特定技能「漁業分野」の技能試験の試験内容、試験会場、申込方法など

公開
2025/01/21
更新
2025/02/08
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2019年に始まった特定技能制度を利用して、今では多くの外国人が日本で就労しています。特定技能1号外国人のうち約半数はベトナム人で、次いで多いのがインドネシア人です。なかでも「漁業分野」では、この分野に従事する外国人のうち約80%がインドネシア人と、大きな存在感をみせています。

そこで本記事では、特定技能1号「漁業分野」の資格取得に必要な試験のうち、特に技能試験について、受験者数・合格率、申込方法などを紹介します。

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特定技能「漁業分野」とは

特定技能「漁業分野」の概要

2019年に開始された新たな外国人材の受入れのための在留資格「特定技能」は、深刻化する人手不足に対応するため、改善の取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、即戦力となる外国人材を受け入れる制度です。

漁業も、特定技能外国人の受け入れができる分野の一つです。2024年6月時点で、3,035人の外国人が、特定技能1号「漁業分野」の在留資格を持ち、日本で働いています。

なお漁業分野では季節により作業の繁閑の差が大きいという事情があるため、特別に、派遣形態での受け入れが可能です。このケースでは外国人材と雇用契約を結ぶのは認定を受けた派遣会社で、派遣会社が「受け入れ機関」となります。外国人材を受け入れる事業者は、派遣会社と労働者派遣契約を結び、繁忙期で人手が必要なときに派遣を受けます。

参考:農林水産省「農業分野における外国人材の受入について|P.15」

特定技能「漁業分野」で働くインドネシア人

特別技能1号「漁業分野」に従事する外国人3,035人のうち2,452人はインドネシア人で、全体の80.8%を占めます。

漁業従事者にインドネシア人が多い背景には、インドネシアが日本と同じ島国で、漁業が盛んだという点があります。このような事情から、漁業分野の技能試験は、日本国内と、インドネシア、フィリピンのみで実施されています(2024年12月時点)。

グラフからもわかるとおり、特定技能1号「漁業分野」に従事するインドネシア人は、人数、割合ともに増えてきています。漁業は内陸国からの人材を見込みづらい分野だけに、今後もインドネシア人の活躍が期待されます。

参考:出入国在留管理庁
「特定技能在留外国人数の公表等|令和6年6月末特定技能1号在留外国人数第1表、第2表、第3表」
「特定技能在留外国人数の公表(令和4年以前)|令和4年6月末【概要版】」

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特定技能「漁業分野」の試験の種類

特定技能1号「漁業分野」の在留資格を取得するためには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 技能試験(漁業または養殖業)
  • 日本語試験(日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic A2))

漁業分野には「漁業」と「養殖業」の2つの区分があり、それぞれに技能試験が設けられています。両方の区分の技能試験を実施しているのは、日本を除けばインドネシアのみです。

日本語試験は他の産業分野と同様、JLPT N4以上またはJFT-Basic A2のいずれかに合格する必要があります。

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特定技能「漁業分野」の技能試験の試験内容

試験の水準と構成

農林水産省は、特定技能1号「漁業分野」の技能試験の水準について、「漁船漁業職種または養殖業職種の技能実習評価試験(専門級)の水準と同程度の水準」としています。

特定技能1号の技能試験は、各国の公用語で実施される分野もあります。しかし漁業分野の技能試験は、日本語(ひらがな、カタカナまたはふりがなを付した漢字)となっています。

試験は、試験会場のコンピュータを使用したコンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式、または、ペーパーテスト方式で実施されます

試験には学科試験と実技試験があります。学科試験では業務上必要な知識および日本語能力が測定されます。出題形式は原則、真偽式となっています。実技試験は図やイラストなどから知識や技能を判断するもので、原則、多肢選択式です。

出題内容、問題数、試験時間は、それぞれ以下の通りです。

漁業

  • 出題内容:漁業一般、漁業安全、漁業専門(釣り関係)、漁業専門(網関係)
  • 問題数:学科試験30問、実技試験25問
  • 試験時間:学科試験50分、実技試験20分

養殖業

  • 出題内容:養殖業一般、養殖業安全、養殖業専門(給餌養殖)、養殖業専門(無給餌養殖)
  • 問題数:学科試験40問、実技試験10問
  • 試験時間:学科試験50分、実技試験20分

参考:PROMETRIC
「1号漁業技能測定試験(漁業)」
「1号漁業技能測定試験(養殖業)」

受験資格

特定技能の技能試験の受験には、試験実施日時点で「インドネシア国籍者の場合は18歳以上(ほかは17歳以上)」という年齢制限があります。

受験地は、新しく在留資格を取得する人の場合、自国の試験会場です。一方、すでに在留資格を有する人は、日本国内で受験できます。例えば、「漁業」区分で働く人が「養殖業」の資格取得を目指す場合や、特定技能以外の在留資格を持つ人が、新たに特定技能の資格を取得する場合が想定されます。

試験免除

技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能試験および日本語試験が免除されます。技能実習3号の修了者も、技能実習2号を良好に修了したことを前提としているため、試験が免除されます。

2024年6月時点で、特定技能1号「漁業分野」に従事する人の86.3%、インドネシア人の84.4%が、元技能実習生です。ただし、試験の受験者は年々増加しており、今後は技能実習を経ずに特定技能1号「漁業分野」の資格を得る人が増えていくと考えられます。

