インドネシアの身分証明書「KTP」とは?使用場面や取得手続きを紹介

公開
2025/10/30
更新
2025/10/30
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インドネシアの身分証明書「KTP(Kartu Tanda Penduduk)」は、銀行口座の開設や就職、結婚、保険加入など、行政・経済活動のあらゆる場面で不可欠な存在です。外国人も、長期滞在者(ITAP保持者)であれば取得が義務づけられています。

近年はICチップを搭載した電子KTP(e-KTP)やスマートフォン上で利用できるデジタル身分証(IKD)が導入され、インドネシア社会のデジタル化を支える重要なインフラとして進化を続けています。

本記事ではインドネシアのKTPの概要、使用場面、取得方法と、外国人用KTPについて紹介します。

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インドネシア身分証明書「KTP」とは

インドネシア身分証明書「KTP」

インドネシアの「KTP」と身分証明制度

KTP(Kartu Tanda Penduduk)とは、インドネシア政府(内務省)が発行する正式な身分証明書のことです。インドネシア語では「カテペ」と発音します。

KTPは日本のマイナンバーカードにあたる身分証で、17歳以上、あるいは既婚者は所持が義務づけられています。外国人の場合は、定住許可(ITAP)の所持者が対象です。

KTPは政府による身分管理の基礎であり、銀行口座の開設や就職、結婚、選挙など、あらゆる社会活動の前提となる重要な身分証です。出身地や住所などが記載されますが、もっとも大事なデータは住民登録番号「NIK」です。

電子身分証(e-KTP)

かつては単なる紙のカードだったKTPですが、2009年から全国的に電子KTP(e-KTP/KTP-el)への移行が進められてきました。

e-KTPにはICチップが埋め込まれ、氏名、生年月日、住所、写真、署名などに加え、指紋、虹彩情報などの生体データが登録されます。この仕組みにより、かつて問題となっていた重複登録や偽造を防止し、行政データを一元管理することが目的とされています。

国民のデータを一括で管理できるようになったことで、KTPを利用できる場面が広がっています。例えば、すでに健康保険BPJSに加入している場合、BPJSカードの代わりにKTPが使える病院・診療所が出てきています。また、KTPに記載される住民登録番号「NIK」が納税者番号「NPWP」と統合され、個人の場合はNIKをNPWPとして使用できるようになっています。

デジタル身分証(IKD)

内務省は、e-KTPに代わるデジタル身分証「IKD(Identitas Kependudukan Digital)」の普及と利用促進を進めています。

IKDには、家族データや住民登録番号「NIK」関連のデータ(ワクチン接種記録、NPWPなど)が統合されています。すでにe-KTPを保有している、または生体データの登録を済ませている人であれば、スマホアプリから登録(有効化)可能です。

KTPが必要となる主な場面

インドネシアでは、例えば以下のような場面でKTPの提示やコピーの提出が求められます。

  • 銀行口座の開設
  • ローン・クレジット申請
  • 不動産の購入・賃貸契約
  • 結婚登録や離婚届の提出
  • パスポートや運転免許の申請
  • 各種許可申請(事業・建築など)
  • 健康保険(BPJS)や税務登録
  • 就職・転職手続き
  • 選挙での投票
  • 緊急時の身元確認

インドネシアでは、「KTPがなければ生活できない」と言っても過言ではないほど、行政・経済・社会のあらゆる局面でKTPが必要とされています。

インドネシアで身分証明をする際、IKDを有効化していれば、物理的なKTPカードは不要ですか。

現状では、物理的なKTPの提示やコピーの提出を求められる場面もあり、完全にカードからIKDアプリへ移行しているわけではありません。ただし、将来的にはIKDがメインになっていくことが予想されます。

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KTPの取得手続き

KTPの申請は居住地のkecamatan(群)、desa(村)、kelurahan(区)の役所で行い、担当職員による本人確認・生体データ登録を経て発行されます。費用は無料です。

必要書類

  • 世帯証明書(Kartu Keluarga:KK)のコピー
  • RT(隣組)/RW(町内会)からの紹介状
  • 定住許可(ITAP) ※外国人の場合
  • パスポート ※外国人の場合

