インドネシアで通訳が必要なときに知っておきたい基礎知識(探し方・相場・注意点など)
- 公開
- 2025/12/30
- 更新
- 2026/06/19
- この記事は約7分51秒で読めます。
日本人ビジネスパーソンがインドネシアを訪れる際、お世話になることの多いインドネシア人通訳者。出張準備で忙しいなかで細かいところまで検討できず、通訳の手配を通訳会社に丸投げしていませんか?
実は、一言に「通訳者」といっても、スタイル、レベル、得意分野が人それぞれ異なります。また、報酬についても、本人の経験やクライアント側が要求するレベル・専門性によって、かなりの幅があります。これらを理解しておくことで、現地で強力な助っ人となり得る、あなたのニーズにぴったり合った通訳者を手配できるようになるでしょう。
本記事では、インドネシア人日本語通訳者がどのような現場で働き、どのようにキャリアを築いていくのか、さらに通訳を依頼する際に日本人が知っておきたいポイントについて解説します。
インドネシアの日本語学習者数と日本語学習の理由
日本語学習者数
国際交流基金が3年ごとに行っている海外日本語教育機関調査の2024年度版によると、世界の国でもっとも日本語学習者が多い国ベスト5は、中国、インドネシア、韓国、オーストラリア、タイでした。インドネシアの2位は毎年変わらず、この年の調査では73万2,914人となっています。2021年度調査からの増加率は、3%でした。
- 参考:国際交流基金「2024年度 海外日本語教育機関調査 結果概要 P.17」
日本語学習の目的

2021年の調査によると、インドネシアにおける日本語学習者の90.3%が、中等教育段階(高校またはそれに準じた学校教育)の段階にあります。かつてインドネシアでは、中等教育で第二外国語が必須科目であり、日本語がその選択肢の一つになっていたためです。
しかし、2013年の教育課程の改定により第二外国語が選択科目になって以降、日本語クラスを開講する学校が減り、日本語学習者も減少しました。しかし、現在は下げ止まり、前述のように増加傾向に転じています。
インドネシアの日本語学習者が増加している背景の一つとして、技能実習制度や特定技能制度により日本で就労するために、日本語学校や職業訓練機関(LPK)などで日本語を学ぶ人が増えている点が挙げられます。上掲のグラフでは「学校教育以外」に該当する層です。
技能実習制度に代わる育成就労制度や特定技能制度を使って日本で働くインドネシア人はますます増加することが見込まれ、中等教育に代わり職業訓練を兼ねた日本語学習の場の重要性が高まっていくことが予想されます。
一方、大学など高等教育機関で日本語を学ぶ学生の多くは、インドネシアの日系企業または日本での就職、政府関係職、観光ガイド、通訳者・翻訳者、日本語講師などを目指します。
なお、インドネシア語で通訳者はpenerjemah(プヌルジュマー)といいますが、この言葉は意味が広く翻訳者も含むため、通訳者のみを明確に指したい場合には英語のinterpreterもよく使われます。
- 参考:国際交流基金「2021年度 海外日本語教育機関調査報告書 P.29」
インドネシア人が通訳者になる方法
インドネシアでは、通訳者になるために必須の学歴や資格はありません。
通訳者の採用においては、学士課程またはディプロマ課程(大学などが設置する職業教育課程)を修了していることが条件として挙げられるケースや、学歴により給与に差が出るケースもあります。一方、学歴を問われないこともあります。
語学力の客観的な証明としては、日本語であれば一般的に日本語能力試験(JLPT)が利用されます。通訳者として必須ではありませんが、実際はJLPTの上位レベル(N1またはN2)に合格していることを日本語力の証明としている人は多いようです。
通訳者には、企業に所属するか、フリーランスで働く選択肢があります。企業の求人に応募する場合、経験が問われるケースが多いため、最初はボランティアも含め、フリーランスとして活動する人も多くなっています。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
インドネシア人が通訳者として働く現場とキャリアパス
通訳者が活躍する現場
デビューから実践の積み重ねを経て、通訳者が活躍する現場は、大学などの国際交流イベント、企業セミナー、国際会議、ビジネスミーティング、プレゼンテーション、裁判など、さまざまな分野に広がっていきます。
ある分野の専門通訳者を目指す場合は、法廷・司法通訳、医療通訳、国際会議・学術通訳、エンターテインメント・イベント通訳、旅行・アテンド通訳などの分野があります。
