インドネシアの商品バランス(NK)とは?輸出入ビジネスで知っておきたい基礎知識
- 公開
- 2026/05/24
- 更新
- 2026/05/25
- この記事は約9分24秒で読めます。
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商品バランス(NK)とは何ですか?
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商品バランス(NK)とは、インドネシア国内の需要・供給をもとに、特定商品の輸出入承認などを判断するための制度です。対象商品では、輸入者が翌年分の需要提案を行い、その内容をもとにNKが作成・決定されます。
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商品バランス(NK)の対象になると、輸入は難しくなりますか?
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必ず輸入できなくなるわけではありません。ただし、対象商品では、輸入者の資格、HSコード、輸入数量、輸入承認(PI)などの確認が必要になり、「ほしい時に、ほしい数量をすぐ輸入する」ことが難しくなる場合があります。
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日本企業がインドネシアに商品を輸出する場合、商品バランス(NK)は関係ありますか?
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関係する可能性があります。手続き自体は原則としてインドネシア側の輸入者が行いますが、日本側の輸出者も、契約前に対象商品かどうか、輸入承認(PI)が必要か、希望する輸入数量がNKやPI申請と整合するかを確認しておく必要があります。
インドネシアへの輸出販売や現地法人による輸入を検討していると、通関・許認可情報の中で「商品バランス」「NK」「Neraca Komoditas」という言葉を目にすることがあります。
商品バランス(NK)は、対象商品の輸入承認(PI)などの輸入許認可の判断に関係する制度で、「そもそもその商品を輸入できるかどうか」「輸入のために必要な手続きは何か」に関わります。
そのため、NKを知らないまま商談や契約を進めると、出荷直前・通関前になって「輸入できない」「数量が足りない」「承認が間に合わない」といった問題が起きる可能性があります。
本記事では、NKの基本、対象商品、PI取得の流れ、日本企業が注意すべきポイントを入門向けに整理します。
商品バランス(NK)とは?制度の基本と導入背景

NKとは何か
商品バランス(NK)は、インドネシア語の Neraca Komoditas(商品収支)の略称です。NKは、狭義にはインドネシア政府が「国内でどれだけ必要か」「国内でどれだけ供給できるか」「不足分をどれだけ輸入するか」を判断するためのデータ・情報を指します。また、広義には、その制度・運用全体を意味します。
インドネシアへの輸入事業関連では、このNKのデータが、対象商品の輸入承認(PI)や輸入数量の政策判断にも関係します(PIについては後述)。
NKの対象商品や輸入必要量は、事業者が提出する需要提案、関係省庁による需要・供給計画、国内生産、在庫、消費見込みなどをもとに、関係省庁と調整大臣府の調整を経て商品ごとに決定されます。
【補足】
本記事では、NKを主に「輸入規制」の一つとして扱いますが、実際の機能はそれだけに留まりません。インドネシア政府が、国内需要、国内供給、輸入必要量、産業政策、食料・原材料の安定供給を考慮しながら、輸出入許認可を判断するための需給管理の仕組みといえます。
NK関連システム「SINAS-NK」
NKの運用システムとしては、SINAS-NKが使われます。SINAS-NKは輸出入手続きの基盤システムである「インドネシア・ナショナル・シングル・ウィンドウ・システム(SINSW)」のサブシステムで、需要提案の提出、データ統合、商品バランスの決定、PIなどの申請との連携に関係します。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Presiden (Perpres) Nomor 61 Tahun 2024|Pasal 6-12」
NK導入の背景と影響
NKが導入された背景には、
- 輸出入許認可の透明化
- 複数省庁にまたがる手続きの統合
- 国内需要・国内供給の把握
- 事業者に一定の見通しを持たせること
などの狙いがあります。
NKの対象になりやすいのは、米・砂糖・牛肉・塩・水産物・ニンニクなど、国内生産や食料安全保障、価格安定、産業用原材料の確保に関わる商品です。つまり、国内でまかなえる分は国内供給を優先し、不足分については必要な範囲で輸入を認める、という考え方で運用されるのがNKです。