なお、申請者のステータスや地域によっては、追加の書類が必要になる可能性があります。

申請の流れ

  1. 役所へ直接出向く
  2. 担当職員による書類確認とデータ登録
  3. 写真撮影・指紋採取・虹彩スキャン・署名
  4. 確認後、発行手続きへ
  5. 連絡を受けて受け取り

役所で発行手続きを行ったあと、カード完成までの目安は1~2週間とされています。地方の役所や外国人の場合は、さらに時間がかかるケースもあります。役所からカードが完成した旨の連絡があったら、カードを受け取りに行きます。


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外国人のKTP

外国人のKTP

インドネシアでは、住民登録法により、ITAPを持つ外国人にもKTPの取得が認められています。また、KTPの取得は、ITAPを所持する外国人の義務でもあります。

外国人用KTPの特徴

外国人のKTPは、インドネシア国民用のKTPと以下のような違いがあります。

  • カードの色がオレンジ(国民用は青)
  • ITAPの期限に合わせて有効期限あり(更新制)
  • 一部表記が英語
  • 選挙権・被選挙権なし

外国人住民もKTPを持つことで、金融、医療、公的機関での手続きなど、日常生活に必要な多くの行政・民間サービスを利用しやすくなります。

【補足】
外国人用KTPの色は、2022年4年を境に青からオレンジに変更されました。

外国人用KTPの取得・更新の義務

KTPを持つ外国人は、ITAPの更新に合わせてKTPの更新を行う義務があります。この手続きは、ITAPの有効期限が切れる30日前までに行わなければなりません。

ITAPを所持する外国人にとって、KTPの取得および適切な更新は義務とされていますが、有効なKTPを持っていなくても直ちにビザや滞在許可に支障が出ることはありません。ただし、KTPがないと住民サービスや行政書類の発行に支障が出る可能性があるため、ITAP所持者はKTPの取得・更新を適切に行うことをおすすめします。

インドネシアの一時滞在許可(ITAS)所持者はKTPを持てますか。

定住許可(ITAP)ではなく一時滞在許可(ITAS)を持つ外国人はKTPの対象外で、代わりに「居住証明書(SKTT)」を取得することになっています。

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映像でみるインドネシアの「KTP」

外国人のKTP作成プロセス

外国人のKTP取得プロセス

こちらはバリ島のBuleleng(ブレレン)県の役所。外国人のKTP作成過程の様子が紹介されています。まず顔写真を撮影し、署名、指紋・虹彩情報の登録が行われています。KTPの申請は入国管理・滞在許可関係の申請と比べると必要な書類が少なく、手続きも難しくありません。

デジタル身分証「IKD」有効化促進キャンペーン

デジタルKTP「IKD」有効化促進キャンペーン

2025年4月、ジャカルタ州人口・住民登録事務所は、東ジャカルタのテーマパークTaman Mini Indonesia Indah(タマン・ミニ・インドネシア・インダ)でデジタル身分証(IKD)有効化促進キャンペーンを実施しました。来場者がブースに立ち寄り、スマートフォンを操作する様子がわかります。

テーマパークなど多くの人が訪れる場所でのキャンペーンは、IKDの有効化のために役所に出向く必要がないことや、IKDの利便性をアピールする機会となっています。

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● 家族帯同ビザ(E31B):120,000円(税別)
● セカンドホームビザ(E33):200,000円(税別)
● リタイアメントビザ(E33f):120,000円(税別)

デジタル化が進むインドネシアの身分証明

KTPは、インドネシアにおける身分証明の中核的存在であり、国民にとっては日常生活の基盤です。ITAPを所持し、長期滞在する外国人も取得義務があります。パスポートや滞在許可があれば大概のことはできますが、KTPがあることでさまざまな申請や手続きがよりスムーズに進むようになります。

デジタル化が進む今、KTPは単なる住民登録番号を確認するためのカードではなく、「一人ひとりのデジタルアイデンティティ」を管理する存在へと進化しています。物理的なカードが必要な場面は減るかもしれませんが、KTPおよびNIKの重要性は増していくことが予想されます。

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