以下では、視察・会議・商談などの目的で日本からインドネシアを訪れる方に特に接点がある、ビジネス関係の通訳について簡単に紹介します。
ビジネス通訳者の仕事
ビジネス通訳者は、外国人を交えた商談、会議、プレゼンなどの通訳を行います。会議室などでの通訳のほかに、視察旅行などへの同行(同行通訳)や、オンライン会議での通訳(オンライン通訳)もあります。また、特定の企業に所属する通訳者の場合、外国人がいる社内でのコミュニケーション支援(特に上長と部下)、採用面接時の通訳、電話対応などの業務に携わる場合もあります。
ビジネスに関わる通訳としては、主に製造分野や建設分野を専門とする「技術通訳」という分野もあります。最近はIT・デジタル分野に詳しい人材も必要とされています。
技術通訳者は、日本側の関係者による工場訪問・視察、現地の経営陣や管理者との会議、日本人講師によるセミナーなど、さまざまなシーンで、専門的な内容を含むコミュニケーションを助けます。
通訳者のキャリアパス
通訳者としてデビュー
通訳者としての経験の積み方は人それぞれですが、経験が浅いうちは、インターンシップやボランティアなど、小規模かつ低リスクの現場から徐々に経験を積むことが推奨されます。最初は同業者のコミュニティや大学の関係者のネットワークを使い、実践の場を得ながら、ステップアップしていきます。
最近は、YouTube動画やポッドキャストなどで「自主練」を積む人もいます。また、通訳専門の研修やトレーニングに参加し、通訳技術や即時処理能力を体系的に学びぶ人もいます。
インドネシアではジョブ型採用が主流であるため、一般の求人に申し込むには、ある程度の経験が必要です。そのため、学生のうちから通訳としての活動をスタートさせる人もいます。
就職またはフリーランスとしてステップアップ
1年、2年と経験を積んだあとは、求人情報サイトや大学のキャリアセンターなどを通して、外国企業の求人に応募する人もいます。
業務としては採用・雇用など社内のコミュニケーションにおける通訳や、電話対応を含めた顧客対応、商談への同席など、企業によりさまざまな業務が想定されます。「日本語ができる人」という条件で採用され、書類の翻訳から通訳まで、幅広い活躍が期待されるケースもあります。
日本語通訳者であれば、インドネシアにある日系企業に加え、日本での求人が見つかる可能性もあります。最近は、日本へインドネシア人労働者を送り出す教育機関・送り出し機関からの求人もよく見かけます。
一方、熟練した通訳者として通訳会社に所属する人や、フリーランスとして活躍する道を選ぶ人もいます。
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インドネシア出張のため通訳を手配したいのですが、どのような人を選べばいいですか?
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インドネシア出張の通訳手配では、どの程度のレベルの通訳が必要かによって、適切な人材を選ぶ必要があります。工場訪問時の現場職員とのコミュニケーションやホテル・タクシーの手配など補助的な通訳なのか、会議や商談での本格的なビジネス通訳なのかによって、選ぶ人材や報酬が変わってきます。
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インドネシア人日本語通訳者が仕事を見つけるルート
通訳者が仕事を見つけるルートとしては、以下のようなものがあります。
- 知人の紹介
- 通訳会社の求人に応募
- 求人情報サイトやSNSなどから企業の求人に応募
- フリーランスサイトに登録して仕事を受注
- SNSで情報を発信しつつ、フリーランスとして仕事を受注
単発の仕事や通訳者を対象としたセミナーなどに参加することで人脈が広がり、次の仕事や就職に繋がる場合もあります。
― ビジネス最前線の声
インドネシア人日本語通訳者の料金相場
フリーランス通訳者の報酬
フリーランスの日本語通訳者をフリーランスサイト(クラウドソーシングサービス)で探す場合、簡易な通訳であれば1日(時間は通訳者および案件により異なる)100万~150万ルピア(約9,300円~1万4,000円)程度で見つかる可能性があります。安定したビジネス逐次通訳なら、200万~350万ルピア(約1万8,600円~3万2,600円)が目安です。
熟練した通訳者の場合や、専門性が必要など特別な案件の場合は、500万ルピア(約4万6,600円)を超えるケースもあります。
通訳会社を通す場合の報酬
インドネシアでの会議、視察、商談などには、通訳会社に通訳者の派遣を依頼することもできます。フリーランス通訳者を探す場合に比べて費用はかさみますが、その分、ニーズに合った人材を確実に手配できる可能性が高まります。