なお、NKの対象は非食品カテゴリーと食品カテゴリーに分けられ、非食品カテゴリーは経済担当調整大臣、食品カテゴリーは食料担当調整大臣が、それぞれNKの策定、決定、実施について調整・管理を行うことになっています。
商品バランス(NK)の対象商品
2025年時点では9品目
NKは、すべての商品に適用される制度ではありません。また、時期によって変更されます。NKが導入された2022年大統領令32号では、対象は米、砂糖、牛肉、塩、水産物の5品目でした。
その後改正された2025年大統領令7号では、対象が以下の9品目に拡大しています。今後も変更の可能性があるため、最新情報を確認しましょう。
- 非食品カテゴリー:石油、天然ガス
- 食品カテゴリー:砂糖、塩、トウモロコシ、コメ、牛肉、水産物、ニンニク
なお、NKの対象は「砂糖」「牛肉」「水産物」などの大きなカテゴリーで示されますが、実務では個別の品目(粗糖 / 白砂糖 / 精製糖など)や輸入目的(販売目的 / 自社使用目的)によって必要な手続きが変わる場合があります。
そのため、NK対象かどうかを確認する際は、品目名だけで判断せず、具体的なHSコード、輸入目的、輸入者のAPI(輸入者識別番号/ 輸入ライセンス)の種類をセットで確認することが重要です。
自社商品がNKやPIの対象になるか確認したい方は、こちらからご相談ください。
- 参考:DATABASE PERATURAN「Peraturan Presiden (Perpres) Nomor 7 Tahun 2025|Pasal 3, 3A」
NK以外の輸入規制
NKの対象ではないからといって、何でも自由に輸入できるわけではありません。
インドネシアへの輸入では、輸入承認(PI)、登録輸入業者(IT)、製造輸入業者(IP)といった輸入分野の事業許認可、サーベイヤーレポート(LS)、技術規制、検疫、ハラール、BPOM、ポストボーダー規制などが関係することがあります。
特に、食品・飲料、アルコール、医薬品などは、複数の規制が関係しやすいカテゴリーです。それぞれの品目にどのような規制があるのかを早い段階で確認し、必要な準備をしておくことが、スムーズな輸入につながります。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
商品バランス(NK)は輸入ビジネスにどう影響するのか

インドネシアへの輸入を予定する商品がNKの対象になっている場合、ビジネスに対しては、主に以下のような影響があると考えられます。
「輸入できるか」が計画段階で判断される
NKの輸入ビジネスに対する大きな影響の一つが、「輸入できるかどうかの判断が、通関時ではなく事前の計画段階に移ること」です。
対象商品を輸入する予定の輸入者はまず、SINAS-NKで翌年の需要提案を提出します。その後、輸入者から提出された需要提案など複数の資料・データを関係省庁が確認し、NKとそれに基づく輸入数量が決まります。輸入承認(PI)は、この輸入数量の範囲を踏まえて発行されます。
そのため、輸出側から見ると、契約前に輸入可否や数量の見通しを確認しやすいといえます。一方で、事前に需要提案を提出していない輸入業者に輸入させる、需要計画やNKに反映されていない品目・数量を急いで輸入するといった対応は取りにくいというリスクがあります。
輸入者が提出する需要提案について
原則として、輸入者が事前に提出した需要提案がNKの策定・PI発行の前提になります。したがって、当該年分の需要提案を提出しておらず、その内容が需要計画やNKに反映されていない輸入者は、基本的にその年のPI取得が難しくなります。
ただし、制度上はNKの変更や追加申請の仕組みもあるため、品目・時期・数量・追加理由に応じて、現地輸入者や関係当局に確認する余地は残っています。
輸入できる数量・時期が制限される
NKによるビジネスへの影響として、数量・時期の自由度が下がることも挙げられます。NKは国内需要と国内供給の差を見ながら輸入数量を判断する仕組みであるため、事業者が希望する数量がそのまま認められるとは限りません。
日本側の輸出者が直接NKの申請を行うわけではないケースが多いものの、現地輸入者が輸出者の希望に沿う輸入数量やPIを確保できなければ、当然、出荷できません。
契約前に、現地輸入者が対象商品の規制について正確に把握し、輸入実務に対応できるかを確認する必要があります。
インドネシアでは、輸入者・販売代理店・通関業者との役割分担が重要です。現地パートナー候補との商談設定をご検討の方は、弊社の販路開拓支援サービスについてこちらをご覧ください。
商品バランス(NK)対象商品の輸入承認(PI)の取得方法
