年金【現役世代】

インドネシアを含む海外に移住すると、日本の国民年金は「強制加入」ではなくなります。ただし、日本国籍を持つ人であれば、海外居住中も国民年金に任意加入することが可能です。

任意加入をすると、海外に移住しても日本の国民年金制度に継続して参加でき、将来の年金受給資格や受給額に影響する保険料納付期間を積み上げることができます。

海外移住者が国民年金に任意加入するには、手続きが必要です。なお、国民年金に任意加入している方は、免除・納付猶予や学生納付特例の申請はできません。

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検討ポイント

国民年金は、年金加入期間が10年に満たない場合、将来受給できません。そのため、まだ加入期間が10年に達していない方は、任意加入しておくのがよいでしょう。

また、加入期間が10年を超えていても、未加入期間が長いと将来の受給額が大きく減ります。特に仕事があり経済的に余裕がある方は、ぜひ加入してください。

現地採用の場合

現地採用の方は、日本の社会保険料は給与から天引きされません。国民年金の任意加入を続けるかは自己判断にゆだねられます。

続ける場合、日本国内の銀行口座からの引き落としか、国内協力者による代納が一般的です。

起業家・フリーランスの場合

収入が不安定になりやすく、保険料の負担が重く感じる方もいます。

収入が不安定な時期は国民年金から脱退し、将来再加入する選択肢もあります。ただし、その場合は加入期間が短くなる点を考慮する必要があります。

国際結婚(配偶者ITAS)で専業主婦・主夫になる場合

インドネシア人と結婚してインドネシアに移住する方の場合、第3号被保険者(会社員や公務員に扶養されている配偶者で、条件を満たせば自らが保険料を納めなくても将来国民年金を受給可能)には該当しません。将来年金を受け取るためには、自分で任意加入する必要があります。

なお、現地で就労するには、インドネシア人の配偶者ステータスの一時滞在許可(ITAS)とは別に、就労ビザが必要です。

任意加入の手続き

国民年金に任意加入する場合、「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を提出します。手続き窓口は、海外転出のタイミングや国内協力者の有無によって異なります。任意加入を申出した日から、被保険者資格を取得します。

インドネシア移住前

移住前(転出前)の場合、住民票のある市区町村役場で手続きします。

インドネシア移住後

すでにインドネシアに居住していて、国内に協力者(親族など)がいる場合は、協力者が日本における最後の住所地を管轄する市区町村役場で任意加入の手続きを行います。

協力者がいない場合は、手続き窓口は最後の住所地を管轄する年金事務所となり、書類を郵送する、または代理人を立てて提出することで手続きが可能です。

任意加入のメリット・任意加入しない場合のリスク

任意加入のメリット

任意加入して保険料を納めることで、次のようなメリットがあります。

  • 保険料納付済期間に応じて、老齢基礎年金を受給できる
  • 付加保険料を納めることで、将来の年金額を増やすことができる
  • 海外在住であっても、遺族基礎年金や障害基礎年金の支給対象となる

任意加入しない場合のリスク

海外移住で国民年金に任意加入をしない、または加入しても保険料を納めない場合、その期間は年金額の計算に反映されません。つまり、合計の加入期間が10年を超えていても、将来受給できる金額が小さくなります。

海外移住するにあたり国民年金に任意加入しなかった時期があります。あとから保険料を追納できますか?

海外移住者は任意加入者であり、日本国内に住む強制加入者とは扱いが異なります。海外転出後に任意加入をしていなかった期間(未加入期間)や、任意加入していても保険料を納めなかった期間については、原則として追納することはできません。

必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。

ビザ情報の検索

インドネシア移住と年金【リタイア世代】

日本の年金は、インドネシアに居住していても問題なく受け取ることができます。

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年金を受け取るために必要な手続き

受給銀行口座の設定

海外に居住※して年金を受け取る場合、「外国居住年金受給権者 住所・受取金融機関 登録(変更)届」の提出が必要です。

【補足】
※もともと日本で住んでいた自治体の役所に海外転出届を出し、住民票を除票して海外に居住している方

年金の振込先は、インドネシアの金融機関と日本国内の金融機関のいずれも指定できます(ゆうちょ銀行を除く)。

海外送金は国ごとに指定された通貨で行われ、受給者が任意に通貨を指定することはできません。

現況届の提出

インドネシアなど海外に移住して日本の年金を受給している場合、年1回「現況届」を日本年金機構へ提出する必要があります。これは、受給者が現在も生存しており、年金を受け取る要件を満たしていることを確認するための重要な手続きです。