参考:出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数第7表」

合格基準

特定技能1号「漁業分野」技能試験の合格基準は以下の通りです。いずれも必要に応じて、合格基準の調整が行われる場合があります。

  • 漁業:筆記試験及び実技試験の合計得点が6割5分以上
  • 養殖業:筆記試験及び実技試験の合計得点が7割4分以上

参考:出入国在留管理庁「試験実施要領(分野別)|11漁業分野」

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特定技能「漁業分野」の技能試験の会場と日程

日本の試験会場

日本の試験会場は、47都道府県にそれぞれ設置されています。

漁業分野「養殖業」の技能試験は、4月を除き毎月実施されています。毎週3~5日の頻度で試験を行う会場が多く、平日が中心ですが、土日に受験可能な会場もあります。後述するとおり、「漁業」の試験日程は現状では非常に限られています。

インドネシアの試験会場

2023年から2024年にかけて、インドネシアでは、以下の都市に試験会場が設けられました。

  • ジャカルタ
  • カラワン(西ジャワ州)
  • ランプン(スマトラ島南部)
  • マカッサル(スラウェシ島南部)

国内外の試験会場と日程は、以下の出入国在留管理庁のWebサイトに掲載されています。詳細は、試験を実施するプロメトリック株式会社のWebサイトにログインすることで確認できます(後述)。

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特定技能「漁業分野」の技能試験の受験者数と合格率

2023年度に実施された特定技能1号「漁業分野」の技能試験について、日本の試験会場およびインドネシアの試験会場の受験者数と合格率を紹介します。日本の試験会場の結果には、インドネシア人以外の受験者も含まれます。

日本の試験会場

  • 受験者数合計:394人
  • 合格者数合計:171人
  • 合格率:43.4%

漁業

実施月受験者数合格者数合格率
2023年7月3人0人0.0%
2023年8月 3人2人66.7%
2024年2月6人3人50.0%
受験者数合計:12人合格者数合計:5人合格率平均:41.7%

養殖業

実施月受験者数合格者数合格率
2023年5月 5人5人100.0%
2023年6月51人27人52.9%
2023年7月42人17人40.5%
2023年8月41人13人31.7%
2023年9月 46人16人34.8%
2023年10月39人17人43.6%
2023年11月24人11人45.8%
2023年12月30人20人66.7%
2024年1月58人22人37.9%
2024年2月46人18人39.1%
受験者数合計:382人合格者数合計:166人合格率平均:43.5%

インドネシアの試験会場

  • 受験者数合計:772人
  • 合格者数合計:605人
  • 合格率平均:78.4%

漁業

実施月受験者数合格者数合格率
2023年6月(カラワン) 16人8人50.0%
2023年7月(ランプン) 2人0人0.0%
2023年11月(カラワン) 39人35人89.7%
2024年2月(ジャカルタ) 26人11人42.3%
受験者数合計:83人合格者数合計:54人合格率平均:65.1%

養殖業

実施月受験者数合格者数合格率
2023年6月(カラワン) 118人96人81.4%
2023年7月(ランプン) 2人2人100.0%
2023年10月(カラワン) 132人117人88.6%
2023年11月(カラワン) 168人125人74.4%
2024年2月(ジャカルタ) 109人90人82.6%
2024年2月(ジャカルタ) 160人121人75.6%
受験者数合計:689人合格者数合計:551人合格率平均:80.0%

参考:出入国在留管理庁「試験実施状況報告書|令和5年度漁業技能測定試験実施状況報告書」

インドネシアで人材ビジネスを行う上での投資規模感と設立形態

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最低投資額
リスクの高低
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主な目的
1億円以上
4〜5ヶ月
本格的な進出
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1,000万円以上
3ヶ月前後
変則的な進出
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100万円前後
1ヶ月以内
簡易的な進出
こちら

特定技能「漁業分野」の技能試験の申込方法と受験料

申込方法と申込期限

まず、プロメトリック株式会社のWebサイトからIDを取得します。そのIDでログインすると試験の申込ページが表示されます。申込ページから、現在申し込める試験日程や空席状況を確認できます。

申し込みや予約の変更は、試験日の59日前から試験日の3営業日前の23時59分(日本時間)まで可能です。試験日が土・日、日本の祝日の場合は、4営業日前までとなります。なお、試験受験後、45日間は次の受験ができません。

試験結果は、試験を実施したパソコン画面に表示されるほか、試験後5営業日以内に、試験を実施するプロメトリック社の専用Webサイトから確認できます。

受験料

特定技能1号「漁業分野」の技能試験の受験料は、日本の会場が8,000円、インドネシアの会場が46万ルピアとなっています。インドネシアの会場の受験料は日本円に換算すると4,380円程度なので、日本の会場の約半額に抑えられていることになります。

【補足】
円表記は、2025年1月18日のレート(1ルピア=0.0095円)で換算したものです。

インドネシア人材は漁業分野の柱

本記事では、特定技能1号「漁業分野」の技能試験について、その概要や試験内容、受験者の動向、申込方法などを取り上げました。漁業分野では、日本と同じ島国で漁業が盛んなインドネシアからの人材が重宝されています。今後も同国からの受け入れは、ますます増えていくでしょう。

インドネシアからの人材紹介や受け入れについて興味をお持ちの企業さまは、ぜひ弊社カケモチにお問い合わせください。

特定技能1号「漁業分野」に従事するインドネシア人は何人いますか。

2024年6月時点で、特別技能1号「漁業分野」に従事する外国人3,035人のうち2,452人はインドネシア人で、全体の80.8%を占めます。

特定技能1号「漁業分野」の技能試験は、どこで実施されていますか。

特定技能1号「漁業分野」の技能試験は2025年1月現在、日本国内と、インドネシア、フィリピンの会場で実施されています。

特定技能1号「漁業分野」の技能試験の合格点は何点ですか。

特定技能1号「漁業分野」の技能試験の合格点は、漁業が計得点6割5分以上、養殖業が合計得点7割4分以上となっています。

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