上記のようなビジネス全体へのインパクトに加え、実務的には「必要な手続きが増える」という影響もあります。その代表例が、輸入承認(PI)の取得です。
PIとは何か
PI(Persetujuan Impor)とは、インドネシア政府が特定の商品の輸入を認めるために発行する輸入承認書です。
NK対象商品の場合、政府によって決定された輸入数量が、PI発行のベースになります。つまり、一定の期間のなかで、政策で認められた数量分だけ、輸入が許可される仕組みです。
PIは、原則としてインドネシア側の輸入者が申請・取得します。
【補足】
NL対象商品以外でも、PIが必要な場合があります。
日本企業がインドネシアへ商品を輸出・販売する場合でも、現地での輸入実務の多くは、輸入者が担当します。そのため、現地輸入者が必要な資格や申請データをそろえられなければ、契約後に出荷できない、または通関できないという問題が起きる可能性があります。
輸入規制の確認は、販売戦略や現地体制づくりとも関係します。インドネシア進出の全体像を知りたい方は、進出ハンドブックを無料でダウンロードしてみてください。
PI取得の3ステップ
①どの種類のPIで申請するかを確認する
まず、輸入予定商品のHSコードを確認し、そのHSコードがどの種類のPIに該当するかを確認します。
NKの対象は「砂糖」「米」「牛肉」「塩」「水産物」などのカテゴリー名で説明されることがありますが、前述のとおり、実務ではカテゴリー名・品目名の確認だけでは、必要な手続きや要件を正確に把握できません。
PIの「種類」とは
同じNK対象カテゴリーでも、具体的な品目や用途によって「PIの種類」が異なることがあります。例えば動物関連では、PI Hewan(動物の輸入承認)だけでも、牛類、DOC(初生ひな)、その他の動物、さらに在庫確保・価格安定目的の輸入など6種類に分かれます。
このように、PIといっても1つではなく、品目に応じた「種類」があります。そのため、品目、輸入目的、輸入者のAPI種別に応じて、その商品がどの種類のPIで申請すべきものか確認したうえで申請する必要があります。
なお、輸入する商品のHSコード決定は、ほかのさまざまな手続きに影響を及ぼします。PIの申請自体は主に輸入者が担当しますが、HSコードの決定については輸出側も関わり、両者の認識を合わせておくことが重要です。
- 参考:DATABASE PERATIRAN「Peraturan Menteri Perdagangan Nomor 31 Tahun 2025|BARANG TERTENTU YANG DIBATASI IMPOR I. HEWAN DAN PRODUK HEWAN」
②需要提案とNKとの整合性を確認する
NK対象商品のPI申請では、輸入者が提出する需要提案や、すでに決定されたNKとの整合性が重要になります。個別のPI申請の輸入者、商品、数量などが、決定済みのNKと整合しているかどうかは、システム・商業省でも確認されます。
③SINSW経由で申請からPIの発行まで
NK対象商品のPIは、主にSINSWを通じて電子申請します。申請内容は商業省によって確認され、PIが発行されると、そのPIに記載された条件・数量・期間の範囲で輸入を進めることができます。
輸入実施後は報告
PIを取得すれば終わりではありません。輸入者には、輸入実績などの報告義務があります。報告を怠ると、警告、事業許認可の凍結、PIなどの事業許認可の凍結・発行留保・取り消し、今後の事業許認可申請ができなくなるといった処分につながる可能性があります。
NKが未決定の場合
NK対象商品であっても、当該年分のNK・輸入数量がまだ決定されていない、または品目ごとのNKが整備されていない場合があります。
この場合でも、PIなどの輸入許認可が不要になるわけではありません。NKがまだない場合、PIの発行は、法令の規定およびSINAS-NKを通じて確保できるデータに基づいて行われるとされています。
NKが確定している場合は、そのNKに基づいてPI申請・確認が進みます。一方、NKが未決定・未整備の場合は、品目別の法令、担当省庁の推薦・技術要件、システム上のデータなどをもとに、従来型に近い個別確認が必要になる可能性があるということになります。
輸入者にとっては、NKが未決定だから手続きが軽くなるのではなく、むしろ確認先や必要書類が増える場合がある点に注意が必要です。
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商品バランス(NK)関連の実務チェックリスト
NKとそれに関連するPI取得の対応では、以下のような項目をチェックします。輸出側の日本企業も、必要に応じて積極的に関わることで、後々のトラブルを回避しやすくなります。
HSコードを正しく特定する