提出期限は誕生月の末日で、日本年金機構からは誕生月の3か月前を目安に現況届が郵送されます。

日本国籍の方は、現況届に在留証明(日本大使館・総領事館発行)を添付して提出します。在留証明は、誕生月を含む過去6か月以内に発行されたものが有効です。

2025年5月以降は、多くの在外公館で電子在留証明(e-証明書)も利用できるようになっています。また、マイナンバーカードを持っている場合は、e-Govによる電子申請も可能です。

期限までに提出しないと、年金の支給が一時停止されることがあるため、現況届が届かない場合でも、自ら用意して早めに提出することが大切です。

在インドネシア日本国大使館では、電子在留証明(e-証明書)を利用できますか。

在インドネシア日本国大使館でも電子在留証明(e-証明書)を利用できます。申請者は、紙媒体の証明書を窓口で受け取るか、e-証明書をオンラインで受け取るかを選択します。

年金と所得税

老齢年金を受給している場合、日本と居住国との間に租税条約があれば、所定の手続きを行うことで、非居住者に課される日本の所得税が免除されます。

インドネシアは日本と租税条約を締結しているため、「租税条約に関する届出書」などを提出することで、日本において老齢年金から源泉徴収される所得税は免除されます。

一方、日本で課税されない場合でも、税務上の居住国であるインドネシア側では、状況によっては所得税の課税対象になる可能性があります。なお、インドネシアの個人所得税は累進税率(5〜35%)で、確定申告が必要です。

ただし、実際の課税・申告の要否は、金額や個別事情などによって異なります。詳しくは、税務署で確認することをおすすめします。

なお、海外在住で老齢年金を受給している人には、前年中に支払われた年金額等を記載した「非居住者等に支払われた年金の支払調書」が毎年送付されます。これは、インドネシアでの税務申告時の参考資料として利用できます。

ビザ申請はお早めに

ビザは申請してから発給されるまで最低でも7〜8営業日程度かかります。また、ビザを「申請」するためには、ビザの種類ごとに必要書類を準備していただく必要があります。書類によっては取得や準備に時間がかかるため、すぐに申請手続きへ進めない場合もあります。

例えば、英文の銀行口座明細など、金融機関への発行依頼が必要となり、銀行によっては取得までに1週間かかるケースもあります。

過去には、「来週インドネシアに渡航するので、そろそろビザの準備をしよう」と弊社へご依頼いただいたものの、渡航日までの発給が難しいと判断し、ご依頼をお断りしたケースもあります。

渡航予定が決まりましたら、できるだけ早めにビザの準備を開始することをおすすめします。

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インドネシアの年金制度

インドネシアの年金制度の大きな特徴は、一時金型の「JHT」と月額支給型の「JP」が併存し、2つ合わせて老後の生活を支える仕組みになっている点にあります。

日本人移住者でも、15年間以上企業に勤めて加入していれば、両方を受け取れる可能性がありますが、老後の生活に十分な額がもらえるとは限りません。インドネシアの年金は、老後の副収入というイメージでとらえておくのが現実的といえます。

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インドネシアの年金制度の概要

インドネシアの年金・老後保障制度は、日本のように一元化された仕組みではなく、公務員向けの制度と民間労働者向けの制度に分かれて運用されています。

このうち、日本人移住者、特に現地採用者に直接関係してくるのは、民間労働者向けの社会保障制度である「BPJS Ketenagakerjaan(雇用分野社会保障)」です。BPJS Ketenagakerjaanは、労働者を雇用するすべての企業に加入が義務付けられています。

この制度の目的は、労働者が直面しうる労災、死亡、失業、退職(老後の生活)のような社会的・経済的リスクを幅広くカバーすることにあります。

なお、公務員でも民間企業の従業員でもない場合、加入できる月額支給型の公的年金制度は、現状ではありません。

民間労働者向けBPJS Ketenagakerjaanの内訳

BPJS Ketenagakerjaanには、現在5つの主要プログラムがあります。このうち、JHT(老齢保障)とJP(年金保障)の2つが、老後の経済的支援を目的とした制度です。