インドネシアの通訳会社を使う場合、費用は1日(一般的には8時間程度。企業やプランにより異なる)あたり200万~500万ルピア(約1万8,600円~4万6,600円)が相場です。同時通訳が必要な場合や、要人対応、専門的な知識が必要な場合は、より高額になる可能性があります。
日本の通訳会社を通す場合は、1日あたり数万円~10万円程度が目安です。いずれの場合も、業務内容によって複数の料金が設定されているケースが多くなっています。
専属通訳者(社員)の給与
参考までに、インドネシアで社員として日本語通訳者を雇用する場合の給与についても紹介します。
インドネシアの日本語通訳者の給与には幅があるものの、求人情報サイトに掲載される範囲(新卒者や経験の浅い人でも応募できる)では、学歴や経験・実力により、1か月500万~1,500万ルピア(約4万6,600円~13万9,700円)程度が一般的です(主にジャカルタと周辺都市)。経験や実績が豊富な通訳者では、月収2,000万ルピア(約18万6,300円)以上という人もいます。
こちらも、本人の実績に加え、どの程度のレベルの通訳を期待するのか、通訳以外の業務も任せるのかなどを考慮して決定します。
【補足】
本記事の円表記は、2025年12月26日のレート(1ルピア=0.0093円)で換算したものです。
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インドネシアの通訳者の平均給与はいくらですか?
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インドネシアの通訳者(日本語を含む各国語)の平均給与は日本円で5~7万といわれますが、特に都市部では、熟練した通訳者の場合、10万~20万円になることも珍しくありません。
インドネシアで通訳者を手配する場合の注意点
通訳の種類で料金が変わる
通訳には、同時通訳(話者の発言と同時に訳す通訳)、逐次通訳(話者が話し終えてから訳す通訳)、ウィスパリング(近くでささやくように訳す通訳)という3つの種類(スタイル)があります。一般的に、同時通訳は逐次通訳よりも料金が高くなります。
通訳者を探す際は、通訳経験や日本語力に加え、どの通訳スタイルに対応可能かも確認すると、ミスマッチを防げます。
業務内容を明確にする
ニーズに合った通訳者を手配するためには、通訳者の業務内容を明確にしておく必要があります。
研修、会議、セミナーなど社内で行われるイベントの比較的軽い業務から、要人随行や国際会議の同時通訳など、ビジネスパーソンとしての振る舞いや熟練した技能、特別な知識が必要な業務まで、単発の通訳業務にも幅があります。
そのため、通訳に頼みたい業務内容、時間、移動の有無などを整理したうえで依頼すると、より適した人材・プランを選択できます。
提示された報酬に、昼食代や交通費などが含まれるかどうかや、残業代の扱いについても、事前に確認しましょう。
映像でみるインドネシアの通訳者
同時通訳の練習

こちらの女性は、日本語学習に関する情報をSNSで発信しながら、フリーランス通訳者として活躍しています。動画では、映像を見ながら同時通訳の練習をしている様子が紹介されています。
ガジャマダ大学の日本語ディプロマ課程

こちらは、インドネシアの最難関国立大学の一つであるガジャマダ大学が設置するディプロマ課程「ビジネスとプロフェッショナルコミュニケーションのための日本語」の授業の様子です。
学生たちは4年間で、日本語の基本的な読み書きに加え、ITや観光といった特定分野の日本語、日本の文化、ビジネスコミュニケーション・ビジネス文書、翻訳・通訳などについて、実践的な内容を幅広く学びます。
インドネシアの日本語通訳者を理解するためのポイント
インドネシアでは、通訳者になるために必須の資格や学歴はありませんが、実際には日本語力、実務経験、専門分野への理解が重視され、現場に応じたスキルが求められます。
通訳の仕事には多様な分野があり、必要とされる通訳レベルや料金相場も大きく異なります。そのため、インドネシア出張や現地業務で通訳者を手配する際は、「どのような場面で、どの程度の通訳が必要か」を事前に整理することが重要です。
通訳者の役割や実情を理解しておくことで、目的と予算に合った適切な通訳者を探せます。現地でのコミュニケーションに不安がなくなれば、インドネシア滞在がより安心で充実したものになるでしょう。
必要な情報が見つからない方は、下記のサイト内検索を活用してください。
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