商品名だけでは、NK対象かどうか、PIが必要かどうかを判断できない場合があります。日本側で確認したHSコードとインドネシア側の判断が異なる可能性もあるため、現地輸入者や通関業者とすり合わせることが重要です。
HSコードは、最新のBTKI(インドネシア税則品目分類)で確認します。
NKの対象商品かどうかを確認する
対象商品は、大統領令、商業大臣規則、商業省・関係省庁の最新情報、JETROの情報などで確認します。
PIなどの輸入許認可が必要かを確認する
NK対象商品はPIの判断に関係することが多い一方で、NK対象外でもPI、推薦状、登録輸入業者(IT)、製造輸入業者(IP)、サーベイヤーレポート(LS)、検疫、SNI認証、BPOM登録、ハラール認証などが必要になる場合があります。
したがって、「NK対象かどうか」と「PIその他の許認可が必要か」は分けて確認する必要があります。
現地輸入者のNIB・API・事業分野を確認する
輸入者のNIBがAPIとして有効か、API-UなのかAPI-Pなのか、事業分野が対象商品の輸入に合っているかを確認します。販売・流通目的の輸入と、自社使用・製造原材料としての輸入では、必要なPIの種類や申請要件が変わる場合があります。
【補足】
APIには、販売目的で輸入する一般輸入業者向けのAPI-Uと、自社の生産・事業活動に使用する原材料、補助材、資本財などを輸入する製造輸入業者向けのAPI-Pがあります。
現地側の役割分担と実績報告体制を明確にする
インドネシアの輸入事業では、現地法人、販売代理店、輸入者、通関業者、フォワーダー、コンサルタントなど、複数のプレーヤーが関わる可能性があります。
これらのうち、誰がHSコードを確認し、誰が需要提案を出し、誰がPIを取得し、誰が輸入実績を報告するのかを事前に決めておくと、混乱を防げます。

日本企業・日系企業が押さえたい実務上の注意点
輸入者の資格・実績を確認する
輸出側の日本企業がまず押さえるべき点は、NKをはじめとする輸入規制対応の手続きは、原則としてインドネシア側の輸入者が行うということです。
輸出側がいくら念入りに準備し、正確な情報を提供しても、現地輸入者が適切なNIB、API、事業分野、輸入承認、必要書類を持っていなければ、取引が止まる可能性があります。
現地パートナーとして輸入事業の責任を負う輸入者が、適切な資格を持ち、該当商品の輸入実務を理解し、適切に対応できるかは、輸入事業の成果に直結します。
常に最新情報を確認する
インドネシアの輸入規制は、大統領令、商業大臣規則、調整大臣規則、品目別の省令など複数の法令によって規定されており、しかも頻繁に改正されます。例えば、輸入政策と規制を包括的に定める2025年商業大臣規則第16号は、施行から約2か月で一部改正が行われています。
このように実務が頻繁に上書きされるため、前回輸入時に参照した規則が、今回は変更されているということが起こり得ます。
そのため、日本企業は「一度確認したから大丈夫」と考えず、商談時から出荷までの各段階で、現地輸入者や専門家と共に最新情報を確認する体制を作っておくと安心です。
映像でみるインドネシアの商品バランス(NK)
牛肉の輸入枠が事業計画を左右

牛肉のようなNK対象商品では、輸入枠やPIの発行状況が、輸入者の事業計画に直接影響します。
2026年1月には、民間向け牛肉輸入枠が2025年の18万トンから3万トンへ大幅に減ったことがニュースになりました。
政府は、価格安定や供給管理の観点から、輸入枠の多くを国有企業に割り当てる政策の意義を説明しています。一方で、民間企業からは、仕入れ量の減少により価格維持や事業継続が難しくなるとの懸念の声が上がりました。
NKや輸入枠の決定が、輸入者の事業計画に直接影響することを示す、わかりやすい例です。
輸入牛肉の加工・保管

この動画では、輸入牛肉が倉庫に到着してから、加工・包装されるまでの流れが紹介されています。
NK対象商品では、輸入の可否や数量に目が行きがちですが、その後の保管・加工・配送体制も重要な確認ポイントです。特に生鮮食品や冷凍食品では、現地側に「商品の鮮度を保ちながら保管・加工・配送まで対応できる体制」があるかを確認する必要があります。
輸入の可否を左右する商品バランス(NK)
商品バランス(NK)は、特定品目について、国内需要・国内供給をもとに輸出入承認や輸入数量を判断するための制度です。
対象商品では、輸入者提出した需要提案や各種データを基に関係省庁の確認や調整会議が行われ、その結果がNKに基づく輸入承認(PI)の発行につながります。
日本企業にとっては、手続き自体を現地輸入者が行う場合でも、対象商品かどうか、希望する輸入数量についてPIを取得できるかを、契約前に確認することが重要です。インドネシアの輸入規制は頻繁に変わるため、常に最新情報を確認する体制を整えましょう。
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