老齢保障(JHT:Jaminan Hari Tua)

JHTは、退職後の生活資金を目的とした積立型(貯蓄型)の制度です。加入者は、退職や永久障害、死亡といった事由が発生した際に、一時金として現金を受け取ることができます。保険料は月給の5.7%で、労働者本人が2%・雇用主が3.7%を負担します。

原則として56歳に達すると全額を受給できますが、一定の条件を満たす場合には、

  • 退職準備目的で残高の10%
  • 住宅取得目的で最大30%

といった一部引き出しも認められています(回数制限あり)。

加入対象者・受給資格

インドネシアで民間企業に雇用され、6か月以上就労した外国人は加入対象となります。また、フリーランスなど賃金労働者以外も加入できます。加入条件を満たせば、退職時やインドネシアを離れる際に、一時金として受給可能です。

年金保障(JP:Jaminan Pensiun)

JPは、日本の厚生年金に近い性格を持つ月額支給型の年金制度で、退職または永久障害となった場合に、加入者本人に対して毎月年金が支給されます。また、加入者が死亡した場合には、配偶者や子どもといった遺族も給付対象となります。

給付水準や制度設計が日本の厚生年金とは大きく異なり、JPは「老後の収入を補完するための年金制度」と位置づけられています。

加入対象者・受給資格

加入対象者は民間企業の従業員で、自営業者やフリーランスなどは原則対象外です。

受給するためには、最低15年(180か月)以上の加入期間が必要です。条件を満たせば外国人でも月額年金の受給資格が生じます。

JPの年金額は加入年数に加え、加入中の賃金水準など複数の要素により決定されます。

インドネシア移住時の年金の扱いに関する注意点

ここまで説明してきたインドネシア移住時の年金の扱いについて、特に注意すべき点をまとめます。

  • 海外居住中の国民年金は自動的に継続されない(任意加入には手続きが必要)
  • 任意加入しなかった期間は原則として後から埋められない
  • リタイア後も、手続きすれば日本の年金を海外から受給できる
  • 受給した年金が日本で非課税になっても、インドネシア側の税確認は必須
  • インドネシアの年金は「代替」ではなく「補助」

現役世代は仕事のある・なしに関わらずできるだけ任意加入し、保険料の支払いを続けることが将来のためになります。インドネシアの年金制度に加入し、受給資格を得たとしてもそれをメインとせず、自ら老後に備えることが大切です。

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映像でみるインドネシア移住と年金

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アプリで年金について確認

インドネシアの年金、アプリで確認

こちらの動画は、インドネシアのBPJS Ketenagakerjaanのアプリ「Jamsostek Mobile(JMO)」を紹介しています。

JMOアプリを使えば、JHTやJPなどBPJS Ketenagakerjaanの各プログラムの加入・支払い状況、会社・勤務地の変更履歴などを確認できます。また、電子ウォレットや融資・投資などの機能も備わっています。

お客様の声

これまでに支援した企業数
300社以上
※ 2026年7月現在
これまでのプロジェクト実績数
450件以上
※ 2026年7月現在
業界問わず契約実績多数
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ビザ更新や色々な手続きでいつもお世話になっています。 イレギュラーな対応にも真摯に丁寧に対応いただき、いつも本当に感謝しています。 インドネシアにいる現地スタッフも日本語が堪能で、日本の文化も良く理解されていて、安心してお任せできます。

インドネシア移住と年金「どう守り、どう補うか」

インドネシアに移住する場合、年金について最も重要なのは、「日本の年金をどう維持するか」と「インドネシアの制度をどう位置づけるか」を分けて考えることです。

現役世代が海外に居住すると、日本の国民年金は強制加入ではなくなりますが、日本国籍者であれば任意加入を選ぶことができます。加入期間が10年に満たない人や、将来の年金額を少しでも確保したい人にとって、任意加入は有力な選択肢になります。

一方、リタイア世代の場合、日本の年金はインドネシアに移住していても受給可能ですが、海外で受給するための手続きや税務上の扱いなど、海外居住者特有の注意点があります。

また、インドネシアの年金制度は、日本の年金の代替というより、現地就労期間中の補助的な制度と捉えるのが現実的です。

インドネシア移住と年金は「知らなかった」では済まされないテーマだからこそ、早めに全体像を理解し、自分に合った選択をすることが、安心した移住につながります。

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